夕食後、結局
猩影くんと牛頭と私の
三人で後片付けをした。

その間ももちろん
2人の口ゲンカが
耐えることはなかった。


「俺が拭くから、
名前が洗ってくれ!
そして牛頭は皿をしまえ」

「いや俺が洗うから
名前、お前拭け。
猩影は皿をしまえ
そして死ね」

「どさくさに紛れて
何言ってんだテメー」

「じゃあ牛頭が洗って、
猩影くんが拭いてね!
私お皿しまうから!
わー助かった助かった!」


こんな感じでどうにか
牛頭と猩影くんに隣どうしで
お皿洗いとお皿拭きを
させることに成功したが
仲良くなることは、
まあ期待してはいなかったが
やはりなかった。



今日は本当に疲れた。
体力的でなく、精神的に。

「はぁ…これから毎日
こんな生活が続くのかー」

そう思うと
楽しいような、
うんざりするような、
なんともいえない
気分になった。





「名前ー」

「馬頭、どうしたの?」

「お風呂、あいてるから
入っておいでよ!
疲れたでしょー?」


め、馬頭…っ!!!!
なんていい子なんだろう!

牛頭も猩影くんも、
馬頭を見習ってほしいものだ。

でもいい子になった
牛頭と猩影くんを想像したら
吐き気がしたということは
胸の中にしまっておこう。


「じゃあお先に
入ってこようかな」

「うん!どうぞどうぞ〜」




脱衣所に着くとすぐ
来ているものを脱ぎ初め、
風呂場へ向かう。


風呂場に入るとまず
体と顔、髪などを
すみずみまで綺麗にした。


ここの風呂場は
普通の一般家庭に比べると
結構広い。
とにかく浴槽が大きい。
本家よりは狭いかな?
ってくらいだ。
私が足を伸ばしても
あと5人は余裕で入れそう。


「ふはー、やっぱ疲れを
とるならお風呂だねぇ」

1日の疲れがとれるようだ。
今日は何だか一段と
気持ちよく感じる。

30分も浸かっただろうか、
そろそろ出ようかと思い
浴槽の縁に手をかけ、
体をお湯から引き上げる。



―ガラガラガラッ


ん?がらがら?


聞き覚えのありすぎる、
扉の開く音。

嫌すぎる予感が頭をよぎるが
意を決して扉のほうを振り向く。



「お、おおおおおう!名前!
出血大サービスかぶぉえばっ!!!!」

いやー!!!!


扉の前には、猩影くん。
思いっきり殴ってしまったけど
仕方ないよね!
だって猩影くんが
悪いよねこれは!
ああ、見られた!
一生の不覚だ!
牛頭にだってまだ
見られてないのに
ってかそういう問題じゃ
ないんだけど!


すぐに脱衣所に行き、
自分でも驚くほどのスピードで
着替えを済ます。


「名前!なんだ今の悲鳴は」

「ご、牛頭さん…!!!!」


猩影くんが、風呂場にきて
私の裸体をみていきました!

と、言う前に牛頭は
全てを悟った顔で
風呂場へ向かった。
その後、そこで何が
あったのかはわからない。
というかあまり
知りたくない。









「はぁ…今日は本当に
散々だよ…」

寝る前、私はトイレに
行こうと思い、
廊下を歩いていた。

トイレは牛頭の部屋の前を
通るのがいちばん近道だ。
故にあまり気が進まないが
その道を通ることにした。


牛頭の部屋はまだ
灯りがついている。
2人の話し声が聞こえるが、
なにやらケンカではなさそうだ。
どちらかというと、
仲良く会話してるような、
そんな感じ。

なんだろう…!
すごく気になる!

悪趣味なのはわかっているが
あの2人の会話が
気になって仕方がない。
そうっと襖に近づき、
会話を盗み聞く。



「テメー風呂いくときは
ちゃんと確認しろ」

「あー、悪かったって。
反省してるっつの。」

「それならいーけどな。
そして見たものは忘れろ」

「いやー、それは無理だね!」


あの野郎、
なんつーことを…!!!!

怒りを抑え、会話を
さらに聞く。


「名前は着痩せするタイプだな!
服着てるときよりあったぞ」

「忘れろくそ野郎!
俺だってまだ見てねーんだぞ」

「えー?彼氏なのに?
かわいそーな牛頭丸くん」

「まああいつがちっせーとき
毎日一緒に風呂入ったけどな!」

「俺なんか今日その成長した姿を
まじまじと見たしな!ガハハ!」

「俺なんかあいつの体の
どこにほくろがあるか
知ってるしな!ばーか!」




―スパンッ



「あ、ああああああれれ
名前…あは、あはは
どうしたこんな時間ににに」

「はははは、早く寝ろよ
今日は疲れただろ、はは…は」
「フフ、2人共ー、」


ニコリ、と笑う名前。
もちろん笑っているのは
口だけで。
目には殺意が見られた。




死ねゴラァァァァァ!!!!


「「ギャァァァァァ!!!!」」





その夜、捻目山中に
男2人の悲鳴が響き、
それが止んだのは
明け方近くだったとか
そうじゃなかったとか…


















男のロマン
―これだけは、気が合います。






「怒ってる名前も
なかなかだな、牛頭」

「あぁ、そうだろ」

「名前、ちょうだい」

「絶対やらん」








***


猩影くん!牛頭!
ハ!レ!ン!チ!(笑)

ちょっとムフフなものを
書きたかったんです。
どうでしたか?(笑)
ムフフでした?←