「名前ー、
何か手伝うことねーのか」

「あー、じゃあそのお皿
並べてもらえるかな」

「名前!俺も手伝うけど!」

「じゃあ猩影くんはお箸並べて」

「いてっ 牛頭!お前
突っ立ってんなよ!」

「お前が邪魔なんだよ!
デカブツめ!」

「もー2人とも
うるさいよぅ!
名前、何とかして!」

「そんなこと言われても…」



猩影くんがうちに
きてから数時間、
牛頭と猩影くんは
絶えずこのような
ケンカをしている。

普段手伝わない牛頭も
手伝ってくれてるのは
ありがたいのだが、
2人に加え馬頭もいるため
台所が狭くなって
非常に作業しにくい。


犬猿の仲とは
このようなものを
指すのだろうか。
いや、この2人は
牛猿の仲かな。


さっき、馬頭が猩影くんに
私と牛頭が恋人であると
教えたそうなので
これで少し落ち着くかなと
思ったが、引くどころか
むしろヒートアップした
ような気がするのは
私だけだろうか。



「わー名前料理上手だなー!
俺んとこに嫁にこいよ!」

「んなっ いきません!」

「名前の嫁ぎ先はもう
決まってんだよ!ばーか!」

「ばかじゃねーよ!あほ!」

「あほじゃねーよ!くそ!」

「…2人とも、五月蝿いぞ。
さあ、飯の時間だ、
席につきなさい」


牛鬼さまの一言には
力があると思う。
あの2人が一気に黙り、
睨み合いの冷戦になった。


と思われた。


「おい猩影そこは
俺の席だ。どけ。」

「俺さっきもここ座ったから
ここがいーんだよ」

「さっきは仕方なく座らせて
やったんだよどけ猿」

「なんだと牛野郎」


や、やばい!
またケンカが始まる!
ここで牛鬼さまの
怒りの雷がおちてきたら
私と馬頭まで巻き添えを
くってしまう。


「ほら!食べるときくらい
ケンカしないで!
はい、いただきまーす!」


いただきまーす、と
心のこもっていない
かけ声とともに
睨み合いながらも
2人は黙り、食事を始めた。



本当に、世話のやける人達だ。
猩影くんも猩影くんだが、
牛頭も牛頭で、からかいに
すぐにムキになる。
少しの間なんだから、
我慢して適当に流せばいいのに。




「名前!片付け一緒にやろう!」

「片付けは馬頭がやるから
テメーはいいんだよ!」

「馬頭、今日は俺が
かわってやるからな!
後で遊んでやるし!」

「わー!猩影ありがとう!」

「テメっ コラ!きたねぇぞ!」


…あぁ、また始まった。
どうやら猩影くんが
ここにいるうちは、
静かな時間など
存在しないようです。



















お前争奪戦
―テメーにゃ絶対譲らねえ!











「名前ー、俺と
風呂に入ろう!」

「あ?名前は俺と
入るんだよ」

「どっちとも入りません!!!!」









***


ムキになる牛頭が
愛おしいです、はい。

そしてムキになって
発言したことに対して、
後から冷静になったとき
恥ずかしくなる
牛頭がかわいいと思ふ!


猩影くん、牛頭の萌えるとこ
引き出すのお上手です。