牛頭と想いが通じ合った
その夜。
帰宅したわたしと牛頭は
牛鬼さまと馬頭に
恋人になったことを
報告した。


馬頭は牛頭の気持ちを
知っていたようで、

「なんだ、牛頭
やっと言ったんだー」
となんだか薄い反応だった。

牛頭はバレていることに
気づいていなかったため、
顔を真っ赤にして
うっせーんだよ!と
馬頭の頭を叩いていた。

馬頭はいてて、と
頭をさすりながら
「おめでとう名前!


と牛頭」



と温かく祝福してくれた。




牛鬼さまに報告するときには
牛頭の顔は真っ青で。
具合が悪いんじゃないかと
心配で尋ねると、

「今からすることは、
娘さんをください!
って頼みにいくのと
同じことなんだぞ…」

しかも、牛鬼さまに…。

とさらに青くなる牛頭。
なんとも言えなくなり、
私は下を向く。

すると牛頭は私の頭を撫でて
「まあお前は心配すんな」

と言ってくれた。




―トントン


襖を叩くと
「入りなさい」と
牛鬼さまの声が聞こえた。

失礼します、と言って
部屋に入る私たち。

牛鬼さまは
お前たちか、と言って
座るように促す。



「して、なんの用だ?
牛頭丸、名前よ」

そう聞かれ、
私が答えるべきか
それとも牛頭が答えるのか
わからないので
牛頭のほうをちらりと見る。

牛頭は真っ直ぐに
牛鬼さまを見つめていて、
私の視線には
気づいていないようだった。


そして、牛頭が口を開く。


「牛鬼さま、」

「なんだ」

「俺は、名前が好きです」

「…ほう」

「それを名前に伝えると
名前も俺を好いていると
こたえてくれました。
…名前は牛鬼さまの
大切な娘であることを
重々承知で
お願いに参りました。
名前との仲を、
認めてください。」

「…」



沈 黙 。




その沈黙はきっと
10数秒ほどだっただろうが、
話の内容がその時間を
長く感じさせた。



牛鬼さまは私の義父。
私をここまで育ててくれた
大切な人であり、
牛頭にとっても
尊敬している大切な人で
あることは間違いない。

だからこそ、
この人には認めてほしい。



重い空気の中、
牛鬼さまは口を開いた。
「名前は、どうなんだ」

「…え?」

「牛頭となら、
幸せになれそうか」

ちょ、牛鬼さまにしては
恥ずかしい質問…。
隣に牛頭本人がいるため、
答えるのは相当恥ずかしいが
私はその質問に答えた。

「はい、この人となら…
苦難も乗り越えていけると
思います。」

「そうか…」



また沈黙が流れる。




認めてくれなかったら
どうしよう…、と
心の中で不安が広がり、
私は自然と下を向く。


それに気づいたのか
牛頭は、膝の上にある
私の手の上に
自分の手を優しく重ねる。







「牛頭、名前よ…」

「「はい」」



「お前たちのことを
認めよう。」



瞬間、私と牛頭は顔を見合わせ
よかった、と笑顔を零した。




牛鬼さまは、
ほっとしたような
顔つきになり
再び口を開く。

「…いやぁ、手間が省けたな」

「え?」


手間?
なんのことだかわからない
私たちはキョトンとしてしまう。

「実は前から考えていたのだ。
若頭の嫁候補を。
牛頭は名前を好いていると
わかっていたから
無理に決めたくなくてな…」

「知ってた…って、
牛鬼さま!!!!////」

「おお、口が滑ったな。
すまんすまん」


牛頭は顔を
これでもか!というくらい
真っ赤にして、
口をパクパクさせている。


それにしても、
馬頭も牛鬼さまも
知ってたなら
教えてくれればいいのに!
と思ったが
2人が気づくようなことを
自分が気づかなかったため
私って鈍感なのか、と
すこし落ち込んだ。


「まあ、その名前が
牛頭を好きだと言うのなら
私は嬉しい限りだ。


牛頭よ、名前を頼むぞ。」






こうして、私と牛頭は
正式に恋人になった。





「お前たち、部屋は一緒に
しなくていいのか?」

「「へっ部屋っ…!!!!////
まだいいです!!!!」」

「ほう…そうか」

と牛鬼さまの顔が
少し残念そうに見えたのは
気のせいだろうか。


「挙式はいつにする!
子造り予定は立てたのか!
孫の顔が早くみたいぞ!」

「「子っ…!!!!//////」」


牛鬼さまのテンションが
なんだかおかしい。
挙式だとか子造りだとか、
まだまだ先の話なのに!
てか子造りって!
なんてことを口にしているんだ
この人は…!!!!


私はその発言に驚き
少し恥ずかしくなっていたが
私より確実に
真っ赤になり今にも
顔から火が出そうに
なっている人物が隣にいた。





「今日はもう遅い。
2人とももういきなさい。」

「はい、失礼します。」





そして部屋からでて
私たちは自室へ戻る。
私の部屋は屋敷内の
少し離れた場所にあるので
牛頭が送ってくれた。



廊下を歩いているときも
牛頭はまだ牛鬼さまの
子造り発言に対して
ぶつぶつ呟いていた。


意外と純粋な牛頭が
とてもかわいい。
牛頭をみているだけで
私の心はぽかぽかになる。



しばらく歩くと私たちは
部屋の前に到着した。


「…牛頭、今日はありがとね」

「ああ、こちらこそどーもな」

「…また明日ね!」

そう言って部屋に
入ろうとしたとき


「名前、」

牛頭に呼び止められる。

なあに?と尋ねると
牛頭は私の体を引き寄せて
唇を重ねてきた。


「…っ//////」

不意打ちだったものだから
余計に恥ずかしい。

ちゅ、とリップ音をたて
唇が離れると

「おやすみ」

と言って素早く後ろを向き
牛頭は自室へ戻っていく。




後ろを向く瞬間に見えた
真っ赤になって照れる
あなたのかわいい顔を、
これからも見ることができる
嬉しさに胸が弾んだ。
















彼は意外とシャイボーイ
―そこがまたかわいいんです!







「孫はいつできるんだろうか…」

「牛鬼さまぁ、子造りって
何するか知ってますか?」

「それくらい知って…
!!!!い、いかん!!!!
まだ子造りはいかん!!!!
名前ーーーっ!!!」

「(戻ってきて牛鬼さま…)」









***



牛鬼さま壊れました/(^o^)\
ゴメンナサイ!

牛頭は普段はちょっとした
下ネタにも過激に反応する
シャイボーイであったら
私は吐血するほど嬉しい。

でも夜は豹変して
狼さん的な\(^o^)/いやん