「じゃあいってくるからね〜!」

今日は本家で会議があるらしく、牛鬼さまは朝早くからでかけてしまった。そして馬頭丸は牛鬼さまの護衛としてついていった。という訳で、私は今日お留守番を任されている。掃除洗濯家事おやじ…っとおやじはいらないな。こうみえて家事全般得意だしうん わたし今日輝いてる!人間だから、戦闘などでは何の役にもたてない名前だが、今日は自分の得意分野で牛鬼の役にたてるということではりきっていた。まずは大量につまれた洗濯物と格闘を始める。桶に水を張り、全て手洗いをする。洗剤が溶けないということと手が冷たくなるということで名前はぬるま湯を使う。洗剤のせいでぬるぬるするがそれがまた気持ちよかったりもした。大した汚れもなく、順調に洗い進めていく。
しかし、次に手にとったものは泥だらけの手ぬぐいであった。


「うわー…」

かなり汚れている。それはよくみると牛頭丸の手ぬぐい。汚すぎる、どうやったらこうなるのか。心の中で批判する。


「汚くて悪かったな」

「…っ牛頭!そそそそそんなこと言ってないじゃんか!」


庭で鍛錬していた牛頭がいつの間にかわたしの横にたっていた。気配もなくそばに立たれるとすごくびっくりする。


「じゃあなんで微妙に焦ってんだよ…。まあいいだろ別にお前のよりは汚くねえ」

「んなこたありません!わたしは清潔です!」

「はっ どーだかな。洗濯してんならちょうどいい。まだ洗い物あるからそれも洗え。今持ってくるから待ってろよ」



し、しまった。牛鬼さまも馬頭もいないってことは牛頭と2人きり…。これは一般的にチャンスかもしれないけども見てのとおり牛頭は私の事なんかアウトオブ眼中で。いわゆる一方通行な恋をしているわけだ。まあ妖怪と人間だし叶うわけないって思って今まですごしてきたし。うん。しかし、好きな人に「汚い」なんていわれたら乙女なら傷つくものだと思う。わたしは少し、いやかなり落ち込み、ため息を漏らす。


「あーあ…」


おかげでやる気が削げてしまった。やる気回復のため少し休憩しようと思い、庭へ向かう。あ 待ってろっていわれたんだったまあいいか。庭へつくと、適当な石の上に腰掛ける。近くには牛頭の鍛錬に使われたであろう、道具たちが散らばっている。それをみていたわたしは牛頭のことを頭に浮かべた。さっきの「汚い」発言は落ち込むけど、やっぱり…


「鍛錬してる牛頭はかっこいいな、うん」





――バサバサッ


ん?振り向くと、洗濯ものを手から全て落とした牛頭がたっていた。


「…………」

「わ 牛頭っ。いいいいいいつからそこに」


やばい聞かれた恥ずか死ぬ!「俺がかっこいい?はっ てめー当たり前だろぶっ殺すぞカス女」とかゆわれるよ あわわ。わたし、もう泣きたい!


「…っ////////////」


あれ、牛頭さん心なしか顔が赤いような?


「あのー牛頭…?」

「なっ なんだよ」

「今の聞いてた…?」

「………あぁ」


あああああぁぁぁ!!??牛頭さん下向いた!うわあ耳まで真っ赤!照れてんの?怒ってんの?でも怒るならすぐにテメー!とか言ってくるはず…。


「牛頭さん、」

「…なんだよ」

「もしかして、あの、違ってたらすごく恥ずかしいんだけど、もしかして照れてます?」




――――――無言。



無視ですか、と思ったとき、牛頭がわたしに何かを投げつけてきた。


「ぶへっ」


「それ洗っとけ!」




受け取ったそれは…





「パンツかい!!!!!!!」















俺のパンツを洗ってくれ
―頼みたいのはお前だけ!





「ねー牛頭ー…」
「なんだよ」
「あんた女の子にパンツ
洗わせる意味わかってる?」
「…分かってるよ」
「!!??えっ?!ちょっ!」





2011.03.06 改正
2011.04.02 改正
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