「まだ時間大丈夫?」

「あ、うん…もう少しなら」


そっか!と言って田中くんは
私を近くの公園に連れて行く。

私たちはベンチに
腰を降ろした。


「今日はきてくれて
ありがとな!
まじ嬉しかったわー!」

「こちらこそ誘ってくれて
ありがとうね」

初めは行きたくなかったが、
今は来てよかったと
思っていた。
とても、楽しかったから。

「ところでさ」

田中くんが私をみる。

「この間はぐらかされた
名前ちゃんの好きな人!
教えてよー!」

「んなっ…!!!!」

こいつ!最後の最後に
いらんことを…!!!!

「教えないよそんなの」

「えー…。ケチ」

「ケチじゃないです」

「もしかしてさ、
この間の奴…かな…?」


この間の…って牛頭のこと、
だよね…?
図星で、恥ずかしくなり
下を向く。私は顔が
赤くなるのがわかった。


「図星か…」

「えっ別に!んーっと!///」


刹那、ふわっと何かが
私に覆い被さる。
それが田中くんだと
いうことに気づくのに
数秒かかった。

「た、田中くん…?」

「名前ちゃん」

「は、はい」

「俺、名前ちゃんのこと
好きです。」

「……!!!!」

「俺じゃ、ダメかな…
考えて、くれないかな」


な、なに、どうゆうこと…
私は混乱してしまって、
頭がぐるぐるする。
田中くんが、私を好きで?
考えてくれって?
なにを?
あ 付き合うってことか
確かに今日は楽しかった
田中くんとおしゃべりして
たくさん笑った。
田中くんのことは
とても好きだ。








でも。
わたしは牛頭が好きで。
その『好き』は、
田中くんの事を思う『好き』
と違う好きであって。
要するに私は田中くんとは
付き合えない。


「あの、ね、田中く…





「おいテメー家のこと
やらないでなに遊んでんだ」

後ろから聞こえる声に
懐かしさを感じ、振り返る。



と、同時にヒョイ、と
肩に担がれた。

「ご、牛頭っ!!!!////
ちょっ!!!!降ろして!!!!」

「うるさい暴れるな
落ちて頭うって死ぬぞ」

「死なないっ!てかパンツ!!!!
パンツみえるから!!!!」

スカートを履いていたので
心配だった私。
それを伝えると牛頭は
私を地上へ降ろした。


「ちょっとあっちいってろ」

「え…あっちって…」

「いいから行け」

牛頭に睨まれたので
とりあえず従う。

「た、田中くん!
ごめんね今日はありがとう
じゃ!!!!」

「あ…おお、じゃあな!」








牛頭と田中くんは、
さっきの場所でなにか
話し込んでいる。
わたしはそれを公園の
入り口からじっとみていた。

牛頭ったらまた田中くんに
失礼して…!!!!
ってかあれ?牛頭?
なんでいるのってか熱は?
下がるの早いなコノヤロー。


10分も経っただろうか、
牛頭がこちらに向かって
歩いてきた。


「帰るぞ」

「あ…うん、」




明らかに不機嫌な牛頭。
いつもなら手を繋いで
帰ってくれるのに。
今日は手を差し伸べて
くれることはなかった。