「なまえー」
「なあにー」
「まだ終わんねぇのか、宿題」
「もう少しだからちょっと待って」
「30分前ももう少しって言ってたぞお前」
「黙れ 気のせいだ」
私の部屋で、私が宿題を終えるのをひたすら待つ牛頭。数時間前から待っているがいっこうに終わる気配のない私の宿題に苛立っている。もちろん終わらない宿題に私自身も苛立っている。なんでこんなに難しいんだよ!もう!
「まーだーかー」
「まーだーだー」
「もー無理」
「は?え、うぎゃぁっ」
バサッ、と音をたてて机の上のノートが床に落ちる。それと同時に私の体も床につく。目の前には、牛頭。どうやら、私は苛ついた牛頭に押し倒されたようだ。両手首を固定され床に押さえつけられている。
「そこをどきなさい牛頭丸」
「待たせたお前が悪い」
「難しい宿題が悪い」
「解けないお前が悪い」
次に私が言葉を発する前に牛頭の唇が、私の唇を塞ぐ。その唇が離れることはなく、数十秒、そのままの状態が続いた。さすがに息が苦しくなり、私がジタバタと暴れるとゆっくりと唇が離れた。
「はぁっ…バカ牛頭!長いっつの!」
「俺の肺は馬並みだからな」
「なにかと表現間違えてる!ってかどっかで聞いたことあるセリフだなそれ!」
うるせーよ、と呟くと牛頭は再び私の唇に自身のそれを重ねる。もうこうなると逆らえない。牛頭の手にさらに力が加わり私の手は全く動かず抵抗しても意味がない。大人しく、牛頭のキスを受け止める。
牛頭は、ずるい。男の子は女の子に優しくしないといけないんだと牛鬼さまが何度教えても私にいじわるをする。私が力で牛頭に適うわけないと知っていて牛頭は私を力で押さえつける。でもそれを心地よいと感じてしまう私も確かにいて。キスをされるとそんなことどうでもよくなってしまう。
何度か唇を離したり、くっつけてみたりするうちに私の口内に粘着質な異物がぬるりと入り込む。それは口内を隅々まで犯し、私の舌をも絡め取る。
「…ふっ」
ああ、愛する人とキスをするって、なんて素敵なことなんだろう。キスは好きだ。本当に素敵なものだと思う。神秘的というかなんというか。一体どこの誰が、キスをするということを
考えたのだろう。一番最初にキスをされた人はそれをどう思ったんだろう。私は、幸せに思う。
しばらく深い口づけを交わすと、牛頭の手が私の腕を解放した。その手が私の肩部に流れ着き、着ている着物をずらされそうになる。
こいつ、調子にのりやがって。
「っっっ痛ってえ!!」
「調子にのるからだバカ」
私は牛頭の股間目掛けてキックを喰らわせた。せっかくの雰囲気が台無しじゃないか。ばか牛頭め。
「お前っ…これがどれだけ痛いかっ知らないから…」
「知るか変態」
私はうずくまる牛頭にそっと近づき、よしよし、と頭を撫でる。
「ごめんね」
「本当にそう思ってっか」
「思ってない」
「だろうな」
愛、深まる―キスが持つ魔法の力
牛頭のせいなのか、はたまた私のせいなのか。雰囲気もなにもなくなっちゃったけど。
こんな日常が素晴らしく愛おしい。
***
キス、素晴らしいと
思いませんか!
うん、私は思う!
変態牛頭さんを
書きたかったのだ。
R18とかいつか
やってみたいな(爆)
最近、大人な小説を
かけるようになりたいと
思っています。