翌日の夜、花開院家客間にて。


「竜二〜そろそろ交代しましょう。お風呂にでも入ってらっしゃい!」

「ん、ああ。」

「刹くんもお風呂に行ったわよ。」

「あいつはいつまで居候する気だ。」

「そんな事言わないの!竜二が連れてきたんでしょ!」

「わかったわかった。」

「…よく寝てるわね、なまえちゃん。」

「…ああ。」

「お母さんも若い頃はこのくらいピチピチだったんだけどねえ!」

「…。」

「何よその顔は!」

「いや、別に。」

「…ねえ竜二、眠り姫って知ってる?」

「寝てる女を男が起こすやつだろう。迷惑な話だ。」

「そんなんじゃないわよう!魔法で眠らされたお姫様は助けにきた王子のキスによって目が覚める、ロマンチックなお話よ!竜二のはロマンの欠片もないわ。」

「生憎俺は現実主義なんでな。」

「いいわよねぇ、王子様…。」

「…何が言いたい。」

「竜二のキスでなまえちゃん目が覚めるんじゃ」

「却下。」

「…素直じゃないんだから。」

「何か言ったか。」

「なんでもないわ。ほら、さっさとお風呂に行く行く!」

「引きとめたのは母さんだぞ、ったく。じゃあなまえを頼んだぞ。あとでまたくる。」

「はーい、いってらっしゃーい。」





「竜二ったら、本当に素直じゃない子ねぇ…うふふ。…ね、なまえちゃん。竜二のために早く起きてあげてね…。」





(うーん、私のキスじゃ起きないかしら?)
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