副会長×ガチムチ親衛隊
妄想ネタ5の話



初めて副会長様を見たとき、こんな綺麗な男が現実に存在するんだと驚いた。
産まれてこの方、家が柔道教室を営み、柔道しかやってこなかった俺の身体は上半身も下半身も筋肉隆々で身長も181cmと高く、全体的にデカくて太い。
そんな俺とは違い副会長様は177cmと身長は少し高めだが、細い。
とにかく細い!
少し強く触ってしまえばポキッと簡単に折れてしまうんじゃないかと心配になるぐらい細く、そして溶けてしまいそうな程肌の色は白い。

初めて見たときは正直副会長様が男なんて信じられなかった。
あんな綺麗で女の人の様な人間がいるのかと目を疑い、だけど実際舞台上には副会長様がしっかりそこに存在し、喋り、笑っていた。
そんな儚くて直ぐにでも消えてしまいそうな美しい副会長様を俺が守らなくてはならないと本能が叫んだ。



俺以外にも副会長様を守らなくてはならないと思っていたやつは多く、既に副会長様には親衛隊があった。
すぐさま隊に入り、俺は副会長様の平和を隊の奴等と一緒に見守った。

副会長様は他の隊持ちの奴等とは違い、俺等親衛隊にとても優しい。
ことあるごとにお茶会を開き、副会長様と会話出来る機会を設けてくれる。
俺のようなゴリゴリマッチョがお茶会なんてとうてい似合わないが、副会長様の姿を見られるだけでお茶会に出る価値はある。




学校からの帰り道、いつもは部活仲間と一緒に寮へと帰るが
今日は副会長様のお茶会の日で、部活は早々に上がりさせてもらった。
いつもなら月に2度あるお茶会の日は休日の午後に行われ、部活に影響は出なかったが
今回は副会長様の要望で平日の夕方にお茶会を開くことになり、無理言って部活を俺だけ早めに終わらせてもらった。

久々に副会長様を間近で見られると柄にもなくルンルン気分で、今にもスキップしそうに歩いてると
森の方から微かに誰かの声が聞こえ立ち止まる。
もしかしてと思い急いで荷物をその場に置き、全速力で声の聞こえる方へと足を進める。
俺の予想は的中してしまい、誰かが襲われそうになっている所だった。
直ぐにでも留めに入ろうと一歩足を踏み出した時、襲われている人の顔がちょうど見え、俺の頭に一気に血が上った。

「てんめぇええええ。ふざけんじゃねぇぞゴラァ!!!!!!」
5人ほどいたが俺の敵ではなく、無我夢中で相手を倒していき、気付けば俺と、襲われていた副会長様だけがその場に残っていた。

Yシャツが中途半端に開けられ、ズボンもベルトが取られていて前が少し空いている。
その姿にさっきよりは冷静になってきたがまた頭に血が上る。

襲われている人が副会長様だとわかった瞬間目の前が真っ白になり、それと同時に親衛隊の不甲斐なさを感じた。
俺達は副会長様を守るために存在しているはずなのに、副会長様をこんな目に合わせてしまうなんて
今回は俺がなんとかしたが、この先もしかしたら間に合わない可能性もある。
副会長様の美しさは触れ難いものだが、下賤な奴らはそんなの気にせず副会長様を穢す。

「…ねぇ君、なんで泣いてるの?」
いつの間にか目の前に来ていた副会長様が優しく俺の涙を拭う。

「すいません。副会長様を守るのが俺達親衛隊の仕事なのに…すいません」
溢れ出す涙を拭い副会長様に謝ると、副会長様は何処か困ったような表情を浮かべる。

「ほら、未遂だし大丈夫だよ。それに君等のおかげで僕はいつも助かってるし、…お願いだから…泣かないでくれよ。」
「すいません。一番泣きたいのは副会長様ですよね。…すいません」

やはり何処か困った顔をして他所を向いていた副会長様はこちらを向き、ヘラッと笑い
「今日はありがとう。…えっと君は僕の親衛隊の子だよね?これからお茶会だし行こう」

さっきまで襲われていたというのに
それを感じさせないほど強くて優しい副会長様に、さらに俺は副会長様を守らなくてはという気持ちが強まる。

「……はい」






君との接点を作るためにワザワザ駒を用意し、君の帰る頃を見計らって襲われていたなんて言えないな……
まさか泣かれるなんて…
でも泣いてる君もすごく可愛かったよ。






解説
ガチムチ親衛隊と副会長の温度差はやばいです。
ガチムチ親衛隊は真面目で副会長のために頑張ろうと、守らなきゃと一生懸命で少しシリアス気味なのに対して副会長は
『あの筋肉に触りたい。むしろ雄っぱい触りたい。可愛いなぁ。汗ぺろぺろしたい』とただの変態。
美人の皮被った変質者。無表情の裏では真っピンクの事しか考えてない。
本当は腕っぷしは強い。だけど今回はワザとガチムチ親衛隊とのキッカケを作るために抵抗しなかった。


prev next

bkm
×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -