平凡×ナルシスト
リクエスト



俺の幼馴染はハッキリ言ってバカだ。相当のアホ。

自分の容姿を素晴らしいと信じて疑わず、勉強もスポーツも自分は完璧だと思っている。

毎日毎日鏡を取り出しては自分の容姿を見て『今日も俺はカッコいい…』と呟くが、別にカッコ良くもないし不細工でもない。
確かに勉強は出来る。いつも予習復習を欠かさず授業もしっかり受けてる幼馴染は学年一位だ。
しかし如何せん頭のネジが緩いアホなので褒めるに褒めらない。なんたってアホだからな。褒めると調子に乗る。
あとスポーツはダメダメだ。本人はカッコつけてるつもりだが運動神経が元々無いので端から見てるとその悪さがよく分かる。
ボールを蹴ろうとしたのにスカす。何もないところで転ぶ。泳いでる姿なんて溺れてるのかと間違える程だ。
しかし自分では『ボールが照れて俺を避けてしまう』『地面が俺を離してくれない』『水は俺の事が大好きなんだな』と…、どうしようないバカだ。本当に。



「…なんかあったのか?」
隣から視線を感じ振り向くと幼馴染が少し目をキラキラさせながら俺を見る。
ため息つきたい気持ちを我慢し声をかけると幼馴染はさらに目をキラキラさせた。

「あははは。やはりわかってしまうか。そーかそーか仕方ない。いやいや、仕方ない。何があったかお前にだけは教えてやろう」
…めんどくせー。どうせ対したことじゃない。
そうわかっていてもなんだかんだこの幼馴染に弱い俺は黙って話を聞いてしまう。

「ほら、俺達のクラスにイケメンがいるだろ?俺じゃなくてもう1人のイケメンの。ホント、俺程では無いがまぁまぁのイケメンのな」
「あぁ、そーだな」
「そのイケメンにな、どうやったら俺みたいにモテモテになるのか伝授してほしいって言われたんだよ」
いやー参るなー。確かに俺ってイケメンだし?完璧だし?だからってなぁ…と騒いでる幼馴染とは反対に俺は苦虫を噛み潰したような顔になる。

こいつには厄介な点がある。
平凡顔のナルシストで自意識過剰なバカなアホだがモテる。女にではなく、男に。
共学でこいつ自体ホモでもなんでもないのに何故か尋常じゃない程にモテる。
だが本人はその事に気付いて無い上に、またアホな事に自分は女の子にモテモテだと勘違いしている。

過去に届いた幼馴染宛の男からのラブレターをことごとく女の子からと勘違いし、指定場所に行き男から告白までされてるのに『お兄さんか何かですか?妹さん本人から告白するよう言ってください。』と的外れな言葉を返し、幼馴染に恋してた輩達を撃沈させていた。

そして最後にいつも俺に『いやー、これだからモテる男は辛いねー。恥ずかしがって兄弟に頼る子ばかりだよ』と言う。
別にフラれた奴等に同情する気持ちは一欠片もないが、幼馴染のアホさ加減にはいつもため息が出てしまう。
いくらなんでも告白してくるやつ全員が男だということにおかしいと、そろそろ気付けよ。



「…っで?イケメンくんに伝授お願いされてどーする訳?」
「そんなもん断ったわ。俺の手解きを受けたらモテるに決まってんだろ?そんなん俺以上に女の子にモテられたら困るからな」
こいつはバカだしアホだしナルシストだが無意識での危機管理能力に長けている。
本能なのか何なのか俺にもわからないが、こいつは自分に危険が及ぶ前に回避してしまう。
元々厄介な点を抱えてるがこれのおかげでこいつの貞操と日常は今だ守られている。

イケメンくんの話を断ったということはきっと幼馴染にとってイケメンくんは危険な存在なんだろう。
こいつ自身たぶん近付かないだろうが、俺も注意してこいつに危険が及ばないよう見守ってやるか。


「帰りなんかおごれ」
「なんでだよ!?」
「…幼馴染くんはいつもカッコいいなー。イケメンだなー。ひゅーひゅー」
「そうだろう。そうだろう。いやいや仕方ない俺はカッコいいしイケメンだからな。奢ってやるよ」
お前に危険がないように俺も手伝ってやるんだ。
それなりに報酬はもらわなきゃな。






解説
要素薄くなってしまいましたが、なんだかんだこの語り手の平凡くんはナルシストな幼馴染くんのこと好きです。大丈夫です。

この先幼馴染くんの事が好きな男の子に『お前もあいつのことが好きなんだろ?』とか挑発されて『そーだよ。わりぃかよ。でもお前らと違って俺はあいつに言うつもりねーから』っていうのを幼馴染くんにたまたま聞かれて、幼馴染くんはアホでバカのナルシストだけど自分なりにたくさんたくさん考えて
『お前は俺の事がその、好き…なんだろう?だから、その、付き合ってやってもいいぞ。…俺はカッコいいからな。男まで魅了させてしまうからな。あははは』とかなんとか言って幼馴染から告白されると思います。


prev next

bkm
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -