芸能人×学生
「遊都ー、今日山北公園でドラマの撮影あんだって」
「ふーん、そーなんだー」
雑誌を見ながら、友達の井上の声を意識半分で聞いてると

「そんなこと言って、お前絶対これ聞いたら俺のこと感謝すんぞ」
といつにも増して井上が自信満々に言うので、しょーがない聞いてやるかと雑誌に向けていた目を井上に向けてやると、
井上はニッコリ笑い

「今日山北公園でドラマの撮影に来んのって『安田浩介』なんだぜ」っと。
思わず読んでいた雑誌を机にバンッと叩き置き、井上の方へと前のめる。

「その情報は本当なのか?」
「だからそう言ってんだろ。なっ?俺に感謝したろ?」
っと言う井上に、
おう!初めて感謝したぞっと言うとヒデーっと言われたが、俺はそれどころじゃない。
あの、安田浩介を生で見れるなんて…!!

コースケはルックスも演技も良く、モデルや俳優をしている。
芸能界では期待の新星とまで言われてる、人気上昇中の売れっ子芸能人。

俺は読者モデル時代からずっとコースケの事が大好きな無類のコースケファン。
ちょうど今もコースケが専属モデルをしている雑誌を読んでいたところだった。

井上の情報によれば今日の午後に人気女優とのドラマのデートシーンを公園で撮ると言っていた。
人気女優の方には全く興味が無いが、コースケを見れるという嬉しさで今から放課後が楽しみで仕方がない。







放課後、学校が終わってすぐ井上を引きずり山北公園へ向かうと、すでにたくさんの人だかりが出来ていた。

「ちょっ!人多くね?」
と愚痴る井上に、そりゃー人気なコースケが来てるんだから当たり前だろっと言うと
ホンット、遊都ってコースケが好きだよなと呆れられた。
でも俺の言った通り、集まっている人の殆どはコースケファンのようで皆『コースケコースケ』と言っている。

「ほれコースケ見たいんだろ?もっとジックリ見れるように前行けよ」っと井上に促され
サンキュとお礼を言ったあと、人の波を掻き分けながら前の方へと進んだ。
前へ行くと、ちょうど今から始まるようで、歩いている人気女優とコースケがいた。

「うわぁ…、本物はやっぱカッコ良いな」
関心して見ていると、歩いていたコースケと1度パチリと目が合った。
だがそれはほんの数秒だけで、クルリと監督らしき人にコースケは近付いて行き、そのあとすぐに撮影が始まった。
コースケは噛みもせず台詞をスラスラ言い撮影は進んで行ったが、人気女優のピンシーンで何度も人気女優が台詞を間違えたり、噛んだりと撮影が進まなくなった。

結局今日は、人気女優のピンシーンの撮影までで終わり
最初見たきりコースケを見ることが出来なかった。
クソォーっと人気女優を少し恨んだが、コースケを初めて生で見れたしいっかと考え、井上と合流して途中まで一緒に帰った。

井上と別れてから、ふと誰かにつけられてる気配がした。
おそるおそる見ることも出来ず、後ろを見ないよう走り出すと、後ろからつけてきた奴も走り出した。
恐怖で無我夢中で走るが後ろからの気配がどんどん近付き、とうとう腕を掴まれてしまった。

「…っ!な、なんですか!」
後ろを振り向き、掴んでいる人を見ると背が高く、深くパーカーの帽子を被っていた。
そいつは下を向きながら

「一目惚れしたんだ。俺と、付き合ってください」と。
わけがわからず目を丸くする。
どうみても相手は男だし、もちろん俺も男だ。
それなのに一目惚れ?付き合ってくれ?お互い男同士なのに何言ってんだよ…
コースケの事は男とか関係無しに、コースケだから好きなだけで、別に俺はホモって訳じゃないしと
どう断ろうか悩んでいると

「俺、初めてなんだこんな気持ち。本気でお前の事が好きなんだ」
本気さは十分に伝わっては来るが、第一知らない人だしとチラリと相手を伺うと、丁度俺が見上げると相手の顔がバッチリ見えた。
そして見えた顔に俺は驚き、目を見開きながら指差した。

「コー…スケ?」
俺の後ろを着け告白して来た相手は、さっきまで山北公園で撮影していたコースケだった。
俺の言葉を聞いて相手は「うん」と頷きパーカーの帽子を取った。
どうすればいいのかわからずとりあえず、あと数mだった家にコースケを招き入れた。







親は単身赴任中なので必然的にコースケと2人きり。

「…何か飲む物もってきますね」
生コースケの顔を直視出来ず、そそくさと台所へと向う。

紅茶をコポコポとコップに入れながら
そういえば、コースケに告白されたんだよなぁ俺
と冷静に考えられるようにはなった。
今更だが、コースケに告白された嬉しさと恥ずかしさで顔が赤くなってきた。
コースケがホモだったことや、こんな平凡な俺を好きだと言ったり
驚くことはたくさんあるが、コースケの言葉が嘘じゃないならとても嬉しい。
憧れのコースケと恋人になれるなんて想像しただけで爆発しそう。
そんな事を思いながらコースケの元に行くと、学校へ行く前に見ていたコースケが出ている雑誌を、コースケ自身が見ていた。

「あっ、ごめんなさい。今すぐ片付けますn「もしかしてお前って、俺の事好きなの?」」
急いで雑誌を片付けようと伸ばした手をコースケに掴まれた。
いつもの俺なら恥ずかしがらず『好きだ』っと言えるが
本人を前にして恥ずかしく中々言いだせない。

「…は、はい」
やっとのこと声をだし肯定すると、コースケは掴んでいた俺の手を離した。

「良かったぁ。そーいえば名前なんて言うの?」
俺の肯定の言葉を聞き嬉しそうに笑うコースケに、俺は端的に「遊都」っと答えるとコースケは繰り返し「遊都、遊都」と嬉しそうに呟くので思わず笑ってしまった。

今までコースケが目の前にいることに緊張していたが、笑ったことで少し緊張が解け、やっとまともにコースケの顔を見ることが出来た。
するとコースケは撮影の時とは違う、綺麗な笑顔で
「やっとこっち向いてくれたね。遊都」と笑った。
今まで緊張してちゃんと見れてなかった分、その綺麗な笑顔の破壊力はとてつもなく、俺は再び顔を真っ赤にさせた。

「遊都ってホント俺の事好きなんだな」
「わ、わかっててやるなんて酷いですよ安田さん」
赤い顔のまま返事をすると何か不満だったのか、コースケはムスッとした顔をした。

「遊都には『浩介』って呼んでほしい。あと、敬語いらない」
浩介は俺を見つめながら目線が合うように立ち上がる。
「こ、浩介?」
「なぁに?遊都」
突然ぎゅっと浩介に抱き締められテンパるが直ぐに浩介の心臓の高鳴りが聞こえ唖然とする。
浩介の気持ちを疑ってた訳じゃないが、普通より早い心臓の働きに最初会った時に言われた言葉を思い出した。

「浩介は俺なんかみたいなやつでいいの…?俺、男だよ」
「…俺は遊都だから好きになったんだ。名前も何もわかんないのに目が合った瞬間、この人が大好きだって直感でわかった。他でもない遊都の事をね」
そう言われ照れないやつは居ないだろう。
案の定照れてしまった俺は浩介の事が見れず、浩介の胸に顔をうずめた。





解説
浩介くんはバイです。物事には基本的に無関心でほとんどが作り物めいてる。
モデルより俳優になりたいため演技について特訓中。22歳。

3年前にたまたま買った雑誌で読者モデルをしている浩介を見てからファンになり、ブログやテレビの出演状況は毎日チェック。盲目的に好き。
きっと浩介にお願いされたら断れない。
もしそのお願いが『ノーパンでセーラー服着て』というお願いでも恥ずかしがりながらも着てくれます。もちろんノーパンで。


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bkm
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