王道×巻き込まれ
最初から無理だったのかもしれない。


転校生の坂上 香哉は、
髪型はいつもボサボサで、ぶ厚い瓶底眼鏡のせいで表情が伺えず
だけど一見優等生に見えるがとてもフレンドリーで明るい。
そんな香哉を、俺は好きになってしまった。


最初こそは、無駄にフレンドリーで、しかも美形に好かれる体質な香哉に俺は苦手意識を持ち、平凡な俺は傍に要るのが嫌ですぐに香哉から離れた。
だが離れるタイミングが遅かったらしく、美形共の親衛隊からのイジメが始まってしまった。

香哉は美形共の友達と認められイジメはないが、俺は美形共の友達でもなんでもなく
それなのに一瞬でも俺みたいな奴が美形共の隣にいることが不愉快に思えたんだろう。



俺は香哉から離れたのに、それでも香哉は俺に優しくしてくれた。
ある日俺は、クラスメートに騙され好きでもない奴に犯されそうになった。けれどギリギリの所で香哉が助けに来てくれた。
俺は服が乱れてる事も気にせずただただ泣いて泣いて泣きまくった。
そしていつもみたいに『大丈夫か?そばからいなくなってて心配したぞ』と優しく接してくれた香哉を俺は好きになった。


気付いてしまった自分自身の恋心を否定せず、どう香哉にアタックするかを考えていた時、思い出したくなかったが思い出してしまった。

そうだった…香哉は美形に好かれやすい体質で、今も進行形で香哉の事を好きな奴等が多いんだ…

例えば生徒会。
あいつ等は時間も場所も関係なく香哉に近づいてくる。
それに香哉の同室者の元一匹狼の不良。
こいつはいつも、俺と香哉が話していると俺を睨んでくる。
今まではビクビクと怯えていたが、もう負けない!!




…そう決めたが、もう挫折しそうだ…

香哉に助けてもらった次の日、いつも通りだが少し、ほんとぉ〜に少しだけ香哉に自分からくっついてみた。
案の定不良君に睨まれて怖かったが、知らんぷりをして気にしないようにした。
だけど生徒会の奴等が俺達の教室に来て、会長が俺の前を通る時俺にだけ聞こえる声で
「ヤられて自主退学すれば良かったのに、お前…邪魔。」
と言われた時は流石に怖くて泣きそうになった。

昨日の恐怖を思い出して下を向いているとき、いつの間にか俺の前に来ていた香哉に頭を撫でられた。
不覚だが本格的にまた泣きそうになるが直ぐに普通を装い笑った。




そんな日があって数日の今日、とうとう俺は生徒会に呼び出された。
用件は多分香哉の事だなと思い、素直に生徒会室へ行った。
生徒会室には予想通り生徒会の奴等と不良君がいた。
俺を見た生徒会と不良君はいかにもな嫌な顔をモロに出しながらも喋り出した。

「お前、香哉の事好きだろ」
隠すつもりもなかった俺は無言で頷いた。

「はっ、お前みたいな平凡が香哉の事を好きなる権利なんてねぇーんだよ」
「あなた気付いて無いんですか?香哉はあなたの事邪魔だと思ってるんですよ」
「だからキモイ平凡は可愛い香ちゃんに近づかないか、死んでくれない」
「死ね」
「…」
頷いた俺をみて直ぐ様嫌悪感を露わに言葉を発する会長並びに生徒会の皆さん。

そして最初に戻り、俺はこんな奴等を見て思った、 最初から無理だったのかもしれない。 っと、
美形のこいつらに顔は勝てないし、性格だってこいつらと同じぐらい悪い。

美形5人に囲まれ、これからタコ殴りにでもされるのかなぁ〜っと思った。
あぁ、そういえば今みたいに俺が犯されそうになって諦めてた時に香哉は『ドガッ、…バコンッ』
そうそう、こんな感じに助けに来てくれ…た?

音のした方を見るとそこには何故か香哉がいた。

「こ‥や、っ!」
声を出して気づいた。
内心諦めていた俺だがやはり怖かったようで、ギリギリでまた助けに来てくれた香哉に安心して涙が出ていた。

「ユキ、大丈夫。俺が助けに来たから…
おいお前ら!今まで好き勝手にさせてたがもう終わりだ。
俺に構うな。ウザいんだよ」
香哉は俺の手をつかみ走り始め、俺も引きずられる形で泣きながらも生徒会室から出て行った。
そして何処かの空き教室に入り、香哉は俺を見た。

「大丈夫か?」
「香哉好き、大好きなの。大好き香哉、香哉。」
香哉の声に何も考えられない頭で考えでた言葉は告白だった。
香哉は驚いた顔をしたあと、優しく笑い、
「俺も、大好きだよユキ」
と言いながら、軽く唇を合わせた。

次は俺が驚いた。
まさか両想いだったなんて思っておらず、両想いだとわかった俺はまた涙を流した。

「‥いつ‥から?」
「初めてあった時から、世に言う一目惚れってやつだな」
香哉は俺の頭を撫でながら表情が伺えないが多分笑った。

「ホントにホントにホント?」
「ホントにホントにホント。ユキこそ本当に俺の事好きなの?」
「…うん。大好き香哉。」
「俺もだよ、ユキ」






解説
これだけ見ると王道君はいい奴な上にカッコいいヒーローですよね。
ピンチな時に必ず助けに来てくれるなんてそりゃ惚れますよ。

香哉が転校してきて一緒に行動するようになり、ユキの元からの友達は全員離れて行きました。ユキは友達いません。


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bkm
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