可愛い×ナルシスト
あー…僕ってばやっぱり、罪作りな男だな

いつものように朝、僕が下駄箱を開けるとそこにはラブレターが入っていた。

最近の子は恥ずかしいのか全然僕に告白して来ない。
いつもこちらに視線を送ってくる皆の気持ちを、僕はしっかり分かっているんだから恥ずかしがらなくてもいいのに…
でも何故か僕から視線を送るとみんな顔を歪ませて他所を見るんだよ
あはは、新手の照れ隠しかな?皆可愛いね




放課後になった今、僕を呼び出した子が来るのを待っている。
差出人は佐野來くん
僕はなんと学園のアイドルである佐野くんまで惚れさせてしまったようだ。やはり僕の存在は罪。

自分の存在がいかに周りに影響を与えているかを考えていると目の前に佐野くんが現れた。

「よ、洋君に話があります」
「いいよ、なんでも言ってごらん」
どうだ、爽やかにこのセリフ。
佐野くんはもっと僕に惚れたはずさ

「あの…その、す、好きです。つ、付き合って下さい。」
地面につくんじゃないかと思う程深々とお辞儀をする佐野くん。
こんな純粋で可愛い子を断ることなどしない僕はすかさず返事をした。

「こちらこそヨロシク」
「ホントですか!!あの…、早速なんですけど、僕の事、名前で読んでくれませんか?」
「來、じゃあ僕からも一つお願い。
タメなんだから敬語は止めて」
「わかった」


來と付き合い始めてわかったが、來はスキンシップがとても多い。
ことある事に、胸・脇腹・肩・腰・尻・太股を触ってくる。
來はよほど僕の事が好きなんだな

そして、來と付き合い始めて1週間たった今日、
いつものように朝、僕が下駄箱を開けるとラブレター‥ではなく果たし状が入っていた。
内容は、
今日の放課後に体育館裏に来い っと。

きっと僕がカッコ良すぎで逆恨みでもしたんだろう
しょうがないさっ、なんたって僕は世界で一番カッコイイからな




時間は案外簡単に過ぎるモノであっという間に放課後になってしまった。
体育館裏に着き、数分待つと草むらから3人程のガタイが良い奴等が出てきた。

「お前が來くんと付き合ってる野郎かよ。全然カッコ良くも何ともねぇじゃん」
「こいつより俺等の方がイケメンじゃね?」
「ハハッ、その通りだな」
コイツ等は何を言ってるんだ?
僕がお前等よりブサイクだと?
有り得ない話だ…

「100歩譲ってイケメンじゃなくとも、僕は少くともお前等よりはイケメンだよ」
「…ふざけんじゃねよ、ブサイクのくせに俺等の來くん取るんじゃねぇよ」
「自分の顔、鏡で見てみろ」
…それは僕のセリフだよ。
それにいつ鏡を見てもカッコイイ僕しか居ないよ

「どうせ、來くんが可愛いからってストーカーでもして脅したんだろ」
「はぁ…?」
「俺等がひ弱な可愛い來くんに代わってお前を潰してやる」
『ドガッ』
いったぁ‥、モロに僕のカッコイイ顔に当たったじゃないか
3対1なんて卑怯だろ…

「さっきから見てりゃぁ、人の彼氏の事さんざん言いやがって…。洋がブサイクだ?テメェ等がブサイクだろ。
しかも、洋は『カッコイイ』んじゃなくて『可愛い』んだよ。」
っと何故か僕の彼氏こと來が出てきたが、僕は來の発言にも行動にも理解が出来なかった。

だっていつも可愛く、
僕と話すときなんて頬を赤らめながら話す“あの”佐野來が僕を可愛いと言い、目の前のゲス野郎共に暴言を吐き、自分の事を俺と言う。

驚き過ぎて何も言葉を発せられない間、來はゲス野郎共を殴ったり蹴ったり…
あの小さい体の何処に、力強く殴ったり蹴ったりする力があるんだ…?

唖然としてる間にゲス野郎共を倒した來はこちらへ来て僕を抱き締める。

「洋、‥大丈夫?いや、大丈夫じゃねぇよな…可愛い顔に傷付いたし。」
落ち込んだ様に來は言うが
それより、なんで、なんで今僕は來に抱き締められてるんだ?
それに僕は自分の事をカッコイイと思って生きてきたのに可愛いって…
わけがわからない…

「ら、來?僕は大丈夫だから…
殴られたけど見た目ほど痛くないし…は、離れてくれ!!」
勢いよく尽き離そうと両手に力を入れて肩を押すがビクともせず、逆にもっと強く抱き締められてしまった。

「可愛い可愛い洋の顔に傷が有るなんて、本当に許せないよ…」
「…なぁ來、僕は可愛いのかい?カッコイイんじゃなくて?」
一番疑問に思っていたことを言うと、來はキョトンっとした顔をし

「俺は一度も洋の事カッコイイなんて思ったこと無いよ?」
それはそれでショックなんだけど…
僕は自分の事をずっとカッコイイと思ってた訳だし‥。

「來の方が断然可愛いじゃないか。それに性格と口調が変わってないか?」
「まぁ、見た目は可愛い系だけど洋が一番可愛いよ。え?あ…これが素だよ」
來の台詞に思わず顔が火照る。
なんで僕、來に可愛いって言われて照れてんだろ?

「素?じゃあなんで今まで隠して…?」
「だって洋、可愛い系が好きなんだろ?だから可愛いくして洋に好きになって貰おうと思って」
どんな來でも僕は可愛くて好きだし、そこまでしてくれなくてもよかったのに…

「そうだけど僕は今の來も十分好きだよ。だからこれからは無理しなくて良いから」
精一杯自分の気持ちを伝えると、何故か來は鼻を抑えながらニッコリと笑った。

「これからは遠慮なく攻めてくから、覚悟しておけな」
っと、僕を指差しながら宣言した。
僕の彼氏は僕より断然可愛い顔をして、男前だったらしい。



この先、來を押し倒す気満々だった僕が逆に來に押し倒されるのはもう少し先の話






解説
平凡顔のナルシストで自意識過剰な洋くん。
可愛くもカッコ良くないけど、來くんには可愛く見えるらしいです。

可愛い顔してるが來くんはバリタチです。本人は隠す気ゼロなのに周りが勝手にネコだと勘違いしてるだけ。
穴がアレばなんでもいいと割と來くんはヤリチンでしたが、今では洋くん一筋です。


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bkm
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