なんで…、
なんで俺が地域最強の不良の青柳に告白せにゃならんのだ…
まぁ、告白する理由はただ単に幼馴染みとのゲームで負けて、
その罰ゲームとして告白することになっただけなんだけどね……。
しかももう、幼馴染みが勝手に青柳を呼び出しちゃったらしいし、今更どうこう言ってもしょうがないってのはわかってるんだけど
ほら、俺って一般ピーポーな平凡男子じゃん?
そんな俺に告白されて不愉快にならない訳がないじゃん…
お願いだから殴るだけで済んでと願っていると後ろからガサガサと誰かが近付いてくる音がした。
音のした方を見てみるとそこにはあの青柳が立っていた。
き、来ちゃったよ…
「…なんのようだ」
「…えっとですねー…」
男だろ俺。青柳も同じ人間だ。
人を殺すほど殴ったり蹴ったりするはずがない。
大丈夫…大丈夫だから言うんだ俺…!
「あの…好きです。つ、付き合って下さい」
あ゛ぁー、言ったぞ俺!
男を見せたぞ俺ぇー!!!
…でもこれで絶対殴られるな
『男が男に告白なんざ気持ちわりぃんだよー!どーせ罰ゲームだろ?茶化してんじゃねー』とか言われて…
はぁ…、怪我して帰って来る我が子に親がどんな顔するか…なんでこんな罰ゲームなんだよ全く…
「いいぜ」
ほらやっぱり青柳は罰ゲームだっt…んっ?…は?聞き間違え?
今、了承の声が聞こえたような‥?
「なっ…え?」
「付き合うんだろ?メアド交換すっから携帯出せよ」
自分の携帯を青柳に渡し、今の俺の状況を考えた。
えっと俺が青柳に告白した→青柳が了承した→俺と青柳は晴れて恋人同士→メアド交換
今ここか!
…って恋人同士?俺と青柳が!?
えっ、嘘?青柳って女だったのか?
いや…、あんな男前でカッコイイ女がいるなら俺は男をやめる
って事は、俺が女の子だったのかな!?
いや何をバカなことを言ってるんだよ俺は、生まれてこのかた共に過ごしてきた身体、女な訳がないだろ
ということは、もしかして青柳が勘違いしてる…?
「俺、女の子に見えますか?」
「…いや」
あーだよな。うん、わかってたよ
俺もそんな勘違いしてるなら地域最強の不良だとしても無理矢理青柳に眼科を勧めていたと思う。
ってことは、青柳は熱があるんだきっと!
俺はそう確信し、俺より背の高い青柳のオデコへと手を伸ばした。
「?!」
あれ?熱なくね?
うーん、もしかして手だったからちゃんと計れなかったのかな?
じゃあ、オデコd…
ん?今俺、誰のオデコを触った?
その上、誰のオデコに自分オデコをくっつけようとした?
はっ、として青柳を見ると
青柳は顔を下に下げ、耳を赤くさせていた。
どうみても、怒ってますね
「すすすすいませんんんんんん!!」
俺が噛みながら謝ると青柳は口を手で隠しコチラを見ないで返事を返す。
「別に…いい。携帯返す」
「えっ?あっ、うん。あ、ありがとう?」
そう言い青柳はその場から立ち去ってしまった。
無事怪我することもなく告白を終えたが、明日からの俺の生活は一体どうなってしまうのか
青柳の後ろ姿を見送りつつ俺は頭を抱えた。
完
解説
幼馴染は青柳くんの隣の席の子です。
いつも青柳くんが、主人公くんを見ていたり、興奮しているのを見て最初は『え?マジで…キモい。あり得ない。しかもあいつを…いやいや趣味悪っ』と思ってたが何も行動を起こさない青柳くんを焦れったく思い、色々手を回した。