年下上司×年上部下
僕、金村譲は入社してから早7年は経つが、未だ出世もできず一般社員のままだった。

「金村さん。書類できましたか?」
この人は僕の直属の上司である東 修司さん。
僕より7個も年下だが上司をしている。
こーいう年下が上司の時実感するけど、僕ってホント『最後のゆとり』だな…と

「あと数分で終わります」
「それでは、終わるまで此処で待ちますね」
ニコリと笑いながら隣のイスに腰をかける修司くん。
近すぎる距離に僕の心臓は爆発寸前になってしまう。

ドキドキ胸を高鳴らせながらもちらりと修司くんの方を伺うと、修司くんの顔が至近距離にあった。

「金村さん?大丈夫ですか?手動いてませんよ」
「!?す、すいません。ちょっと考え事していて…。あの…、終わりました」
終わったばかりの書類を修司くんに渡し、きっと赤いであろう顔を見られまいと席から立とうとしたが修司くんに腕を捕まれてしまいそれは叶わなかった。

「?東さん?な、なんですか?」

下を向きながら聞くが、修司くんは何も考えていなかったのか「えっ?あっ…」っと言ってパッと手を離した。

「僕、飲み物買いに行きますね…」
そう言い、その場から離れようとしたがまたしても修司くんに腕を捕まれてしまった。

「金村さん…、今日の夜空いてますか?空いてるなら、ぜひ一緒に飲みにいきませんか?」
まだ顔が赤いままだろうが、構わず顔を上げ「空いてます」と即座に返すと
「良かった。じゃあ、また後で」
と笑い、周りにバレないように軽くキスをした。

その姿を後ろから僕はボケーッと見送る。
修司くんカッコいい…


最初は修司くんが僕に告白をしてきた。
こんな冴えない7つも年の離れたおっさんに何を言ってるんだかと最初は冗談だと聞き流したが、諦めず毎日のように告白してくる修司くんに僕はどんどん絆され
気付いた時にはもう僕も修司くんの事を好きになっていた。

だけどなかなか自分の気持ちに素直になることができず、修司くんを避けたり
お酒で気持ちを紛らわせたりと色んな事をした。
だけどやっぱり自分の気持ちには嘘をつけず、毎日のように修司くんが好きだという思いに胸が苦しみ、枕を濡らした。
そして数ヶ月前、やっと覚悟を決め、修司くんを飲みに誘い、お酒の力を借りて今度は僕から修司くんに告白をした。

修司くんからの返事はもちろんOKでその日から僕達は晴れて恋人同士になった。

数ヶ月前の出来事だが未だに信じられない。
それにどうして修司くんみたいなカッコ良くてなんでも出来る将来の有望株が僕なんかを好きになったのかも理解できない。
でもまぁ、修司くんの僕への好きという気持ちは疑わない。
本人は気付いてるかわからないが僕といる時、好きだと身体全体から滲み出てる。
それを見て疑える訳ないし、恥ずかしいけど愛されてるのだと実感することができる。

飲み物を飲み一息つきながら考えるのは今日の飲みのお誘い。
告白した時以降二人で飲みに行くのは初めてだ。


あれから修司くんとの約束が楽しみであまり仕事も手につかず、あっというまに帰る時間になってしまっていた。

「金村さん終わりました?」
「は、はい」
それじゃ行きましょうかと修司くんは言い駐車場に向かった。
…駐車場!?

「東さんって車で来てたんですね」
修司くんの車に揺られながら聞いた。

「あっ、はい」
修司くんが車を持っているのは知っていたが、飲みに誘われたから今日はてっきり電車通勤して来たと勝手に思っていたから驚きが…
えっ?じゃあ、修司くん今日お酒飲めないんじゃ?

「今日、俺飲まないので金村さんが代わりにいっぱい飲んで下さいね」
僕の考えてることがわかったのか、修司くんはニコリと俺を見ながら言う。
悪いなと思いながらも「はい、ありがとうございます」と返した。
そうこうしてる内に、修司くんの常連のお店につき
「金村さんは遠慮せずにどんどん飲んでください」と修司くんに言われ
僕は、修司くんに言われた通りぐびぐび飲んでる時に気付いた。
『そうだ、僕ってお酒弱かったんだ』
そう思いながら僕の意識は途切れた。








ふにゃふにゃしだし、ニコニコと楽しそうに顔を赤くしながら笑う譲さん。とても可愛い。

「しゅーじくん」
「どうしたんですか?金村さん」
「…やぁ、譲って呼んれよ」

取ってつけて飲みのお誘いをしたせいで俺は酒を飲めず、その代わりに譲さんにたくさん飲ませたらベロベロに酔ってしまい、急いで家に連れて帰ってきたがこれはとても可愛い。

「譲さん」
「なーあーにぃ?」

可愛い抱き締めたい。俺より7歳上だなんて到底思えない。



最初は別に譲さんなんて男だし興味なかった。むしろ俺より年上なのに部下だということを少し気まずく嫌だなとも思っていた。
だけど年下の俺に『これでいいですか?』『お茶いりますか?』といつも頼りなさげに聞いたり、俺を気遣い、様子を伺ってくるのは正直小動物のようでとても可愛かった。
その時から少しずつ俺は譲さんへの想いを募らせ、とうとう爆発して告白をした。
後悔はなかったがとても困ってる顔をする譲さんを見た時は申し訳なく思った。
だけど俺も諦める訳には行かなくて毎日のように愛の言葉を囁き続けたら避けられるようになった。
さすがにやりすぎたとそこでようやく気付き、しばらくの間距離を置いていたら突然譲さんに飲みに誘われ、飲みの席で告白された。
驚いたがそれよりも嬉しかった。
もちろんOKを返し、その日から晴れて俺達は恋人同士になった。

「ふふ。好きですよ」
「僕もしゅーじくんらいすきやよ。ちゅー」

譲さんにキスを迫られキスをするとニコニコと笑顔になったがちかくして譲さんの反応がなくなった。
譲さんを見てみるとやはり寝ていた。
可愛い寝顔に我慢が出来ず、寝ている譲さんのオデコにキスをし、身体を持ち上げベッドまで運んだ。
今すぐにでも食べちゃいたいけど、それはやっぱりしっかり譲さんが意識あるときじゃなきゃね。
おやすみ譲さん。






解説
ゆとりが社会人なって数年後、年下上司とかいるんでしょうかね…どうなんでしょうか。

譲さんは修司くんとお酒飲むのを楽しみにしてたのもあるが、密かに今日は一線越えるぞと目論んでた。でも酔ってしまい叶わなかった。

修司くんはただ単になんでもいいから譲さんと一緒に居たくって取ってつけたように飲みのお誘いをした。下心はゼロだった。でも酔ってる譲さんを見て結構グラグラきてた。


prev next

bkm
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -