イケメン×女装男子
平井マコト17歳。男。趣味は女装。
こんな俺ですが実は彼氏が居ちゃったりします。
でもその彼氏には俺が男だってことは言ってません…
…これ、カミングアウトしたら絶対嫌われるよな?
どーしよう……



「マコト?さっきからどーしたの?体調でも悪い?」
「んーん、元気だよ…。」
デート中の今だって俺の事を心配して声かけてくれるし
もう、こんな良い人絶対居ないよ…

俺の彼氏である新妻エータは俺と同い年で、しかも実は同じクラスメートでもあったりする。
スポーツも勉強も出来、その上顔も良いクラスの人気者のエータくんと
クラスの端にいる何処にでも居そうな平凡野郎の俺とでは月とすっぽんと言っていいほど違う。
しかも、俺男だし

「マコト…。やっぱり体調悪そうだし今日は帰ろっか」
カミングアウトを諦め、いっその事タイでも行って工事をし、本当の女にでもなろうかと考えているとエータくんが心配そうに俺の顔を覗いていた。

「ごめんね。気遣わせちゃった?」
「大丈夫だよ。それより俺はマコトの体の方が心配だよ」
相変わらずイケメンで優しい…
俺、こんな良い人を騙してるなんてホントに最低だな…。

結局今日のデートは中止し、俺の体調を気遣いながらエータくんは家まで送ってくれた。




家に帰りナチュラルメイクを落とすと、いつもの平凡顔が鏡に写った。
何度見ても何処にでも居そうな平凡顔だが、何処にでも居そうな顔だからこそナチュラルメイクをするだけでその辺に居るような女みたいな顔になる。
女装好きの俺にとっては得な顔だ。

「姉ちゃーん、要らない可愛い服あったら頂戴ねー」
「わかったー。そーいえば、ちゃんと彼氏に、自分が男だって言ったの?」
…姉ちゃんめ…、今一番痛いところを突きやがって…

「まだ言ってない…。言ったら絶対嫌われるし…」
俺がそう言うと姉ちゃんは、ふーんじゃあ頑張ってっと言って部屋に戻ってしまった。
頑張ってって何を頑張るんだよ…
フラれる覚悟をしろってことか?
はぁーマジどーすれば良いんだよ…




どんなに嫌でも明日は来てしまい、少し憂鬱になりながらも
「よし」と自分に気合いを入れ、いつも通り行く準備を終わらせ学校へ向かう。


「平井はよー」
「んぉー、はよー」
学校に行く途中で友達の1人である金子に後ろから声をかけられ、俺も挨拶を返す。

2人で昨日のバラエティや宿題の話をしながら学校までの道のりを歩き、教室の扉を開けると先に来ていたもう1人の友達である早見がいきなり俺にギュッと抱き着きながら「助けてー」っと言ってきた。

金子は呆れながらも笑い、俺はいきなりの早見の行動に驚く事もせず
「はいはい、お望みなのはこれだろ?」と淡々と言いながら宿題の答えが書いてある数学のノートを早見に渡した。

早見は「サンキュー」と言い離れて行く際
『これ写したら寝るから、数学の時間になったらどっちか起こしてね』っと言い、自分の机へと戻った。

「…めんどいから金子よろしく」
「えっ?俺もめんどくせーよ。ってか寝るあいつが悪いし起こさなくてもよくね?」
「だな」


数学の時間も無事終わり、早見が数学教師に寝ていたことをグチグチ怒られているのを見てスッキリしたなっと心の中でほくそ笑んだ。
だが、同じクラスであるエータくんを目の端で見てしまい、スッキリした気持ちは吹き飛びため息をつく。

同じ学年で同じクラスなのに大好きなエータくんと話せないなんて…
元々は女だって偽りながら付き合ってる俺が悪いんだけど
やっぱ、近くに居るのに話せないっていうのは辛すぎる…

エータくんは仲の良い友達と話をし、時折笑顔を見せる。
ボーッとエータくんに見とれていると若干怒り気味の早見が俺に近付き「おらー!平井、よくもやったな!」と言って俺の脇腹を擽った。

おまっ!脇腹擽るとか反則だろ!?
笑いがっ…
「やめ……んっ!っんはぁっ、…ハァハァ…やりやがったn『バゴン』」
いきなり聞こえてきたデカイ音にビックリし、音のした方を見るとエータくんが居た。
音の原因はエータくんが机を足で蹴り出た音らしく、エータくんの前に転がっている机は見るも無惨な形に歪んでいた。

「新妻…どうしt「マコト来い」」
エータくんといつも一緒にいる友達の1人がエータくんを心配して声をかけるが、エータくんはそれを途中で遮り、何故か俺の名前を呼びながら俺の腕を掴んで教室から出た。



着いた場所は屋上だった。
「新妻くんどーしたの?」
何故屋上に連れて来られたのかわからずエータくんに話し掛けると何故かギュッと力強く抱き締められ。

「いつもみたいに『エータくん』って名前で呼んでよ」
…は?いつもって、…えっ?
それって女装してる時の事を言ってんのか?
…でもエータくんは『マコト』が男だなんて知らないはずだし…
離してもらい、少しエータくんから距離をとる。

「いつもって、何のこと言ってんだよ」
「えっ、そりゃーこういう事をする仲ってことだろ?」
そう言い、エータくんは俺に近付き軽いキスをした。

「なんで?ってか、知って…」
「俺の恋人のマコトが男だなんて俺は最初から知ってたけど?」
どーして?なんで?と疑問の言葉が頭の中でぐるぐると浮かび回り出す。
ならエータくんは『マコト』が男だってわかってて付き合ってたのかよ?

「じゃあ女装してたことも…」
「うん、知ってた。むしろ俺の為にいつも可愛くしてるのかと思うと理性を保つの大変だったよ。
でも、女装ってマコトの趣味なんだろ?」
俺は驚きすぎて言葉が出て来ず、口を無意味に開けたり閉めたりする。

「マコトはわざと学校では話し掛けて来ないのかな?って思ってたけど、俺が知ってたことを知らなかったの?」
無言で首を縦に振りまくる俺にエータくんは俺の頬に手を添え

「女装してるマコトももちろん可愛いけど、そのままのマコトの方が何倍も可愛いってのは知っといてね」
っと言われ、俺は顔を真っ赤にさせながら再び首を縦に振ることしか出来なかった。

そんな俺を見たエータくんは納得した後意味ありげにニコッと笑い
「あと、今回は許すけど教室であんなエロい声出して襲われたらどうすんの?俺も場所を選ばず襲っちゃうよ?」っと言ってきた。
あぁ…、だからさっきあんなに怒ってたんだな。でも、

「でも、エータくんになら襲われたいな…」
自分ではボソッと言ったつもりだったが近くに居たエータくんにはしっかり聞こえてしまい
「可愛い可愛い」言われながらまた抱きつかれた。
俺は抵抗せずエータくんにされるがままにする。
少し経つとエータくんは身体を離し、真っ直ぐ俺を見つめた。

「問題も解決したし、俺の名前呼んでよ」
男の姿で『エータくん』って呼ぶのは恥ずかしいなと思いながらも
俺も本来の姿でエータくんの名前を呼びたいと思い、おずおずと口を開く。

「…エータ…くん。エータくん、エータくん?エータくん!!」
軽く上目遣いでエータくんを見つめると、エータくんは手で顔を隠ししゃがんでしまった。

「…何んだよそれ…。誘ってんのかよ」
俺は今度こそエータくんに聞こえないようにコソッと
「そーだよ。誘ってるよ…」と言うとエータくんは『よいしょ』っと立ち上がり
「今からデート行こっか」と言いながら俺の手をとって歩き出した。
俺は驚きながらも「うん」と笑い、足を動かした。




おまけ
本当の姿でデート出来るのは嬉しいがいつもみたいに女装していないので、エータくんとキスも出来ないし手も繋げない。
寂しいなと考えてるといきなりエータくんが俺の手を掴んだ。
ビックリしてエータくんを見上げるとエータくんは、シィーと人差し指を口に当てニッコリ笑った。
そんなエータくんの行動に嬉しいと思いながらも周りにバレないようにエータくんの手をギュッと握り返した。





解説
女装好きの男子が悩む話。
別にエータくんもマコトも男が好きだったわけではありません。

街でエータくんにナンパされ、流れで付き合うことになってしまい、デートするたびに別れを切り出そうとしていたが言えず逆にいつの間にかエータくんを好きになってしまったマコト。

街で女装してるマコトを見つけ、冗談半分で『俺は同級生の平井だと気付いてませんよー』と装いナンパし遊んでみると案外楽しく、また遊びたくて次の約束を取り付けるためにお付き合いを申し込む。どんどん遊んでるうちに好きになり、このまま本当の恋人になっちゃえと甘い言葉や紳士的行動でマコトのハートを掴みました。


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