バカ?×溺愛
「あはは、カズキはバカだなぁ」

俺は、イスを後ろに向け、俺の後ろで数学のプリントを見て「うーんうーん」と唸っているカズキに言葉をかけた。

「…ヒロトー!もう無理。わかんねぇー」そう言い、カズキは机の上に伏せてしまった。
そんなカズキを見た俺は『あ゛ぁー、そんなバカなカズキが可愛い』っと考えていた。

密かにこの後ろの席のおバカちゃんであるカズキ君の事が好きな俺はニコニコが止まらない。
自分よりバカな天然ちゃんがなついてくれてるのは正直可愛くて可愛くて仕方ない。
今日だって、カズキが『ヒロトお願い。放課後に勉強教えて』って言うので教えてあげてるがそれでも問題が解けないのか今も唸っている。
今すぐにでも抱き締めて『おバカだなぁ。でも可愛いぞ』と言ってやりたいがその気持ちを抑える。

「ほらほら、俯いてっとずっと問題解けねーぞ」
俺がカズキにそういうとカズキは
パッと顔を上げた。
けれど上げられたカズキの顔は至極不満そうな顔をしていて思わず笑ってしまう。

「なんだよその顔。」
笑いながらカズキの頭をガシガシ撫でてやると今度は不満顔からニコニコ顔に変わったカズキに俺はカズキを直視出来なく、目を逸らした。

「あー…ほら、もう6時だし今日は帰るか。問題は明日も見てやるから」
「ふふ。ヒロトは優しいねー」
カズキから逸らしていた目を戻そうとしたが何故か急に腕を引っ張られ、ほっぺに何かが触れた。

「…っ?!」
「いつもありがとうね。お礼のほっぺちゅー」
ニコニコ笑うカズキに俺は口をアワアワさせながら視線を彷徨わせる。
きっと今の俺の顔や耳は赤くてなってるだろう。
どうしよう。俺の気持ちがカズキにバレてしまっただろうか…

「な、何してんだよ…!?」
「お礼だよー。いつもありがとーヒロト。大好きだよー」
…はぁ、俺はお前のこと恋愛感情で好きなのに、お前は俺のこと友情として好きなんだろう?
そんなことしないでくれ。これ以上お前を好きになりたくない。

嬉しいけど切ない気持ちになる。
俺がいくらカズキの事が好きでもこの気持ちはこれからもカズキとの関係を壊さないようにするためには、決して言っていけないこと。

「あぁ、俺も好きだよ。でも突然はやめろよな。ビックリするだろうが」
「ごめんごめん。ねぇ、今度は唇にしようか?」
「…冗談はよせって、男同士でキスなんて気持ち悪いだけだろ」
ニコニコ笑うカズキは可愛くて好きだが、冗談でもそういうことは言わないでほしい。
期待するし、期待した自分が嫌になる。
カズキは俺の事を友達としか思ってないんだ。そんな純粋なカズキの気持ちを穢したくない。

「えー、俺はヒロトとキス出来るし、気持ち悪くなんてないよー」
「はいはい。ありがとな。それよりお前はもっと勉強を頑張れって」
ぶー垂れるヒロトに苦笑いを返す。
無いことだが、俺がもしヒロトに告白したら気持ち悪がずに一生懸命考えてくれるのかな?

「ふーん…じゃあもし今度のテストで俺がヒロトより順位上だったら、ヒロトから俺にキスしてね!もちろん唇に!!!」
「出来るならやってみろよバーカ」
「ふんっだ。そう言ってられんのは今の内だからな!!覚悟しとけよ」
出来るはずのない無茶な約束を取り付けるバカなヒロトに腹から笑う。
無理だろ。さっきまでやってた問題すら教えてもらっても解けないのに何を言ってるんだか。
だがカズキの発言に、少し落ち込んでいた心が晴れた。

プリントを鞄の中に居れるカズキに『おら、先行くからな』と教室から出ると『もー待ってよー』と言いながらカズキが追いかけてきた。
その姿に俺は微笑んだ。


「やっぱり、ヒロトは笑ってる方がいいね」





怒涛のテスト勉強を経てテストを終えた。
これでまた通常の生活が戻ってくると思われた。
けれど掲示板に貼られてるテストの順位に俺は開いた口が閉じれない。
俺の名前の上どころか1番上に何故かカズキの名前が載っていた。

「なっ…なん、で…。は?」
「ふふ。約束は、しっかり守ってね?」
いつもと変わらないニコニコ顔のカズキに俺の日常が大きく変わりそうな予感がした。







解説
カズキくんは本当はバカじゃないです。高スペックです。
バカな振りしてるだけで本気出せばなんでも出来るが、ダルくてやる気出さないだけです。
カズキくんはヒロトくんの気持ちを知りながらも一途に想ってくれるヒロトくんが可愛いからとまだ自分の気持ちを伝えずにいます。
このあときっと色々関係が変わって行き、ヒロトくんやカズキくんの望む結果になると思います。


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