綺麗な笑顔の意味が気になった。
いつも教室の窓側で1人読書をするあいつの笑顔。

1年半も付き合っていた彼女に別れを告げられ教室で泣いていた俺にあいつ‥坂上 雄大は綺麗に笑い、教室から立ち去った。
何故坂上は泣いてる俺に笑ったのかと考えた。
最初は男のくせに泣いてるのがみっともなかったからや、実は俺の元彼女が好きだったからと思い付いた。
けれどみっともなくて笑うならあんなに綺麗に笑わないし、坂上ほどの美形なら元彼女よりももっと良い女が女の方から近づいてくると予想を否定し、やはり何故だかわからなかった。

一連を友達にも相談すると、友達から意外な返答が帰ってきた。
『笑っただけで何でそんなに坂上の事気になるんだ？』っと。
友達に言われて初めて気付いた。
何故笑っただけなのに坂上の事がこんなに気になるのだろうか。
友達の返答について考えていると、今度は『お前もしかして、坂上の笑った顔に一目惚れしたんじゃねーの？』っと。
俺は迷いもせず、『あぁー…、そうかも』っと告げた。
それからの俺はもう坂上しか見えなくなった。


坂上を見始めて気付いた事が数個ある。
坂上はいつも1人でいるから、人と話すのが嫌いなのかと思っていたがそんな事もなく、話しかけられれば普通に楽しく会話をしていた。
他には、美形な坂上に告白する奴が多いって事。
だが坂上は1度も告白をOKした事がなく、恋愛にとても無関心だ。

ボーッと机に肘をついて坂上を眺める。
本を見る坂上の横顔はとても美しい。
本当に男なのか疑いたくなるほど長い睫毛に、白い肌、鼻も高く、まるで神に愛されてるのではと考えるほど完璧だ。
そんな完璧な坂上は同じ男にもモテるらしい。
かく言う俺もその1人だが、話に聞くと過激なストーカーもいたとか。


体育の時間も俺は坂上観察を勤しむ。
しかし短パンから見える坂上の生足に見てはいけない気分がしてあまり直視出来ない。
思わず顔が赤くなってしまう。

俺の気持ちを知ってる友達に『見過ぎ』と言われ、ようやく自分が坂上に見惚れて居たのに気付き、視線を外そうとした。
けれど外そうとした瞬間俺は坂上と目が合った。
そしてまたあの時の綺麗な笑顔をした。

あぁ、……坂上の笑顔をもっと見たい。坂上の笑顔の意味を知りたい。
坂上の事を知りたい。坂上…坂上…愛してる。



完


解説
危ないです。主人公はストーカー予備軍です。このままだと坂上くんの荷物を取ってそれを宝物にしたり、ズリネタにしはじめます。
でも大丈夫。同じクラスになってから坂上くんも主人公くんの事好きですから。

坂上くんは教室に忘れ物をして『めんどくせー』と思いながらも教室まで行ったら、たまたま主人公くんと彼女が別れ話をしているのを聞いた。
そして彼女が教室から出たことで我に帰り、教室の中に入って忘れ物を取って帰ろうとしたのだが、主人公くんが彼女と別れたことが嬉しくて思わず笑ってしまった。というのが笑顔の真相です。嬉し笑いです。