人気者×平凡2
街が赤一色なのを見て今年もこの時期が来たのかと感じる。

でもあんま来てほしくなかったかもな…
別にバレンタインが嫌いという訳ではないが、どうせ本命からチョコを貰えないとわかっているのに、こんなイベントなんてただただ無意味にしか感じない。
どちらかが女ならもしかしたら手作りチョコでももらえたかもしれないが、俺の本命の相手こと森田永汰も俺も男同士で友チョコすら期待出来ない。



望まなくても明日というものは来てしまうもので、登校中の俺の両手はチョコでいっぱいになる。
「今年もありがたいほどいっぱいだな…」
自分の下駄箱の中パンパンに箱やら紙袋に入ったチョコが沢山入っていた。
教室に行く途中でも渡され続け、やっと教室に着いた時には両手では持ちきれない程のチョコを抱えていた。

チョコを持ったまま「はよーっす」
と中に入ると、皆が茶化しながらも挨拶をしてくれる。
それに応えるように「今年も結構もらっちゃった」と返してやると、男共に悔しそうに分けやがれと言われチョコをかっさられた。
かっさられたお陰で俺の荷物は軽くなり、自分の席に座ろうと席に向かうと森田が紙袋を持ったまま立っていた。

なんだあの紙袋…。もしかして女子の誰かからチョコもらったのか?
気になり「森田!」と声をかける。

誰かにもらったのかと聞いてみると、違うよと否定され安心したのもつかの間、
じゃあ、森田が誰かにあげるのか?と尋ねると「うん。そーだよ」と言われてしまった。
もう1つ気になっていたことを聞くと、手作りだということも発覚した。

…森田の手作りチョコ。俺も食いたい。
自分の気持ちが口から出てしまいそうになるのを無理矢理止め、
聞きたくないが聞きたい本命チョコなのかどうかを聞く。
これで本命いるとか言われたら立ち直れないかも…
心狭いと思われても森田と誰かが付き合うことに俺は祝福なんて出来ない。

「あぁ、これはいつもお世話になってる人に渡そうと思って作ったやつだから本命ってより義理かな」という森田の言葉をきいて俺は心底ホッとし「そーなんだ」と言い立ち去ろとしたが、いきなり森田に腕を掴まれた。

少し上目遣いで何処か必死そうに
「待って!あの、これ、明石にいつもお世話になってるからどうぞ」と森田から紙袋を渡された。
突然の出来事に着いていけなかったが、紙袋を見て森田が俺に手作りチョコをくれたんだとわかり、嬉しくて堪らなくなった。
本当に良いのかと聞くと「よかったらどーぞ。…でも味は保証しないよ?」と言われ、俺の気分は最高潮になった。
やばい…やばいって。嬉しすぎる。
思いがけない本命からの手作りチョコに俺は平静を保ってられない。
森田からの手作りチョコを今すぐにでも食べたいが勿体無くて食べれない。本当に、…嬉しい。

自分の心の声が漏れ出す前に「おぉ」と言い、森田に顔を見られないよう背を向けた。
きっと今の俺は酷い顔をしていてとても森田に見せられたもんじゃない。

ホワイトデーのお返し何にしようかな





解説
森田くんの5倍ぐらい明石くんは森田くんのこと好きです。
森田くんに消しゴム拾ってもらっただけでその消しゴムが宝物レベルです。
きっと森田くんの手作りチョコなら鼻血だしながらも永遠に食べ続けます。

ちなみに続きはありません。
ホワイトデーの話は書いてないです。


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bkm
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