ヤンデレ×溺愛
「とーやー、この手首に付けられたこれって何?」
「見たらわかるっしょ?手錠だけど?」
いやいや、何が『手錠だけど?』っだ!こんなん見ればわかるわ!
俺が言いたいのは
「何でこんなの付けられたかの理由が知りたいんだけど」
俺の発した言葉に、冬也は端正な顔を少し歪ませ
「ふーん、奏太は俺をこんなに悲しませといて知らんぷりするんだぁ」と手錠をかけられてる手を頭の上で押さえつけられた。
何言ってんだよ?
俺が愛しの恋人である冬也を悲しませるわけないだろ…
「えっとー…、冬也何か勘違いしてんじゃねぇの?」
服の中に入ってきてる冬也の手を気にしつつ問いかけると
「…しっかりと奏太が女と腕組んでるのをこの目で見たんだから疑いようがねぇだろ!」
俺の問いかけで火がついたのか、さっきより乱暴な手付きで俺の胸や下半身を弄りだした。
そんないきなりの事で余裕の無い中、唯一考えられたことは最近会った女が冬也の妹だけだという事だった。





乱暴に抱かれ、いつの間にか気を失って寝ていた俺が目を覚ますと、
冬也は居なかったが、その代わりにまだ俺の手首には鎖付きの手錠が繋がれたままだった。
外れるかなぁ?と思いながら引っ張ってみるが思ってた以上に固く、手の方が痛くなりやめた。
ふと、どこからか視線を感じて、扉に目を向けると、扉には壁に寄っ掛かっている冬也がいた。

「この鎖、鉄製だから力入れて引っ張ると手の方が先にダメになんぞ。
でもこれでようやく奏太と俺は、ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと…永遠に一緒に居られるな。
あっ!食べ物とか排泄は安心して。
俺が責任持って食べさせたり、見ててやるからさ。
元はと言えば、俺が居るのに浮気なんかするからこんなことになったんだからな?言っとくけど、反省してももう許してあげないから。
ハハハハハハハハハ、これで奏太の世界は俺だけしか居なくなったな。
俺今スッゲー嬉しい」
…これが噂のヤンデレってやつ?
今までも結構独占欲激しいなとは思っていたけど、こんなにも激しかったとは…いやぁ、俺ってスッゲー愛されてたんだな。

ともあれ冬也のあの言い方からして俺は今日から此所で監禁されるみたいなんだけど、んな事恋人にされるなんてむしろご褒美に感じるのは俺だけか?
だって、衣食住を一緒にする上に食べさせたり排泄の手伝いもしてくれるんだろ?
さすがに排泄は恥ずかしいけど冬也になら別に構わない。
恋人とずっと一緒に居れるだけでも幸せなのにそんなことまでしてくれるなんて、嬉しいったらありゃしなi「なぁ、奏太ちゃんと聞いてんのか?」
「少し考え込んでた」
正直に言うと、また不機嫌そうな顔をした後、近くにあった椅子を冬也は蹴っ飛ばした。
「俺以外の奴の事、考えんじゃねぇよ」
俺、さっきからずっと冬也の事しか考えてないんだけどなぁ
「なにか?浮気相手の女のことでも考えてたのか?ん?」
浮気なんてしてないのに、そんな居ない人間のことなんて考えられないって。
ってかそろそろ誤解解かなきゃな…
居もしない俺の浮気相手さんを殺しに行きそうな雰囲気になってきたし…
冬也に怒られてる時って愛を感じるから、いつまでも怒られていたいけど、冬也が悲しんだり苦しんだりする姿は見てたくないし
しょーがないか…
「さっきから俺の話聞かないで考え事ばっかしやがって、
そんなに浮気相手の女の事が好きなのかよ…。……その女誰?今から殺しに行く」
殺しに行くって…、俺が会ってたのは冬也の妹だから
妹を殺しに行くってことになるぞ
いやいや、身内を殺しちゃ駄目だろ

「冬也ぁー。何処にも行かないから
とりあえず、俺の持って来たカバンの中に入ってる青い包み開けてみ」
今、俺のカバンの中にはとっても大事な、冬也に明日渡そうと思っていた物が入っている。
本当は明日じゃなきゃ駄目だけど、これ以上不安にさせたくないし仕方ない。

「……ペアマグカップ?」
中を見た冬也は疑問そうに、青い包みの中に入ってたペアマグカップを見て呟いた。
「明日って冬也の誕生日じゃん
自分で自分の誕生日忘れてたのかよ?」
俺の発言を聞いて冬也は目を丸くさせ始めた。
「だって女と…」
「だから、それは冬也の勘違いだってば。あれは、冬也の妹の美穂ちゃんじゃん」
「美穂があんな可愛らしい服なんて着なi「美穂ちゃん最近彼氏出来たんだよ。んで、彼氏の好みに合わせた服をなるべく着てるんだって」…美穂に彼氏?でもなんで美穂と二人きりで…」
「俺一人じゃ冬也の誕生日プレゼント何買えば良いかわからなかったから美穂ちゃんに選ぶの手伝ってもらったんだよ」
喋りながら冬也に近付き、目の前まで行き、手錠が掛かった手首のまま
冬也に抱き着いた。

「でもなんでペアマグカップ?」
「美穂ちゃんがね『きっと、奏太くんが買ったものならお兄ちゃんなんでも喜ぶよ』って言ったから、冬也とお揃いのものが欲しくて…
嫌だった?もしかしてペアとかうざかったか?」
今更になって自分が欲しいからという理由でペアマグカップを買ったことを後悔した。
冬也の誕生日なんだし、冬也が欲しい物じゃなきゃ意味無いじゃん…
やべー…やっちまった。
冬也の表情を伺おうと冬也の顔を見上げると同時に唇に柔らかい感触がした。

「…んっ。…はぁっ……とー…や?」
「嫌なわけないだろ!凄く嬉しい。ありがとう。あと、あの…ごめんな?誤解だったのに酷いことして…」
「俺の事が好きだからしたんだろ?そんな事してくれるなんて俺超幸せものじゃん。だから許してやる」
出血大サービスだからなーと茶化しながらも誤解がとけたことにホッとしていると

「でも、美穂だったとしても二人っきりっていうのは許せないなぁ…」
っと冬也は意地悪そうな笑みを浮かべた。
「はいはい。なんでもしますから。とりあえずこの手錠取ってくれよ」
「だーめ。今日もこのままヤろうぜ」
「はぁ、もう……勝手にしやがれ」







解説
この受けは性格男前です。大抵のことは笑って許してくれます。
しかも攻めを溺愛してるので攻めがどんなことをしても『仕方ねーなー』と思ったり『可愛いなチクショー』ぐらいにしか思わず、さらに惚れ直すだけです。多少口は悪いところがありますが愛ゆえです。

冬也くんの方は少しワガママで末っ子気質です。思い込んだらなかなか誤解が解けないし、何かと理由を付けて甘えてきます。無意識です。
本人は自分をワイルドな大人だと思ってます。ばかわいい。


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bkm
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