猫かぶり×平凡
最近とても不思議な事が起こっている。
元々中学一年まで俺には凄い仲の良い幼なじみが居た。
居たという言い方をしたら死んだのかってなるが、決してそーいう訳ではない
今も元気に暮らしている
何故『居た』かと言うと、理由は今はもう向こう側が俺の事を友達とすら思ってないからだ
だから中学一年から今まで嫌われたと思ったから理由はわからないがアイツの為にも関わらないようにしていた。
なのに最近、幼なじみだったはずの西田優が突然昔と同じように話し掛けたりなんだりしてきた。
4年間ずっとたまたま同じクラスだったが最低限の会話しかしてなかったはずなのに…
最初は戸惑ったが、昔と同じようにしてくれて内心嬉しく思いながらも、西田の行動に疑問を持った。



「にーしの!」
朝、ホームルームが始まる前に数少ない友達とペチャクチャと雑談してるなか、教室に入ってすぐのドアの前で10人中10人がイケメンだと即答する程カッコイイ顔を満面の笑みを浮かべながら手を振る西田の姿に無意識に頬がひきつる。
うわぁ、西田だ…
ってか何で今日の西田、爽やかさ三割増しなわけ?
クラスを越え学校の人気者である西田が来たことで男女共々西田の元へ向かう。
勿論さっきまで俺と話していた数少ない友達も西田の元へ行ってしまい
一人ぼっちになった俺は机にうつ伏せになりながら、西田やその周りを見ていると西田は何かを周りに言ったあと一直線に俺の元へやって来た。
「おはよ。っで、どーいうことかな?」
何でコイツは俺の前だと本性見せて他のやつらには猫かぶってんだよ…
性格悪いなぁ
ってか、さっきから爽やかさ三割増し笑顔のまんまじゃね?
「うん、おはよ。どーいうことって?」
まぁ何となく何を言いたいかはわかるが、なぜ作り笑いをする程怒ってんのかは俺には全くわからないんだが…
西田は顔を俺の耳元まで近付け
「テメェー、なんで俺を待たなかったんだよ」
とやっぱり爽やかさ三割増しな笑顔のままとてつもなく低い声で呟いた。
「だってお前が眠いから先行ってろって言って起きないからだろ」
「あ゛ぁ?無理矢理起こせばいいだろが。あと、んなこと言ってねぇよ」
コイツの寝惚けてるときの記憶が全く無いせいで俺はどんだけ苦労したと思ってんだよ…
まぁ、ここ4年間は平和だったがな
だがここは俺に非がないとしてもことを納める為には謝るのが大人だと思いしぶしぶ謝ると
「わかりゃいいんだよ」と爽やかさ三割増しの笑顔ではなく、逆に爽やかさなんて一切感じないような少し子供っぽい笑顔を浮かべクラスメートの元へ戻った。
あんな胡散臭い爽やかな笑顔じゃなくて今みたいな笑顔の方が俺は好きだなぁーっという事を思い、咄嗟にいやいや男に好きって何言ってんだよ俺っと自己嫌悪しながらもクラスメートと話してる西田を見て
やっぱ子供っぽい感じの無邪気な笑顔の方が西田には似合うなと思いながら、机にうつ伏せになって目をつぶり夢の世界へ一人飛び立った。



さっきからガタガタ揺れてね!?
もしかして「地震!?」と思い立ち上がり周りを見渡すとビックリした顔をするクラスメートと笑っている西田がいた。
「寝ぼけんなって。もー昼だぞ」
突然の事に頭がついていけてない俺に西田が笑いながら言った言葉に、『あぁ俺寝てたのか』と気付き寝ぼけて恥ずかしいこと言っちまったと顔を赤くしながら直ぐ様教室から出ようと弁当を持ちドアに向かおうとしたら西田に腕を捕まれた。
「…何?」
直ぐ様、今赤いであろう顔を隠したいのに止めんなよ…
「久しぶりに一緒に食うぞ」
…は?こいつは何を言ってんだ?
しかも命令口調だし
一応俺には数少ないが一緒に飯食う友達なら他のクラスに居るし
幼なじみだから家近いし言われるがままに行きや帰りは最近一緒に帰ってたが、昼はさすがに遠慮したい…
西田に文句を言おうと声をかけようとしたとき突然西田が俺の腕を掴んだまま歩き出した。
ちょちょっ!?転ける!
ってか、まだ返事すら言って無いのに勝手に連れていくとことか今も昔も変わらないなぁー、チクショー
懐かしく思いながら転けないように西田に着いて行くと屋上についた。
「俺、いつも昼飯食う友達居るんだけど」
「……知ってる」
知ってるって…
なんで知ってるのに誘った上に勝手に連れてこさせたんだよ
本当に変わらなすぎ…
悲しいような嬉しいようなと複雑な気持ちを抱えながらも、今まで疑問に思ってた事をこの際だぶつけちまえと思い、俺は口を開いた。
「お前さぁ、最近なんなわけ?4年間何もなかったのに、なんで関わってくるわけ?」
ストレートな質問に西田は黙りこみ、頭を下げ顔が見えなくなった。
「…き……と…だ」
西田はボソリと何か呟いたが聞き取れず、もう一度聞くと
「…っち。お前の事がずっと好きなんだよ」
こいつは何を言ってんだよ?
なんでこのタイミングで好きが出てくんだよ!?
ってか好きなら、友達見捨てるなよ
「好きならなんで4年も…」
「お前絶対好きの意味わかってないだろ。友達って意味じゃなくて恋愛な意味でお前が好きなんだよ」
…は?
友達じゃなくて恋愛ってどーいうことだよ?
友達だろ…?
その前に俺も西田も男同士なのになんで?
「なんで?とか考えてんだろ。俺、小学校入る前からずっと好きだったんだよ。小さい頃からだったし男同士の事は何とも思わなかったけど、お前にとって俺の想いなんて気持ち悪いだけだって気付いたら怖くてそばに居れなかった」
こいつは一体何を言ってんだよ?
恋愛的な意味で好き?
性別なんて関係ない?
小学校入る前から好き?
「あのさ西田さぁ、そんな昔から俺の事好きなくせして俺の事全然知らないんだな」
俺の発言を聞いた西田は少し怒り気味に「なんのことだよ?」と聞いてきた。
「俺の初恋の相手って男なんだけど」
西田は少し驚いた顔をして「俺の知ってるやつか?それとも俺と居なかった4年間の間に知り合ったやつか」
もうなんか溜め息つきたいんだが…
「すっごい好きだったのにその人、理由もわからず4年間もクラスメート位の扱いしかしてくれなくて何度も泣いたんだよ俺」
おっ!次はさっきより驚いて、アホ面になってる。
「そ、それって…お、俺?」
やっと気付いてくれた。
俺だって男も関係なく西田の事が好きだった、西田が俺の事を好きだって事は知らなかったから、俺は4年間凄く苦しかった。
好きだった人に理由もわからず嫌われたんだと思って辛かった。
「今更だけど、俺も好きです付き合ってください」
「勿論だ」
でもこれからは、西田と離れてた4年間の苦しさや辛さを忘れるぐらい一緒に居て幸せになってやる。





解説
お互い悩みまくりの4年間だったと思います。
西田はずっと前から西野の事が恋愛感情で好きだということに自覚はしていたけど、中1になった辺りからエロい目で西野の事を見るようになり、自己嫌悪して、もしこんな自分が西野にバレて嫌われでもしたらと考えて怖くて離れることに決めました。でも大人になった西田は自分の気持ちは置いといてでもまた友達として接したいと思うようになり、また構い始めた。
西野もずっと前から西田の事が好きだったけど、男同士だからと自分を抑え、自分の気持ちを見ない振りしたり、泣いて忘れたりしていた。


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