ヤンデレ×溺愛
「どこにも行っちゃダメだからね沙都。もし沙都が離れていったら、俺は迷わず沙都を殺して俺も死ぬから。
そしたらさ、ずーっと沙都と俺は一緒に居られるね。
沙都…大好きだよ?ねぇ、大好き!大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き…。殺したいぐらい愛してるよ」
「晴海。状況が全く把握できないんだけど…」
キッチンで晩御飯の準備をしていると後ろから晴海が抱き付いてきた。
晴海の発言に気付いてる人は気付くだろうが、晴海はヤンデレな俺の恋人。

今までネットとかでよくヤンデレやメンヘラな人達に好かれて苦労している人の話を見て、俺には関係ない事だと思いながらもヤンデレやメンヘラに好かれると大変なんだなぁと思っていた程度だったが、
いざヤンデレな晴海に好かれた俺は大変さも何も無かった。
むしろ、こんなにまで俺を愛してくれる晴海を愛しく思い、晴海が俺にくれる愛と同じ位俺も晴海のことを愛してあげたいと思うぐらいに俺も晴海のことが大好きだ。
だからなのか俺達はずぅーっとラブラブなままだ。
それにメンヘラと違ってヤンデレは、溺愛が行き過ぎただけで苦労も何もない。
あるとすれば、直ぐに不安に思ってしまうだけだ。
だがそれも俺を愛してるからこそ不安に思ってくれてるのだと考えると、俺は愛されてるんだなと幸せな気持ちになり決して重荷にはならない。
今だってきっと、何か不安に思ったから言ってきた言葉なんだろうと予想がつき、問いただすと
ギュッと抱き締めながら
「起きたら沙都が居なくて、どっかに行っちゃったのかと思った」と。
そーいえば、昼間にソファーで一緒にテレビを見てたらいつの間にか2人とも眠っちゃって、
晴海より先に起きた俺が慌てて晩御飯の準備をし始めたのだと思い出した。
起きたときに俺が居なくて不安に思った晴海が俺を探しに来たってことかと納得し、なるべく優しく「1回身体離して」と言ったが、晴海はイヤイヤと絶対に離そうとしなかったので
「じゃあちょっとだけ力を弱めて」というと大人しく従ってくれた。
力を緩めた瞬間素早く俺と晴海との間の空間に自分の右腕を通し、晴海の左脇腹をしっかりと掴み
無理矢理ぐるんと身体を回し身体も顔も晴美を正面から見る形にさせた。
いきなりの行動だったので晴海驚きながらも、とても嬉しそうにさっき同様抱きしめ、正面に来た俺の頬っぺに優しくキスをした。
「晴海がぐっすりと寝てたから起こせなかったんだ…ごめんね」
今度は俺が晴海の頬っぺたにキスをすると、晴海は嬉しそうな顔した後に悲しそうな顔をした。
「沙都が俺の事を愛してくれてるのはわかってるんだけど、もしかしたら俺が寝てる間に沙都が何処かに行っちゃうかもって考えると怖くて…」
晴海の顔を見てると徐々に落ち込んで垂れてる耳や尻尾などの幻覚が見え、思わず晴海の頭をサワサワと撫でると、チラチラと晴海は俺の様子を伺い始めた。
「俺は何処にも行かないから安心して大丈夫だよ。それより俺は晴海の方が心配だな…。晴海って凄くカッコ良いから、晴海が近づかなくても女の人達の方から近づいてくるし。
浮気したら俺、泣いちゃうからね?」
「沙都以外は興味すらないから浮気なんて絶対にありえない!」
だからもっと頭撫でてっと言い、頭を撫でやすい位置に下げられ
さっきと同様にサワサワ撫でてやると、安心したように顔を綻ばせた。
とりあえず話も終わったので、一通り晴海の頭を撫で終えたあと晩御飯の支度を再開させようと、晴海から身体を離し台所に身体を向けると
晴海は後ろから俺に抱きつき、くっつき虫のように晩御飯の支度が終わるまでずっとピッタリとくっつき続けた。




朝目が覚める、いつもは隣で俺の身体をぎゅっと抱きしめながら安心したような顔して寝ている晴美が居なかった。
何かあったのでは?とわずかな不安を抱えながら一刻も早く晴海を探しに行かなければと、ベッドから出ようとした瞬間扉が開かれ、
そちらを見ると今から探そうとしていた晴海が扉の前に立っていた。
「晴美?」
俺が声をかけると晴海は満面の笑みを浮かべながら
「今日は一緒に出かけよっか」と言いながら俺を立たせ、俺の身なりを整え始めた。
突然のことについていけず晴海のなすがままにされながら考えたのは、何日ぶりの外かということだった…



数ヶ月前まで俺と晴海は本当に何も接点がなかった。
同じクラスになったことは勿論なく、俺が一方的に学校1のイケメンで有名な晴海を知っている程度で関わったこともましてや話したこともなかった。
だが卒業式の日、卒業式が終わり家へ帰ろうと学校の校門に向かうと、そこにはなぜか晴海が校門に寄り掛かって立っていた。
人気者の晴海は同級生や下級生に囲まれてそうなのに今ここに1人だけで居る光景を少し疑問に思いながらも、関係ないことだと通り過ぎようとした瞬間
晴海に腕を掴まれ突然のことで驚いてるうちにあっという間に車乗せられていた。
訳が分からず言葉も発せず、ただただ晴海を見つめていると隣にいる晴海は俺を抱き締め
「やっと触れた」と呟いた。
抵抗もせず晴海の行動を見守っていると、ちかくして満足したのか俺の体を離した途端
「俺ずっとずっとずっと前から沙都が好きだったんだ。でも、俺も沙都も男だし気持ち悪がられるだろうと思って一時期は自分のためにも沙都のためにも諦めたけど結局無理で
それならと思って、絶対に沙都が俺から逃げられないように土台から整えてたら今まで時間がかかちゃった」と『遅刻しちゃったごめんね』的な明るい口調で言うので思わず何も理解できてないまま
「あぁ、大丈夫。気にしてないから」と言うと
「よかった。じゃあ行こっか」と言われて連れていかれた場所が今も俺達が住んでる高級マンションだった。
その日から今日まで一度も外に出なかったし、出ようともせずに自分の意思で監禁されていたので本当に久々の外だ。



「なぁ晴海、俺達は今どこに向かってんの?」
「今日は初めてのデートだし、沙都が前から観たいって言ってた映画見に行こうかなって。俺的には沙都が居ればどこでも良いし、嫌なら他のところに行く?」
俺も晴海が居れば別にどこでも良いし、元々俺が観たいと思っていたものなので何も問題はないことを伝える。



あれから俺の観たかった映画を2人で見た後、適当に昼食を終わらせ
久々のショッピングに無我夢中になっている内にあっという間に夜になってしまっていた。
「久々のショッピングだったから、夢中になってて全然周り見てなかった…。ごめんね晴海、俺自分勝手でうざかったでしょ?」
家に帰ってきてから今日1日、晴海に迷惑かけまくってしまったと気付き謝ると
「はしゃいでる沙都すごく可愛かったから、俺は大丈夫だよ」と優しく笑った。
多少晴海に迷惑をかけてしまったが今日1日存分に楽しむことができたのを喜び
「今日1日ありがとね」と言うと
「良かった」と晴海が笑った。
だがすぐに真剣な顔した晴海を不思議に思い、どうしたのか聞こうとした瞬間
「…俺は沙都の事すっごい好きだけど、沙都は俺の事好き?」と聞いて来た。
「好きだけど、なんで?」
「卒業式の日から今まで沙都の有無も聞かずに監禁しちゃってたし、本当は俺のこと嫌いだったんじゃないかって…」
嫌いな奴とずっと一緒にいたなんてそんな図太いこと俺には到底出来ない。
「突然、今まで関わりがなかった晴海につれてかれてビックリはしたけど嫌じゃなく、むしろ嬉しかったよ。だから嫌いになるわけないって」
告げた俺に、晴海は泣きそうな顔をした後嬉しそうな顔をした。
だが何処か決心した顔で俺を見る。
「今更だけど聞いて…。
その、少しどころじゃなく独占欲も束縛も激しいけど貴方を一生大事にします。……結婚を前提に俺と付き合って下さい」
晴海の言葉を聞いた俺は初めて今まで「好きだ」「愛してる」と言われてきたが告白をされていないことに気付いた。
嬉しいがそれと同じ位ビックリして何も声を出せずただただ晴海の言葉を聞いた。
「有無も言わせず無理矢理沙都を連れてきたから、ずっと言いたかったけど言えなかった…
沙都は優しいから俺を可哀想に思って側に居てくれてるだけで、真剣に告白して断られたら俺何しちゃうかわからないから怖くてずっと言えなかった…」
今まで何回も晴海の不安そうな顔を見てきたが、今日はいつにも増してその表情を愛しく思う。
「晴海、俺は晴海のことを可哀想だからとか優しさだけで一緒に居るんじゃなくて、心の底から好きで…愛してる。
こんな俺ですが、こちらこそよろしくお願いします」
やっとのことで絞り出した自分の気持ちを表す言葉とともに優しく微笑むと、晴海は俺をギュッと抱きしめた。
「連れ去る前から俺の親と沙都の親に俺と沙都の結婚を認めてもらってたけど、やっぱり本人の意思が1番大事だって考えてたから、
これでやっと心おきなくずっと一緒にいられるね」
俺の親に既に結婚の了承をもらってるなんて初めて知ったが、これで少しでも晴海が安心できたのなら
俺もとってもうれしい。


「…俺さ、最近気づいたんだけど俺も晴海の事殺しちゃいたいぐらい好きすぎるから、浮気なんてしたら何しちゃうかわからないし絶対に許さないからね?」
えへへと笑う俺に、晴海は目を丸くしたあと優しく至極嬉しそうに笑った。








解説
ヤンデレを受け入れる広い心の持ち主が現れてくれさえすればヤンデレも幸せになれるということが伝わればいいです。
個人的なイメージですが私は
メンヘラは『愛して愛して。愛してくれなきゃ死んでやる』で
ヤンデレは『愛してる愛してる。殺したいほど愛してる』と思ってます。

晴海くんは元々は暗い性格で中学時代はいじめられたりしていました。
でも高校デビューして人生がイージーモードになったがそれはとてもつまらなかった。上辺だけの友達。見栄を張りたいだけの女。機嫌を伺う教師。何もかもが嫌で仕方なかった。でもそんな時に沙都と出会った。


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bkm
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