腐男子生徒会長×一般生徒
ある日僕は突然部屋を訪ねてきた寮長に部屋の移動を命ぜられた。
突然の部屋移動に驚きながらも言われてから2日後にはなんとか部屋の移動を完了させることが出来た。
最後に今まで人数が奇数だったおかげで1人悠々自適に使わせてもらった部屋に別れを告げ僕は部屋を去った。


突然といえばもう2つ、つい2週間前にしたばかりだった席替えを何故かもう一度行い、窓側二列目の一番後ろだった席から今はドア側一列目の前から三番目が僕の席になった。
一番後ろの席は日当たりが良くポカポカして快適だったが、今の席も黒板が近いし友達の席が近いしでまぁ悪くないと考えていた次の日
今度は突然時期外れの転入生がクラスにやってきた。

転入生は普通とはだいぶ違った見た目をしていた。
髪はゴワゴワでぐちゃぐちゃ…前髪は鼻の先ぐらいまで長さがあり、その上無駄にデカイ瓶底メガネをかけているせいでちゃんと見えた顔のパーツは口しかない。
こんな見た目じゃ誰も近付くのに躊躇うだろうと考えていたがそんなこともなく転校生がこの学園にやってきて1週間。
友達が沢山出来たみたいだ…全員顔が素晴らしく整ってる方々だけれども…
いや、友達だと思ってるのは転校生だけで顔が整っている学園のアイドル的存在の生徒会を含め有名人方は皆がみな何故か転校生に恋心を抱いていた。
そして転校生を自分のものにしようとアピールするために転校生のそばに居たせいで生徒会の親衛隊達はどこをどう見てるのか僕にはわからないが、転校生が生徒会役員様達に近付いて誘惑していると勘違いし(まぁ勘違いって訳でもないが)結構ハデめに転校生に制裁をしているらしい。

っていうのが僕が知ってる転校生や転校生の噂

次からは生徒会について、転校生に惚れたのは会長以外の役員全員で今は生徒会役員がやるはずだった仕事を会長と雑務4人でやっている。
何故それを一般生徒である僕が知っているかというと、それはここ最近毎日新聞部が生徒会会長に密着取材をし、それを毎日掲示板に掲載しているのでほぼ全員の生徒が会長と雑務達が他の役員達が仕事をしない代わりにその仕事やっているということを知っている。




書類を持ち帰り仕事片手で役員専用スペースで晩御飯を食べている会長のもとに転校生一行がやってきた。
いち早く会長の存在に気づいた転校生は会長が晩御飯を食べているテーブルへ走って行き、目の前まで来ると立ち止まった。
やっとそこで目の前に来た転校生の存在に気付いた会長が仕事をしている手を止め転校生を見上げると
突然転校生が「隼人!毎日何やってんだよちゃんと生徒会の仕事をしなきゃダメだろ」と無駄に大きい声で言った言葉は食堂に居た生徒全員に聞き届いた。
「どーせ隼人は毎日セフレとお盛んなんですよ」
「こんな下半身男に近付くと唯ちゃんが妊娠しちゃうよぉ〜」
「唯…今すぐ…離れる」
「…」
転校生の言葉に続くように副会長・会計・書記が転校生である朝野唯に呼び掛け、朝野が来るまで一匹狼だった不良くんは無言で会長を睨む。
会長もその場に居た生徒達も朝野や役員達の発言に口が閉じれずポカンとしていると朝野はまたもや
「隼人以外みんなやってるのに、隼人だけ仕事ほっぽりだして遊んでるのはダメだって事をちゃんと教えてあげないと隼人が可哀想だろ」
と意味不明なことを言う朝野に副会長達は
「こんな下半身男にも優しいなんて、ホント唯はいい子ですね」
「うんうん、唯ちゃんってば超いい子」
「唯…優しい」
「…」
と朝野同様意味のわからない事を告げる役員。そして気持ち悪い笑顔を浮かべる不良くん。
朝野はいかにも『良いことしたぜ』的な誇らしげな顔をしたあと会長を見ると、会長は食事を終わらせ立ち上がろうとしているところだった。
自分の話を聞いていなかった会長に怒りを露わにしながら「隼人!人の話聞いてんのかよ」という朝野の言葉にやっと口を開いた会長の一言目は「日本語でok」だった。
朝野や副会長達以外は『ですよねー。僕達も意味がわかりません』と思っていたが朝野や副会長達は会長の言葉に理解出来ないのか沈黙していると、そこに副会長や会計、書記、不良くんの親衛隊隊長が彼等の前に出てきた。
副会長が「あの下半身男はとうとう頭もやられたんですか」と問いかけると、それをものの見事に隊長達はスルーし、会長の目の前で止まった。
誰も返答してくれず赤っ恥をかいた副会長は「親衛隊の分際でっ!」と叫んでいると親衛隊隊長達は声を揃え「「「「僕達会長親衛隊に入らせてもらいました」」」」と告げた。
自分達の親衛隊長のいきなりの発言に今度は朝野含め副会長が口をポカンと開かせた。
「どーいうことですか」
いち早く我に帰った副会長が言うと、やれやれというように
「えぇー、まず俺には王d…ゲフンゲフン朝野の言葉の意味がわからない。
俺はお前ら他の役員の代わりに生徒会の仕事を欠かさずやっていたのだが」
「隼人、嘘はいけないんだぞ!だって皆が隼人は仕事してないって…「誰が言ったか知らないが証明なら此処にいるほぼ全員が証明してくれる」」
会長はポケットから新聞部が作成した会長密着取材の新聞を渡した。
それを見た生徒会役員達は顔を青くし、朝野はダンマリになった。
「これ毎日張り出されて全生徒が見てんだよ。だから仕事してないのが誰かなんて皆わかってんの。なのにお前らはコイツに夢中で遊び呆けてるから見限られたんだろ。ってことで俺と雑務君達は頑張って仕事した分今度は俺達が休むから仕事よろしくな。理事長にはちゃんと了解とってっから」
食べた食器を片付けながら言う会長に何も言えないでいる役員達とダンマリのままの朝野。
会長が食堂に出ようとした時、あっ!っと思い出したようにきた道を引き返し朝野の前で立ち止まり朝野の髪と眼鏡に手をかけ、勢いよく外した。
そして何もなかったように
「そうそう朝野、お前の計画パーになっちまったな。ざまぁー」と言い今度こそ本当に食堂をあとにした。







〜おまけにみせての、むしろ此処からが本編〜
会長が食堂から去ったあと、生徒会役員達は朝野の本当の姿を見たにも関わらず「俺達仕事してくる」やら「よく考えたら、お前のこと好きじゃなかったみたいだ」と言い去り、朝野はボーッと突っ立っていたが暫くして我に帰り走るようにして食堂から去って行った。
最初の登場からずっと語りを徹してきた僕、尾原佐和も一緒に食堂で晩御飯を食べていた友達と別れを告げ部屋に帰ってくると、2人部屋になったのに今まで一度も居たことがなかった同室者がソファーでテレビを見ていた。
後ろ姿で顔は見えないが、初めての同室者にワクワクと浮かれる気持ちを抑えながら
「今まで会えませんでしたけど、同室になった尾原です」と言うと、僕が帰ってきたことに気付きテレビを見ていた顔を僕の方へ向けた。
そして僕を見た同室者はニッコリ笑ったのと対照的に僕は初めて見る同室者の顔に驚きが隠せずに居ると
「佐和おかえりぃー、俺のことは知ってると思うけど野上隼人。この学園で会長やってます」っと、そう。
さっきまで食堂で居た会長が居た。
会長はソファーを離れ、僕の目の前まで来て頭のてっぺんから足のつま先まで見たあとギュッと僕を抱き締めた。
状況についていけない僕は「えっ!…えっ?」っと戸惑っていると
「佐和にとって俺は初めましてだけど、俺はずっと前から佐和の事知ってたんだよ。この学園王道のくせになかなか王道転校生来ないからしょーがなく、その時ハマってた不良×平凡の理想の平凡受けを探してた時に俺の妄想していた通りの人物、すなわち佐和がいたわけ。でも、ずっと観察している内に佐和の良い所ばっかり見つかりだしていつの間にか好きになっちゃってたんだよね。
んで、腐男子だからBLとかドントコイだったけどまさか俺自身が男を好きになるとは思ってなくて、最初ウジウジしてたけどその内好きになったんならしょーがないやって決心した途端に、今さら王道転校生が来るんだよ?遅いし、ブーム過ぎたから…。でも転校生の部屋が奇数で余ってた佐和の部屋で、しかも席が佐和の隣の窓側一番後ろの席になるなんて聞いたら告白うんぬんより先ずは佐和の平穏を守らなきゃって思って、使える権限を存分に使わせてもらったよ。
本当は俺も佐和に会う前なら転校生にキスでもして王道展開を楽しもうとしてたんだけど、佐和以外とキスしたいなんて思えなかったし佐和と少しでも早く会って告白できるように仕事を頑張った訳。
最近だと役員受けとかあるみたいだし、そのフラグをへし折るために雑務君達に手伝ってもらったり、新聞部に頼んで毎日掲示板に新聞張ってもらったり本当に大変だったよ」
マシンガンの様に語りだした会長の言葉の8割はわからなかったが、とりあえず大変だったんだという事は伝わった。
それと聞き間違えでなければ僕みたいな平凡を会長が『好き』と言わなかったか?
会長はギュッと抱き締めていた僕の体を離し僕の目を見つめ
「佐和…ずっと前から大好きだ。俺と付き合え」と言った。
学園の一番のアイドルである会長と付き合うなんて…っと思ったが、会長にそんなことを言われて断われる訳もなく2つ返事を返した。
その時に見せた会長の無邪気な笑顔は一生忘れられないほどとても素敵で僕は会長から目が離せなくなった。





解説
会長が語った通りですね。
王道学園で、その上人材も揃ってるのに王道転校生だけ来ないことに会長はイライラし、『仕方ない。王道は一旦諦めて今ハマってる不良×平凡の理想の平凡受けを探そう』と思って探し、見つけたのにいつの間にか惚れちゃった。でも男を好きになってしまった葛藤期間、本当に会長はずっと病んでた。
ちなみに会長が腐ったのは母親に影響されたから。

まだ完全に会長に惚れてはいないけどそれは時間の問題。会長が本気出せば落ちない奴はいない。


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