やり手リーマン×学生←友達
友達が『ここがわからない』と言うので、勉強を教えてやる為にそいつの家へ行った。
けれど部屋に入った瞬間何故か押し倒され、俺の『嫌だ!やめてくれ』と言う制止の声を無視し、最後までヤられてしまった。
終わった後は涙が渇き、視点が定まらないままの俺に謝りながらも嬉しそうに後処理をする友達の姿は俺にとって恐怖でしかなかった。


行為中俺は何度も『嫌だ』と言い、足掻きながらも敵わない力に涙を流し
『やめて』と呼び掛けたが友達は全く聞く耳をもたず、
一方的に『好きだ』『愛してる』と言い続け
抵抗する俺を縛り、口も塞いだ。




「凄く可愛かったよ観月。
あぁ、でもこんなに泣いて……目が腫れちゃうな。今、氷水持ってくるから大人しく待っててな」
ニコニコ笑い部屋から出ていく友達を見届け、俺は一人ボーッと宙を見上げる。

友達の事は嫌いじゃなかった。むしろ好きだった。
だけどそれはアイツが俺に向けてくるような意味のではなく、友達という意味で…
だがもぉ、あんな事されちゃ好き嫌いという次元じゃなく
ただひたすら、アイツが怖い。

「ただいま。はい、観月の可愛いおめめが腫れちゃうからこれで冷やしてて。俺はシャワー浴びてくるから」
「……っ…」
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
なんであんな事したのにそんな平然と笑ってられるの?
なんで幸せそうな顔してるの?
なんで簡単に触ってくるの?
俺の顔や姿、本当に見えてる?

扉が閉まったと同時に痛む身体を無理矢理起こし、ベッド付近に散らばってる自分の服をかき集め素早く着替える。
そして結局開かれすらしなかった鞄を持ち、音をたてないよう気を付けながら友達の家を急いで出て、がむしゃらに走る。
アイツに追い掛けられても見付からないよう、出来るだけ遠くへ行こうと電車に乗り込み、3〜4駅過ぎた辺りで降りた駅は今まで降りた事のない駅だった。
とりあえず改札を出てから適当に歩き出し、ちょうど見付けた公園のベンチに腰を下ろした。
『ふぅ〜』と一つため息ついたあと時間を確認すると、まだ7時ぐらいだった。
安心したせいか、再び腰やお尻が痛み出したのでベンチにうつ伏せになって寝転がってると「おい」と声をかけられた。
一瞬『アイツか?』と思い身震いしたが声が全然違うと気付き、ホッとしながら顔を上げると
スーツを着たお兄さんが立っていた。
「はいはい、なんですか?」
出来るだけ明るい口調で返すことは出来たが、笑顔はまだ作れない。
「俺と初めて会うよな?」
「そーですね。初めましてですね」
「だよな。じゃあ、お前に何があったか聞いていい?」
「…なんで?」
「悩み事って、知り合いより知らないやつの方が話しやすいって言うし。それにお前…強姦されただろ?」
お兄さんの発言に思わず目を見開く。
「…されました」
別に知り合いでもないし隠す必要も無いだろうと正直に告げる。
お兄さんの言う通り、知らない人なら虚勢なんて張る必要もないし話しやすいかもな
「お兄さんが言い出したんですから、しっかり最後まで聞いてくださいよ?」
「おー、このあと予定もないし全部聞いてやるよ」




「……って訳でこの公園にたどり着きました」
一通り話し終えたが、お兄さんは一向に喋り出さない。
「お兄さん?」
「…なぁ、抱き締めていいか?」
「…はい。どうぞ…」
お兄さんの手が俺に触れた瞬間あからさまにビクッと震えてしまったが
気にせずお兄さんは優しくギュッと抱き締めてくれた。
まだ触られるのは少し怖いけれど、今は怖さよりも温かい人肌に触れられて凄く安心する。
「怖かったな…もぉ大丈夫だぞ」
語りかけるように俺の耳元で言ったその言葉に、また涙が溢れだし気持ちも爆発した。
「怖かった。死にたかった。凄く気持ち悪かった。なんでこんな事になったのかわからなかった。
だって友達だと思ってたし、男の俺がこんな目に合うなんて思ってもいなかった…
それに『嫌だ』って、『やめて』って言ったのに全く聞いてくれないし、いつもと違うアイツが誰か知らない人に思えて凄く怖かった。
終わったあとに謝ってきたけど全然悪びれる様子がないアイツを殺したいと思ったし、なんで平然としてるのかわかんなかった。
俺、強姦されたんだよ?了承なんてしてないよ?ずっと抵抗し続けたよ?
なのになんで?なんで?なんであんな平然と居れるの?意味がわからない。もう、やだ怖い。怖いよ。全部怖い。
…それに今は逃げれたけど、また明日になったらアイツに会わなきゃいけないし、逃げた事で絶対何か言われるし、もしかしたらまた犯されるかもしれない…やだ!
やだよ、会いたくないよ!怖い!怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖いよ」
ボロボロ涙を流す俺に相変わらずお兄さんはギュッと優しく抱き締めてくれる。
「なぁ…、今言うのは反則かもしれないけどさ、このタイミングだからこそ言わせてくれ、お前の事好き。一目惚れした。」
「へっ?」
お兄さん?
いきなり過ぎて涙止まっちゃったよ俺?
「こー見えて俺、結構金持ちなんだよ」
「はぁ、」
「でな、お前1人養うのなんて簡単でさ、お前が俺と一生一緒に居てくれるなら俺もお前のそばに居続けるし、お前をずっと守り続ける。
俺と付き合うなら、とりあえず明日からお前を強姦した友達クンがいる学校に行かなくてすむけど、どーする?」
「それって脅してない?」
「うん、俺もそう思う。でもお前に一目惚れして、どーしてもお前を救いたいっていう俺のエゴだから、お前が俺と付き合いたくないなら違う方法でお前を助けてやるからそっちでも良いぞ?」
うーんと俺は悩む。
どっちにしてもお兄さんの迷惑になるのは変わらない…
それに今の俺、スゲー汚いのに良いのかよ?
「お兄さんは俺にキス出来る?俺はアイツにキスされたし犯されもしたから汚い身体だよ?それでも良いの?」
「むしろ、していいのか?強姦されたし、まだ怖いだろうと思って我慢してたのにマジでするぞ…
んで汚い身体?んなもん洗えばいい話だろ、それに俺が何度でも消毒してやるから気にすんな。
だからなぁ…、好きだ付き合ってくれ」
身体はくっついたままだが顔は真っ正面にあり、俺に向けられたお兄さんの真剣な眼差しに思わず顔が赤くなる。
「まずは、名前を教えてよお兄さん。多分、俺ももぉお兄さんの事好きだから」
つり橋効果かもしれないし、お兄さんに傷心な所を優しくされたせいかも、お兄さんに脅されたせいかもわからないが
さっきまで同じ男に強姦されて何もかも嫌になって怖くて死にたくなってたのに、今こうやってお兄さんに抱き締めてもらって凄く安心してるし、胸がドキドキ高鳴っている。
もしこの気持ちが勘違いだとしても、近いうち必ずお兄さんと同じ気持ちを俺はお兄さんに返せると思う。
「良かった…。俺が必ず幸せにしてやるから安心しろな。えっと名前?言ってなかったか…、俺は祥平。お前は?」
「俺は観月です」
身体は離され今度は頭を撫でられた。
祥平さんってスキンシップ好きなのかな?
いきなり知りもしない俺を抱き締めるし…、まぁそのおかげで安心することが出来たけどな。
「とりあえず、観月の家族への挨拶はまた明日にして今日は俺の家に行くぞ」
「いきなり明日挨拶しにいくの!?」
「ダメか?学校も辞めなきゃいけないし、挨拶しといた方が良いと思うんだが…。それに観月の家族に認められたいしな」
ニコニコ優しく笑う祥平さんの顔に目を奪われる。
暗いし、さっきは興奮してて気付かなかったが祥平さんってイケメンだったんだな…
「初めて出来た恋人がまさかイケメンな男なんてな…。俺って実はホモだったのかな?はぁー…多分家族もビックリするよ…」
「なんだよ?さっき了承したくせに不満なのか?」
「ごめん、そーいうつもりじゃないよ。…でも、アイツに強姦されたとき本当に嫌で気持ち悪かったしやっぱりホモじゃないよ俺!
きっと祥平さんだから好きになったのかも。まぁ、初めて会ったばかりだけどね」
たまたま俺を助けてくれたのが祥平さんだったけど、きっと祥平さん以外に助けられても俺はその人を好きにならなかった。


俺は祥平さんだから好きになった。


「可愛いこと言いやがって…
おし、じゃあ帰るぞ!まだ痛むなら背負うけど?」
「………すいません。お願いします」






解説
強姦されたら男だとしてもそう簡単に立ち直れない。ましてや今までずっと親友だと思ってたやつに無理矢理犯されたなんて精神崩壊するレベル。
完全に立ち直れてはいないから何度も強姦されたことを思い出して発狂するが、その度に祥平さんがギュッと抱きしめてくれます。そして2人で乗り越え克服します。
祥平さんが稼いでくれるので、基本的に観月くんは自宅警備と化す。
親には公認でいつか養子縁組をします。

友達はイカれてるタイプのヤンデレです。観月くん、ハッキリいってヤバイです。こいつに見つかったら殺されます。


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