ネルオパ(微百合?)
2011/03/20 09:01

「オパールさん。ケーキ食べませんか?」

「ケーキ?食べる食べる!!」

「じゃあ私の部屋にあるので来て下さい。」


時刻はちょうど3時。おやつの時間。

オパールがネルの部屋に近付くにつれ甘い香りが強くなっていく。

「おじゃましまーすっ。」

扉をあけると簡素ではあるものの、しっかりとしたお茶会の用意がされていた。

テーブルの上にはティーセットなどに囲まれてワンホールのケーキ。

「すご…」

「どうぞ座ってください」

「ありがとう。」

「いえいえ。オパールさんは紅茶とコーヒーどちらにしますか?」

じゃあコーヒーで、と言えば笑顔で、入れてきますね、と答えて駆けていく。

手伝おうとしたら、オパールさんは今お客様ですから、と制止されてしまった。

手持ちぶたさな状態で改めてテーブルを眺める。

紅茶にクッキー、バスケットにはスコーンでも入っているのか、開けるのが楽しみだ。
そんな中にあるケーキはよくよく見ればクリームが花のように飾られているかわいらしい物になっていた。


「お待たせしましたー。」

そう言うネルの手にはコーヒーカップ。

コトン、とオパールの前に置くとネルは向かい合うように席に着く。


「ケーキ切り分けますね。」

「あ、あたしにやら…」
「オパールさんは座っていてください。」
「……」


慣れた手つきでケーキが切られていき、

「どうぞ。」
と渡された。

「え、あ、あ、う、うん。イタダキマス。」

「ふふ、オパールさん吃りすぎですよ。片言だし。」

ネルの動作に見取れてたなんて言えないから笑ってごまかし、ケーキを食べる。

フォークを入れればちょっとの抵抗の後すぐに切れた。口に運ぶとふわっと広がる甘い香り。けれどもしつこく後に残ることの無いさわやかさ。

「おいしい…」

「ホントですか?よかったー。」

「うん、凄くおいしいよ。ねぇネル、これどこで買ったの?」

「ケーキですか?これ、わたしの手作りです。」

「うっそぉ、ホントに?」

「はい。ですからお口に合わなかったら、と心配したんですけど、喜んでいただけたようなのでよかったです。」


正直、今まで食べたどのケーキよりもおいしい。

ネルはきっと良いお嫁さんになるな、なんて感じて、少し寂しくなる。

「あ、オパールさん。ちょっとそのままで動かないでください。」

「?どうし…」

言い終わらない内にネルの手が頬に触れる。状況が理解出来ないまま、ネルの瞳が、小さな鼻が、唇が近づいてくるのだけが見える。
どんどんどんどん近づいて…

−ペロッ−



「……っ!!ネル!?なにをっ…」

「クリーム付いてましたよ。」

「…………………え?」

「あ、コーヒー冷めちゃいましたね。入れ直してきます。」

「…………………………………え?」

何事も無かったかのようにコーヒーを入れに行くネル。


「………クリーム…ねぇ。」

素でそんなことするなんて、どこまで天然で純粋なのだろうか。


もしかして、なんて考えてたが、
「あたしの期待は甘かったみたいね…」

ケーキだけに。なんて、独り呟き、うまくないなーとか考えて虚しくなる。


どうやら一方通行は終わりが見えないようだった。


帽子屋のティータイム


(顔真っ赤にして可愛かったなぁ、オパールさん。あ、そうだ、)
「オパールさん、これからショッピング行きませんか?すぐ近くに新しいお店が出来たんですよ」

「ショッピング?時間あるし行こうかな。」
(ネルとデートできる。女の子同士だし、こうやって楽しめるなら良いかな…なんて)


((にしても本当、可愛いなぁ))





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