ゼリカー?(痛いの注意)
2011/04/11 02:48

何がどうなっているのか。
状況が全く理解できない。

ひやりとした冷たい温度に手元を見遣れば、手には細目の金属が握られている。
剣にしては頼りないそれは、かるく腕を動かすと驚くほどよくしなり、例えるならば鞭のよう。片側にはノコギリのような細かい刃が付いている。
床にはハサミにキリ、ナイフなど、ありとあらゆる"キケンブツ"が散乱した状態だ。


−グスッ−


音のしたほうに視線を遣れば、桃色の髪をした女がうずくまっていた。肩や腿など、肌が露出部分にはうっすらと赤い筋が入っており、所々がら血が滲んでいる。


「カーヴァイ。」


声をかければ、ビクッ、と体を硬直させ、ゆっくりと顔を上げる。
その目は潤んで、よほどの時間泣いていたのか、周りは赤く腫れ上がっている。


「ぜ、りぐ……?」


掠れた声ではあったが、確かに自分の名を呼ぶ。話し方や声には自分に対する恐怖がやどっているのが感じられる。


「カーヴァイ……」


自分が一歩近付くと一つ下がるカーヴァイ。瞳の中の怯えが増していくのが分かる。
−ああ、なんて、きれいなんだ−
怯えた目、震える唇、強張っていく身体、そして流れ落ちる水滴。
その全てが、
−愛おしい……−


「ね、ねぇ…ゼリグ……」


声が揺れている。なんて甘い響きなのだろうか。
耳から入ってまるで薬のように脳を支配していく。
もっと、聴きたくなる。

歩数を進める内に、ふいにカーヴァイの動きが止まった。


「ゼリグ……どうしたの?なんか変だよ……☆」


明らかに怯えが増した声色で尋ねられる。

−もっと、沢山、だ−
頭の中で急かす声が聞こえ、歩調を早める。
−逃げられる前に、もっと…−
壁際のカーヴァイに被さるように体を近付け、右肩を押さえ付ける。
息を飲む音が聞こえたが、構ってなどいられない。


「なぁ、カーヴァイ……」


言いながら床を探り、適当に選んで掴む。


「その声、もっと聞かせろ…」


耳元で囁くと同時に手を振り上げる。
やだぁっ、と聞こえたが、そのまま彼女の腕に向けて勢いをつけて降ろす。



「ヒぃぐぁっあ゙あアああぁああああああああぁあぁ゙っ―」


部屋中に響く音は、とても心地良いものだった。


狂喜

「ずっと可愛がってやる。オレだけのウタヒメ…」




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