ゼリ→カー
2011/04/02 00:28

「えいぷりーるふーる?」


ピンクの髪色をした少女が首を傾げる。


「なんだカーヴァイ、知らないのか?」

「おお。知らないぞ☆てじろふは知ってるのか?」


長身の優男…テジロフと呼ばれた人は驚きながらも説明を始める。

「ああ。エイプリールフールってのはだな…………」

「?テジロフどうしたの?」

「ん、いや。なぁカーヴァイ、ゼリグもエイプリールフールを知らないのか?」

「おー、知らないと思う☆」

「そーかそーか。」


テジロフは軽く口角を上げた。


「てじろふてじろふー、えいぷりーるふーるってなぁに?」

「おっと失礼。説明途中だったか。エイプリールフールはな.............」


声を潜めてカーヴァイだけに聞こえるように話す。


「!!!!!」

「ただし、自分以外にお願いを話したらダメだからな。絶対に口に出さないことだ。」

「わかった☆」


目をキラキラさせながら駆けていくカーヴァイを見送る。

姿が見えなくなったところで踵を返して、テジロフも歩き出す。
向かう先は彼のターゲットである人の元。

恐らく、自室か、そうでなければ図書室か。
今日は仕事が少ないとか言っていたから執務室はないだろう。

そんなことを考えながら、まずは彼の寝室へ向かう。


「的中。」


ドアのノブには"起こすな!!"と書かれた札が下げられていた。
ノックをしてみるも、返事はない。
ノブを回せばあっさりと扉は開いた。


「無用心だな。」


呟きながら部屋に入る。


「ゼリグー、起きろー。」


そう言えばベットがもぞもぞと動いて長髪の男が顔を出した。


「テジロフ…お前文字ぐらい読めよ……」

「おはよう、ねぼすけゼリグ君。札なら読んださ。」

「……じゃあ出てけ。ゼリグさんはここ最近の連徹で眠いんだ。」

確かにここ最近は年度が変わるからということで、ニンテルド城内は慌ただしかった。


「そうか、悪かったな。」

「あー、悪い悪い。もう入ってくんなよ。」

「疲れてるなら仕方ないな。」


残念そうな表情を造りながら言う。


「カーヴァイが探してたみたいだから呼びに来たんだが…」

「カーヴァイが?」


食いついてきた。
出ようとして開いたドアに手を掛けながら首だけ動かす。


「ほら、今日はエイプリールフールだろ?だからじゃないか?」

「えいぷ……?なんだそれ。」

「!!まさかお前、エイプリールフール知らないのか?一年に一度の重大イベントなのに??」

「知らないね。何なんだそのえぷナントカって。」

「エイプリールフールな。今日は4月1日だろう?」

「ん?あ、あぁ、そうだな。」

「それで、毎年4月1日に自分が好いてる相手と触れると結ばれるっていう言い伝えがあってな。」

「なんだよそれ、嘘くせぇな。」

「だろ?だけどオレはそれで上手くいったやつを五万と見てる。」

「……マジかよ。」

「大マジだとも。カーヴァイも信じてるみたいだったぞ。朝、暦を見た途端駆け回ってたからな。ゼリグどこー?って。……両想いおめでとう。」

「嘘だろう?アイツが……」

「とりあえず、着替えておいたほうがいいぞ。オレは邪魔になる前に出ていくからな。」

「あ、待て。着替え終わるから。」

「早いな……」


ゼリグが着替え終わるのを待ってから…といっても5秒ほどだが、部屋を出た。

それとほぼ同時に『ゼリグゼリグー☆』と呼ぶ声が聞こえた。


「カーヴァイ!?なんだよ、走るn…」


グシャ、といい音がしてゼリグが倒れ込む。
その上にはカーヴァイ。


「やった☆ゼリグ捕まえた☆」

「は?何言ってんだこのバカ!!早く降りろ!!!」

「ゼリグさん顔真っ赤ですよー。」

「テジロフ黙れ!!!」


はいはい、と返事をしてカーヴァイがきた方向をみやると、ファーエとサーロイドがやって来るのが見えた。


「おや、これはお揃いで。」

「まったく、今日はやたら騒がしいと思ったら……」

「まぁ、エイプリールフールだしな。」

「え?…あぁ、そうね。今日は1日だったわね……」

「?ファーエちゃんは知ってるのか?」

「一年に一度嘘ついてもいい日でしょ?でも回りを巻き込むのはやめてよね、テジロフ。」

「なんだよ、つまらないな。」
「ちょっと待て。」


ファーエとやり取りしていたら背後から声をかけられた。
振り向けば鬼の形相のゼリグがそこに立っている。


「嘘………だと…………?」

「あー、…」

「え?何?ゼリグどうしたの?」

「今日は…縁結びの日……じゃ、ないのか?」

「え?何それ。そんな日あるの??」

「おい、テジロフ……」


じわじわと迫ってくるゼリグは、正直、怖い。


「テジロフ……」

「は……ハッピーエイプリールフール?」

「…………………………潰すッ!!!!」

「ちょ、ゼリグさん…待っt」

「待たねぇよ!!!!!」


これはやばいかもな、なんて考えながら今日、オレは逃げることに専念し続けた。


四月馬鹿

「…カーヴァイは、テジロフに何の日て言われたの?」

「え〜っと……感謝すると願いが叶う日って言われたぞ☆」

「……そう………」

「でもゼリグに感謝できなかった……」

「……因みに、願い事って?」

「みんなで仲良くしたい☆でもテジロフとゼリグ喧嘩しちゃってる………」

「あれはね、仲が良すぎてじゃれあってるだけよ。」

「本当か☆良かった〜☆」

「………………………誰か止めてやれ。」





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