襟を正してみたって世界はかわらずくだらないままごとを繰り返して動き続けているよ | ナノ


月島は胸のあたりに妙な重たさを感じて目を覚ました。いつの間にか帰ってきてた名前は当然のように月島の隣でぐっすりと眠っている。なんだかアルコールの匂いもするし、昨日も相当飲んで帰ってきたのだろうと悟った月島はめんどくさそうに重いため息を吐いて今日一日が始まった。名前には酒は飲んでも飲まれるなとしつこいくらい注意してるのに結局改善されていない。なんで僕の周りだけ本当に馬鹿ばっかなんだろうと考えていると名前から第二打撃目が月島に打ち込まれる。だいたいなんで僕より体が小さいくせにベッド面積取るかなと考えれば第三打撃目で足が出たので、月島は仕方なくベッドから起き上がった。

そのまま、ベッドから起きて洗面台に向かった。予想通り洗面所は酷かった。電気はついているし、洗面台の蛇口はちゃんとしまっていなくて、ぽちゃんぽちゃんと水滴が一定のテンポで下水に流れている。洗濯機からは昨日名前が履いていたタイツやスカートがはみ出していて、同棲している彼女のズボラ具合を再確認して頭が痛くなった。
顔を洗って歯磨きも済ませた後ベッドの端に座り、ベッドに寝ている名前の頭をひっぱたく。まだ眠たそうにむにゃむにゃいいながら寝返りをうつ名前を見て意識がまだ現実と夢を彷徨っていると判断した月島は再び起こそうとさっきのお返しも込めて攻撃を試みるが、名前は腕を頭の上で額を守るように交差された。攻撃を凌ぐために防御をしているつもりらしいが寝ぼけている人間の防御なんてないも当然だったので月島は無防備に晒されている名前の鼻を摘まんでやるとすぐに名前は起きて、月島の手を外しながらこう言った。

「鼻は脂っぽいから触るのやめて…」

「そっち?」

すぐに月島の指を自分のパジャマで拭って脂を取ると、また今度は邪魔されないように頭を壁にくっつくくらいの位置まで持って行って丸まって寝ようとする。

「本当に起きて、僕が起きたのに名前が起きないなんて許さない」

「なにそれ理不尽過ぎ…昨日遅かったのー、だから…」

「知ってる」


月島は名前が帰ってくるまで待とうとしていた。まあ待っていようと言っても1時くらいまでだが彼女の帰りを忠犬のように一睡もせずに待ち構えている自分が馬鹿らしくなってやめたのだ。月島は心の中で悪態をつきながら枕元に充電されている自分のスマートフォンをいじった。実際自分が起きていなくても彼女は勝手に服を脱いで風呂に入って、ベッドで寝ていた。大体起きて待っていることを名前に頼まれたわけじゃないし、なんで家で待っているのが女の名前じゃなくて僕なんだ。そういえば前に月島は名前のことになると過保護な親みたいだな。と笑いながら言う日向を思い出してますます気分が悪くなった。

「めんどくさい…起きて」

「じゃあ、起こして」

「は?」

壁からこっちに顔を向けた名前はタオルケットに包まれながらパッチリと目を開けて楽しそうに笑った。大体起きてるくせに起こしてとかどんな茶番なわけ?とまくらを彼女の顔に押し付けたら、まくら越しにぐーっと下手ないびき声が曇って聞こえる。どうやらまだ茶番を続けるつもりらしい。

「さっさとしてよね」

「えーけーくんに起こしてもらいたいなー」

「僕の腕と名前のこの極太の足比べてみて。無理に決まってるデショ。まず折れる」

「腕と足の太さ比べるのはずるくない?それじゃあ豆腐と肉を比べてるようなもんだよ!非道!」

「はいはい、すごくわかりにくいからさっさと起きて」

ぶーたれながら起きた名前の髪の毛はしっちゃかめっちゃかで地球の重力に反していた。昨日ちゃんと乾かしてない状態でベッドに入ったのだろうな。と月島は名前を洗面所までズルズル引きずる。

僕がいなくても中途半端に名前は生きていくことができるだろう。でも僕がいないと電気も消せないし、蛇口もちゃんとしめられないし、洗濯物をちゃんと中に入れることもできないんだから。という優越感に浸りながら名前に新しいタオルを投げつける。

「言っとくけど出かけたいって言ったのは名前だからね」

「もーわかってるよー!けーちゃんは先テレビでも見てて!」




20130330
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