sweet on you

恋人という関係になってからというものの、臨也は静雄にどう接すべきか悩んでいた。
静雄が好きだ。
人間であるという枠を越えて、愛している。
しかし、臨也には分からない。
なぜ、静雄が自分の申し出を受け入れたのか。



「シズちゃんってさぁ」
「あ?」

まんまと自宅に連れ込むことに成功したものの、静雄は臨也のベッドを占領してプリンを食べている。
もとより行儀のいい静雄にしてはめずらしい。
静雄は寝転がってプリンを食べる。
それはもう、おいしそうに。
それがコンビニで買った126円のプリンだというのに、嬉しそうに食べる。
可愛いな、と思う反面、誘ってるのかと疑いたくなった。

「それおいしい?」
「うまい。
手前にはやんねぇからな」
「恋人なんだし、あーんとかしてくれてもいいと思うけどねぇ」
「ねぇよ」

目を泳がせ、しかしすぐに視線はプリンに向かう。

「あー、うまい」

目を細め、幸せそうな顔をする静雄。
臨也はため息を一つ吐き、コートを脱ぎ去った。
そして、寝転がる静雄に跨る。

「シーズちゃん」
「んだよ、近ぇし」

無理矢理顔を合わせると、臨也は静雄の唇を塞ぐ。
驚いて開いたままだった咥内に舌を滑り込ませる。
甘い。
プリンの味を堪能するように臨也は気の向くままに深く口づけた。。

「んっ、んんっ!」

ぎゅっと目を閉じたまま、静雄が苦しいと抵抗する。
どうしようもなく愛しい。
このまま窒息させてしまおうかと思うくらいだ。
ただ、静雄の方が力は強い。
本気で抵抗されたなら、きっと臨也なんて一撃で跳ね除けられてしまうだろう。

「ふはっ……」

唇を離すと、静雄は涙目になっていた。
堪らなく制服欲が満たされる。
だって、あの静雄だ。
喧嘩人形と称され、その道の人間にも一目置かれている、平和島静雄だ。
愛しさが溢れ、臨也はぺろりと静雄の目元を舐めた。

「て、手前っ……いきなり何しやがんだよ!」
「何って、キスに決まってるじゃないか。
恋人同士は普通、キスくらいするよね」

可愛いと思えてならない。
サングラスを外した静雄は、一見おとなしそうな顔をしている。
堪らなく、愛しい。
溢れ続ける感情を、臨也は抑えたりしない。
ただ、口にはしないけれど。

「嫌だった?
そんなことないよね。
だってシズちゃんが抵抗したら、俺なんて簡単に退けられるでしょ?」
「うぜぇ!」

顔を真っ赤にしている静雄に、臨也はまた、今度は軽く口づけた。
どういうつもりで静雄が恋人となることを了承したか、臨也は分からない。
けれども今、分かった気がした。


おわり


'10.08.12


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