この想いの名前は?

※ツイッターで開催されていたエアーイザシズオンリーに投下したものの加筆修正版です。


臨也はいつだって笑いながら、静雄を冷たい目でまっすぐ見つめる。静雄は最初はそれがひどく疎ましかった。
一生友人にはなれない。憎い相手。
それに加え、あの目はいつも静雄を責めているような気がした。理由は分からない。
しかし、そのうちに静雄はどこか違うのだということに気付いた。
あの目は静雄を責めているんじゃない。求めているんだ、と。
あの男の考えなんて静雄には分からない。けれども、確かにそうだ、と確信していた。


新宿の情報屋。それが折原臨也の持つ肩書きだ。
うさんくさい職業ではあるけれど、人との繋がりを持つ職業だ、と静雄は思った。
静雄の仕事も人との繋がりを持っているけれど、臨也とは違う。奪う仕事だ。
この仕事を疎ましく思っているわけではないけれど、そう考えてしまうことがある。

「……時々手前が羨ましくなる」

常に自分の力を疎んで過ごさなければならない、静雄の弱さ。
この弱さを誰も気付かない。気付いてほしいわけではないけれど、苦しかった。

「手前のことは嫌いだが、手前みてぇに生きてみたかった」

誰かを傷つけたいと願ったことはないのに、この手は何かを傷つける。
この弱さを、静雄は独りで抱えてきた。弱さ故に、笑顔を向けてくれたあの人さえも、傷つけてしまった。
だけど、臨也は違う。
臨也は強い。誰かを躊躇うことなく愛することができる。ただ、その愛はひどく歪んでいるけれど。

「俺は、シズちゃんみたいになりたかったけどね。シズちゃんもだろう?」
「……臨也?」
「俺たちは正反対だ。だけど、ひどく似ていると思わない?」

――手前のその強さがほしい。
――君のその弱さが愛しい。

「俺は、君がほしいんだ。ねえ、シズちゃん?」

臨也が静雄に手を伸ばす。
静雄は焦がれた強さを持つその手に触れた。

この思いは恋?それとも――。


おわり


'10.11.01
'10.11.16 加筆修正


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