朝の訪れを待つ R15

臨也は一見しただけなら眉目秀麗と称される。
見た目だけなら素晴らしくいい。
問題は性格だ。
人を愛する臨也は、人間観察を趣味としている。
悪趣味極まりない。
静雄は眠る臨也をじっと見つめた。
寝ている間は静かでいい。
いつも理屈をこねまくる口は、閉ざされたままだ。
そっと、黒い髪を撫でてみる。
さらりとして、触り心地の良い髪に驚いた。
マジマジと見つめ、さらさらと撫で続ける。
臨也が眠っているからこそ、できることだ。

「……黙ってりゃ良い男なのにな」

静雄はぽつり、と呟く。
残念なイケメン、とはこのことを言うのだろうか。
二人の関係は実に曖昧だった。
池袋という町で会えば殺し合いを始めるけれど、時折静雄は臨也のマンションに連れ込まれ、男同士では生産性のない行為に耽る。
お互いに愛を口にしたことはないし、静雄自身、この関係に何の意味があるのか分からなかった。
本来とは違うことに使われた後孔は、行為が終わると静雄に違和感を訴える。
痛みは多少あるのに、情事中はただただ気持ちよくなるだなんてどうかしている。

「いざや」

舌足らずに臨也を呼ぶ。
静雄には分からない。
自分がどうしたいのか、臨也がどうしたいのか。
ただ、それを臨也に問い掛けることはない。
弱味を見せるような関係ではないのだから。
さらさらと静雄の手は動く。
朝はまだ、来ない。


おわり


'10.08.14


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