ゴン見付けた!…と思ったらキルと一緒だった。近付くつもりはなかったけど、これだとますます近付けないなあ。
…にしても、キル楽しそう。あんなに笑ってるキルは久しぶりかもとか思ったけど、我が家の事情を思い出してそれも当たり前かと納得した。家が変だから、彼も家を飛び出したのだ。

(…とか言う私も人のこと言えないけど)

ゴンの安否を心配しての参加だったが、これは彼等の友情ストーリーを見守るという目的に変更かな。男の子の友情、いいなあ。

「…おいなまえ、大丈夫だったのかよ」

「え?」

しまった、考え事しすぎてハンゾーが近づいて来るのに気付けなかった。うわー、不覚。一生の不覚。

「…大丈夫って何が?」

「ほら、さっきお前301番に連れてかれてたじゃねーか。…知り合い、なのか?」

ああ、あれね。そうかハンゾーは彼が私の実兄だということを知らないのか。会ったばかりとはいえ、意気投合した女の子があんな怪しい人物に無言で連れてかれて心配しない訳がない。かと言ってギタラクルが兄だってばらしちゃ駄目だし、何より、あんまり言いたくない。

「えーと、まあ…、知り合い?」

「ふうん………変わった人脈だな」

うるせーよ。
否定は出来ないのでその言葉は飲み込む。くそー、走ってるハンゾーの足を引っ掛けて転ばせてやりたい。

「あ、出口だぜ」

白い光に包まれて、着いた先はヘブン……な訳はなくてジメッとした場所。そう、名前もジメッとしている湿原。嫌だなー、ただでさえ帽子被ってんのに、この湿気で更に髪の毛がぺちゃんこになっちゃう。私の髪湿気に弱いんだよね、なんでだろー?父さんは強いのに………あ、わかった。髪の色は父さんで、髪質は母さん譲りなんだ。そうだ、そういうこと。

「おいおいおい、なまえっ!試験官偽物らしいぜどうするよ!え、どっちが本物!?」

「え、そうなの?大変だね。つかサトツさんが偽物な訳無いじゃん。そんなことより私の髪の毛のが心配なんだけど早く湿原抜けたいんだけど」

「あ?ちゃんとフサフサしてんじゃねーか。…って、そんなことよりっておま……」

初めから思ってたけど、ハンゾーって馬鹿だよね。いやこの馬鹿に悪意はないよ?寧ろ可愛いと思う。…ほら、基本忍って肉体だけじゃなく頭も強くなきゃいけないじゃん、え、違う?まあそんな忍である彼が馬鹿ってさ、ギャップがいいんじゃないかなあ。あとお喋りで忍らしからぬとことか。忍者なのは見た目だけってことか。いやいいんじゃない?それで。見た目から入る人っているしね。ハンゾーも立派な忍者だよ。そうそう、馬鹿だけど忍者なんだ。大丈夫、私馬鹿好きだよー。馬鹿といえばミルキは元気かな、アイツまだ引き篭ってんの?そろそろ駄目だよね、姉として指導すべき?いやー、でもミルキのゲームとか壊したことあるから、言いづらいなあ。

「……ハンゾーってさ、忍者だよね」

「は?何言ってんだ当たり前だろ。…つか皆出発し始めたぜ。やっぱボロボロな方が偽物だったんだなー、いや俺はわかってたぜ?あれは猿を油断させる為に…」

「はいはい」




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