ある日団長から、なまえがどこにいるか知らないかと聞かれた。実は自分も数ヶ月前から彼女とは連絡が取れないでいたが、そういうことはよくあったので特別気にしないでいた。
彼に知らないと答えると、実は一年くらい前から音沙汰が無いらしく、なまえの兄に見付けたら連絡してくれと頼まれたらしい。懸賞金付きで。
それから二年。団長から見付けたとの報告も何もない。もしかしたら本当にどこかでぽっくり死んでるのではないか、そんな考えが過ぎった数日後。なんとなく訪れた港町でなまえに似た人物を見付けた。髪の色が銀から桃色に変わっていたので一瞬わからなかったが、あのオーラは確かに彼女のものだ。森へ行こうなどと呟いているなまえの名前を呼ぶと、三年経っても大して変わっていない、懐かしい顔がこちらに向いた。呑気にご飯粒を頬に付けて自分の名前を呼ぶ彼女の阿保顔を見て、少しでも心配した自分に後悔した。


「いやー、こうして歩いてるとカップルみたいだね」

「は、いくらワタシでも相手は選ぶよ」

というか、大量の肉まん抱えて頬張りながら歩く彼女がどこにいるね。
そう言うと彼女は私だって自分より背の低い彼氏なんて御免ですよー、なんて言うものだからもう一度同じところを靴のヒールで踏んでやった。

「………っ!!いっった!だから、男のくせにヒールの靴履くな!」

「ふん、コレは人踏むために履いてるよ」

このサディスト…と言う彼女の呟きは褒め言葉として受け取っておこう。

「…そういえば。ホントにハンター試験受けるか?」

「え?うん、割とマジ。なんで?」

「…いや」

四番…ヒソカも受けるらしいね、と言うとふうんという生返事が返ってきた。そういえばコイツの初めての友達がヒソカだったか、と今更ながら思い出す。世も末ね。

「…あれ、フェイってヒソカのこと知ってたっけ?ん?四番?………もしかしてヒソカ、蜘蛛に入ったの?」

「そうね。ワタシあいつ嫌いよ」

思いっ切り嫌な顔をすると、なまえは確かに苦手そうと言って笑った。苦手じゃないね、嫌いよ。

「似たようなもんだって………あ、あそこのアイス美味しそう!」

目を輝かせて走っていく様はとても二十代には見えない。…というか、肉まんをあれだけ食べておいてまだ食べるきか。アイツの胃はブラックホールね。

「……ん?誰に連絡してんの?」

「団長。…そういえば九月一日にヨークシンででかい仕事があるね。なまえもよかたら来るよ」

「んーーー、考えとく。…ヨークシンかあ。都会は苦手なんだよなあー。てか九月って半年以上先じゃん」

「まあね」

ところでフェイはこれからなんか予定ある?と聞いてきたのでないと答えた。

「よし!じゃあ一緒にサバイバルしに行こう!森で!組み手やろう」

「は、臨むところね」

二人で森に移動中団長から返事があり、なまえの兄に連絡したところ、彼もハンター試験を受けることにしたようで、隣で呑気に鼻歌を歌っている彼女を(不本意ながら)見上げて微笑を零した。




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