月日が流れるのは早いなあなんて、ババ臭いか。ゴンと出会って早三年。たったそれだけで普通よりやや上程度だった彼の身体能力も、既に超人の域を越えていた。そりゃ私からすれば全然だけど、ゴンは修業でよりも実戦で伸びるタイプだから、今年のハンター試験にでも受ければぐんと成長するだろう。楽勝な試験よりも自分の成長を実感出来るくらいがちょうどいいよね。そう思って彼にハンター試験の申込みカードを渡した。

「保護者のとこはミトさんに頼みなよ。…それじゃ、頑張って。また近いうちに会おう」

「…え?なまえさんどっか行っちゃうの…?」

「うん。今のところ教えれるのはこれくらいだし。あとは試験の日まで走るのと筋トレはしときなよ」

それでも彼は淋しそうな顔をするので、わかった?と頭を撫でてやれば小さく頷いた。

「また会えるよね!」

「うん、当たり前っしょ」

こっそり私も試験受けるから…までは言わない。やっぱ試験って自分の力で頑張らなくっちゃ。…なんか今の私めっちゃ師匠っぽい!
軽くミトさん達にも挨拶がてらお礼に行って(居候させてもらったからね)、昼出発の船に乗った。
試験の日まであと一ヶ月。それまで何しようかなあ。取り敢えず美味しいもの食べながら武者修業にでも行こうかな!よし、そうしよう。にしてもミトさんの弁当うめーな。


特に天気も荒れることなく、予定より一時間弱早い二時間で港に着いた。流石私晴れ女。

「……っさて!森に行こう!」

「…………なまえ?」

ふと、後ろから聞いたことのある声が。
振り向くと、私よりも五センチほど小さい黒装束の拷問狂。

「フェイ!」

「久しぶりね。髪染めたか?最初わからなかたよ」

「いやー、何年ぶりでしょう。あー染めた染めた。ピンク似合うっしょ」

「お前の馬鹿顔によく似合てるよ」

「そりゃどうも。あんたは相変わらず背伸びてないね。牛乳飲んでる?」

向こうが悪態づいてきたのでこちらも仕返ししたら、彼のヒールで足を踏まれた。痛い。男のクセにそんなもん履きやがって…それで身長稼いでるつもりか!
少し涙目でヤツを睨んでやると鼻で笑われた。なんだこの仕打ちは。

「牛乳飲んで背伸びるなんて迷信よ。毎日一パック飲んでても変わらないね」

「一パックも飲んでるんだ」

まあ牛乳飲んで伸びるのは十代までだろうねと言うとワタシまだ十代ねと返された。真顔で嘘をつくな、嘘を。

「…そういえば家には戻てるのか」

「え?ううん?」

途中で買った肉まんを頬張りながら答えると彼は盛大に溜息をついた。

「また兄貴に怒られるよ」

「………あー…うん、やばいかも。今年のハンター試験受けたら一旦帰るわ」

ハンター試験受けるのかと少し意外そうな顔で問われたから、弟子が受けるのと答えると、途端に呆れ顔へと戻った。

「…弟子なんかつくてたか。どうりで連絡しても繋がらなかたよ」

「え?連絡してたの?ごめんごめん……………て、あ。携帯弟子んちに忘れた」

まあいいかと再び肉まんを頬張り始めたら、もう馬鹿はどうなても知らないねと本日何度目かわからない溜息をつかれた。




< >
戻る

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -