「お前何者ね」

「……え、あり?…君達もあいつらの仲間じゃないの?」

「は?」

フェイが問うと青年は惚けたように首を傾げて質問し返し、左の方を指差した。それにつられてあたし達も闇の中目を凝らす。

「……!」

「…………っう……たすけ………」

暗くて、しかも青年に気を取られて気付かなかったが、よく見れば四、五人のスーツを着た成人男性が血まみれで倒れていた。フィンクスと同じようにネジで地面と繋がれており、彼と違うのは手と全身なところか。しかもそいつらはまだ微かに生きている。この子なんて鬼畜なんだろう。

「…………生憎だけど、そいつらは仲間でも何でもないよ」

「それ、君がやったの?」

あたしとシズクが問うと、目の前の青年は一瞬固まり、すぐにこの場にそぐわない満面の笑みを浮かべたので少したじろいだ。こいつの笑顔はアイツ以上に胡散臭い。

「…そっか!そうだったんだ!僕てっきりあいつらの仲間でまた僕を狙ってきたのかと思ったよ!ごめんね、眉なしのお兄さん。痛かったでしょ、すぐにネジ取ってあげるね。でも寝てるところに殺気ちらつかせながら僕に近付いて夜這いしようとした君達も悪いんだよ?まあお互い様だよね」

急に早口でペラペラと喋る彼に圧倒されて全員動けずにいる中、彼のネジ取れたよという言葉に皆はっとなる。

「………っつーか夜這いって言うな!誰がするか!」

「あはは、ほんの冗談じゃないか。本気にするなよ、眉なし」

「…………っってめ……!」

「…………フィンクス、手」

「…あ、お、おう………!?」

治療しようとフィンクスに声をかける。が、差し出された手を見て目を疑った。
確かにネジに刺されたであろう掌や手の甲には傷ひとつなく、血もついていない。
本人の顔を覗いてみると、彼も有り得ないものを見るような目で自分の手を凝視していた。

「………幻覚…?」

「……いや、確かに痛みはあったぜ」

「彼の能力かな。高速治癒とかの類の」

「だからお前何者言てるね」

フェイの言葉に、全員が青年を見る。
対する彼は驚いたように目を丸くした後、またあの胡散臭い笑みを浮かべて言った。

「え?僕?僕は気まぐれで嘘つきななんでも屋を営んでます、なまえと申します!好きなものは女の子、嫌いな言葉は"努力は必ず実る"です!因みに僕は不純異性交際推進派で、将来の夢は裸エプロンをした女の子に囲まれることです、どうか宜しく!」


はじめまして、魔法使いです。


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