「ほら起きて◆」

「ん」

何時だろう。空には既に日が昇っていて、多分…九時くらいかなあ……?っていうか今僕何処で寝てるの?ベッドが凄くフカフカ…もしかして移動中寝ちゃったから、ヒソカが気を利かせて高級ホテルに入ってくれたり?うわあ、有り難いなあ。出来ればこのまま二度寝させてくれたら嬉しいな。

「起きなって言ってるだろ」

「いだだだ!いだっ刺さった!トランプ刺さった!」

あああ、駄目じゃないか布団に血が……って、これくらいなかったことに出来るけど。にしても、二度寝しようとする僕も悪いけど、寝起きの人に普通じゃないトランプ投げる彼も結構な悪だよね。

「へえ、それが彼の能力なんだ」

ヒソカとは別の、第三者の声が聞こえて振り向く。と、最近出来た新しい友達のイルミが立っていた。あれ?いつの間に。そういえば今回の仕事は多分彼の依頼なんだっけ。取り敢えずついてきてと言われて素直にベッドから下りる。部屋の扉を開けると…何だか変わったホテルですね。ほんと何処だよ。
案内された場所は僕達がいたところから数分歩いた先にある、少し大きな扉。え、仕事先はホテルの中なの?隣でヒソカが相変わらず馬鹿でかい家だね、と言うのを聞いて初めてここがホテルでないことに気付く。家かよ、金持ち!
イルミが目の前の戸を開けようと手を伸ばすと、突然甲高い奇声と共に内側から扉が開いた。そこから現れたのは、目元がスコープ的なものが付いていてカッコイイ、フリフリな服を着た女の人。直ぐさまイルミに駆け寄って私の坪がああと叫んでいる。

「母さん落ち着いて。今それを元に戻せる人連れて来たから」

「本当!?本当ね!?あああ私のあの坪は特別なの!世界に五つもないのよ!最近手に入れたばかりなのに!…ああ、それで元に戻せる方は!?え、あなた!?まあイルミが言うなら大丈夫なのでしょうけど、もし戻せなかったら殺しますからね。覚悟していて頂戴!」

自分が喋る隙もなく、さあ早速直して!と手を引かれて部屋に入れられる。後ろでヒソカが笑っているのが聞こえてくそう、となった。

「……!!まあまあまあ!素晴らしいわ!一瞬で……!幻覚じゃあないわよね、凄い!どんな能力なのかしら!…ああ、先程は殺すなんて言ってしまってごめんなさいね、私キキョウと申します。突然ですがどうでしょう、あなた我がゾルディック家で働いてみない?あなた程の能力があればお給料も高くつくわよ。ね、イルミもいいと思うでしょう?」

「え、何が?」

ほらほら、イルミもいいって言ってますしそうしましょう!
そう言い手を引いて何処かへ行こうとする彼女を慌てて止める。何だこの人マシンガントークとはこの事だ。てかイルミがいいなんて一言もいってないし!

「ちょ、奥さん!僕ならいいんで!一応なんでも屋を営んでいますので何かあればこちらにご連絡ください!それで今回はお友達のよしみで無料でいいですよ、僕友達との関係は大切にする人柄なんで!」

そう言うと彼女の動きが止まり、スコープの光の色が変わった。うお、コレ本物かよ。

「…殺し屋にお友達は要りませんわ」

「そうですか?僕は友達はいればいるほどいいと思いますけどね。そんなことよりここってイルミの家なんですよね?すっごいお金持ちですよねー、探険してきていいですか?」

暫く彼女から不機嫌な雰囲気が出ていたが、構わずニコニコと彼女の返答を待っていると、彼女は痺れをきかせてご自由にどうぞと言った。ありがとうございますと礼を言って部屋から出る。早速探険の事をヒソカに伝えると、四時までに門の前に来なかったら置いてくからと言って来た道を戻って行った。

「じゃあ迷わないようにね」

イルミもそう言ってヒソカとは反対側に向かって歩いて行く。あ、案内してくれないんだ。


マザーグースの舞台裏


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