クロロからなまえのことについて聞かれた。ボクにまで聞いてくるなんて、思った以上に本気らしい。…まあ、彼の可負荷を見て、若しくは聞いて興味を湧くなという方が難しいか。
そういう訳で、彼には言うなと言われていたけど、ボクはボクの面白いと思うようにやるよ。悪いね。


プルルル……プルルル……
電話の機会音が一定のリズムで流れる。五回ほどコールした後、彼の軽い声がスピーカーから聞こえた。

『はーい、僕だよ。何?』

「やあ。実はさ、キミに会わせたい人がいるんだ◆」

なまえは会わせたい人?と復唱する。

「そ、ボクの友達なんだけどさ。キミ友達少ないでしょ?きっとその人と仲良くなれると思うんだよね◆」

さて、どうでるかなと彼の返答を待つ。なまえの言動はボクにも予測不可能だからなあ。
暫く考え込むかななんて思ったが、案外早く答えが返ってきた。

『……!ホント!?友達を紹介してくれるの!?嬉しいなあ、ありがとう!ヒソカの友達ってところが不安要素だけど僕みたいな可負荷に友達を選ぶ権利なんてないもんね。有り難く紹介してもらうよ!』

クク…、と喉を鳴らす。彼は変なところで正直だ。自分を卑下する事に馴れている、哀しい普通以下。
それじゃあ明日の午後一時に、例のカフェでと言って電話を切る。因みに例の、とはまあ企業秘密だ。…さて、クロロにも連絡しなければ。







「…まさか可負荷の青年がお前の知り合いだったとはな」

「クク……、知り合いじゃないよ、友達さ。ボク結構顔広いからね◆」

クロロはそうかと言って注文したコーヒーに口づける。
現在午後一時半。彼は早かったり遅かったりで時間通りに来た覚えはない。特に苛立つ訳でもなくコーヒーを口に運びながら店内を見渡す。…あ、来た。

「いやー、いやー、お待たせ!ごめんね、待った?僕昨日ちょっとだけ緊張しちゃってさ、眠れなかったんだ。あ、そこの黒髪の人がヒソカのお友達?へえ、思ったより普通で安心したよ!額の包帯は怪我でもしたのかな?…あ、僕ヒソカの友人Aなまえと言います、宜しくね!」

相変わらずの一方的な彼の話しに少し呆気取られながら、クロロは差し出された手に自分のそれを重ねた。

「…ああ、宜しく。クロロ=ルシルフルだ」

「宜しくクロロ!あ、勝手に呼び捨てで呼んじゃうけど、クロロも僕のことなまえでいいよ。友達だもん、それくらい当然だよね」

それだけ言うとなまえは席に着き、すみませんと店員を呼んでボクたちと同じコーヒーを頼んだ。

「……飲めるの?◆」

「あはは、ここでカフェオレ頼んだら見た目どころか中身も子供になっちゃうだろ?飲み物くらい格好つけさせてくれよ」

「ククク……子供のくせに」

ボクの小さな罵倒を笑顔で流し、そんなことよりとなまえは視線をクロロに向ける。彼は勘がいいのか悪いのか。クロロは小さく笑みを浮かべた。

「僕に何か、話しでも?」


裏返ったジョーカー


prev next



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -