最初に出会ったのがクロロさん。次にパクノダさん、シャルナークさん、マチさん。そして新たにノブナガさんとウボォーギンさんとも出会った。


「苗字 名前だ。俺達風に言うと名前=苗字だな。突然異世界から来て身寄りがいないんだ。ノブナガにウボォー、仲良くしてやってくれ」

「苗字 名前って……ジャポン出身か!?」

「ガハハ!弱そうな奴だな!まあ団長が言うんだ。よろしくな」

「………っ」

慣れないハンター文字のせいで返答に遅れる。
ちら、と顔を上げてみると、返事もしないでせっせと何かを書いている私を奇怪に思ったのか、二人は眉をひそめてこちらを見ていて無意識に手が震えた。














−−−っさっさと返事しろ!ノロマ!お前を見てるとイライラするんだよ、この無能野郎!もう何もするな………!














−−−っごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい


震えを隠すようにペンを持つ手に力を入れる。すると、不意に誰かに抱き寄せられ肩が跳ねた。

「ちょっと、二人とも!名前が怖がってるだろ?そんな恐い顔で睨みつけるなって」

そう言いながらシャルナークさんは泣いている子供をあやすように私の背中をぽんぽんと叩いて、大丈夫だよと小声で私を気遣ってくれた。きっと彼はこの短時間で私の性格を把握したのだろう。そのお陰か、いつの間にか手の震えは止まっていた。

「…すまん、言ってなかったが名前は声が出せなくて筆談しか出来ない」

「……ああ?喋れねえのか?団長、それを先に言えよ」

「だからすまんと言っている」


「……ほら、名前」

シャルナークさんが大分落ち着いてきた私の背中を押してノブナガさんとウボォーギンさんの元へと戻す。すると一気に彼等の注目を浴びて一瞬たじろぐが、後でシャルナークさんの頑張れ、と言うのが聞こえてなんとか奮起した。

"名前です。よろしくおねがいします"

それだけを書いたメモ用紙を差し出す。それを見た二人はふ、と笑いノブナガさんが私の頭を撫でた。

「……まー、さっきは悪かったな、知らなかったんだ。俺達は短気だからなァ、気にしないでくれ。こちらこそ宜しく」

思ったよりも優しい言葉をかけてくれたノブナガさんに涙腺が緩んだ。
よろしくとありがとうの気持ちを込めて深々とお辞儀をする。するとそんな堅苦しくなくていいと、ウボォーギンさんは大きな声で笑いながら私の背中を叩いた。結構痛い。

「やめなよ、名前涙目になってる」

「…お?わりぃわりぃ。これでも加減はしたんだがなあ?」

「筋肉馬鹿のテメーにまともな加減なんか出来るわけねーだろ」

「………」

目の前で繰り広げられる喧嘩(殺し合い?)を見て呆然とする。やはり彼等は自分で認めるくらい短気なようだ。

「…すまないな、いつもああなんだ」

彼等の死闘をぼうっと見ていると、不意にクロロさんが呆れたように言った。私は首を横に振るとせっせとペンを走らせる。

"なかがいいんですね"

それを見たクロロさんは一瞬目を見開き、直ぐに目を細めて笑った。
そして私の頭に手を置いて、楽しいか、と聞かれたので大きく頷くと、そうかと言って私の黒い髪をくしゃくしゃにした。



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