「帝人って何が好きだっけ?」
「正臣」
即答。まるで質問の内容を予め知っていたかのような早さに一瞬固まったが、直ぐに気持ちを切り替え、再度尋ねた。
「…いや、そうじゃなくてさ。ほら、欲しいものとか…」
「正臣」
また、即答。話がちっとも進まない。俺は諦めて、直接的な質問に変えた。
「いや、だから…、誕生日プレゼントに何が欲しいかって聞いてんだけど」
今度は即答せずに、帝人はきょとんとした。ようやくいつもの帝人に戻ったか、と安堵していると、急にとん、と肩を押された。予想外の行動に、そんなに力は入っていなかったもののよろめき、壁に凭れた。
「帝人…?」
「だから、さっきから言ってるよね」
にっこり。いつものような、無邪気で優しい笑顔。しかし何故か、恐ろしく思えた。
すっ、と耳元に顔を寄せられ、僅かに肩が震える。
「正臣が、欲しい」
耳元で囁かれたそれに、ぞくりとした何かを感じた。
直ぐ様軽く帝人の肩を押し距離を取ると、早口で誤魔化すように言葉を紡いだ。
「そ、そんなこと言われても…。ようやく帝人にも俺の魅力が分かるようになったか。そこは褒めてやろう。だがしかし困ったことにお前は男。男にゃ興味ないんだよなぁ」
「ふうん。じゃあ何で、
真っ赤になってるの?」
火照った頬を両手で抑えた。
――すごく、熱い。
「…何でだろ」
帝人は、すごく綺麗に笑った。
Diving to you
帝人には興味ある、かも。
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