・QUARTET NIGHT/カミュ妹夢主



「わたし、○○と、申します!」

 あいつの言葉に顔を赤くする3人の男を見て拳が震える。いっそこの場から○○を連れ出してしまおうか。そんな考えすら頭を過った。

「君はミューちゃんの妹ちゃんなんだよね?」
「はい!わたし、カミュお兄ちゃんに、会いに来ました!」
(うわぁあああ!なにこの子!すごく可愛いんだけど!?)
(…本当にカミュの妹かよ?全然似てねぇな)
(……なんだろう。彼女を見ていると、胸の辺りが疼く…気がする)

 俺の妹は昔から『好かれやすい』女だった。 ……何度『悪い虫』から守ってやった事か。わざわざシルクパレスに置いて来たのもその為だというのに。何故こいつがここに居るのだ。いや、確かに事情は聞いたが!俺に会いに来ただと? …ふん。相変わらず可愛い事を言うやつだ。

「…お兄ちゃん?」
「!」
「わたし、お兄ちゃんの言い付け、守れなかった。シルクパレスで待ってるって…約束したのに」
「……まったくだ」
「ごめんなさい…。嫌いに、なった?」

 そう言って今にも泣きそうな顔をする。 …俺は昔から弱いのだ。こいつの、この表情に。

「ちょっと、ミューちゃん!妹ちゃんをいじめちゃ駄目だよ!!」
「カミュ最低」
「ロックじゃねぇ」
「黙れ!愚民共!」

 ○○と俺の間に立ってあいつを擁護する男3人。 ……おい。まさかこれは…。

「…貴様等。まさかとは思うが…」
「○○ちゃん。泣かないで。ミューちゃんは恥ずかしがってるだけだよ。本当は君が会いに来てくれて嬉しいんだよ!」
「そう…ですか?」
「カミュが素直じゃないのは今に始まった事じゃないでしょ?妹なのにそんな事も分からないの?」
「アイアイ!君も大概だと思うよ!」
「……お兄ちゃんが…素直じゃない?」

 まさか美風達も○○の事を?それに、何故黒崎までもが…!あいつは女嫌いだったはずだ!これも全て○○が魅力的な所為なのか?くっ…、これは誤算だった。しかし今更シルクパレスに追い返すわけにはいかない。○○は女王の許可を得て出て来たはずだ。それに反するような事を、この俺がするわけには…!

「どうしたの?○○ちゃん」
「…お兄ちゃん、とても素直です!」
「え!?」
「おい。贔屓目じゃねぇのか?」
「いいえ!陛下も、認めて下さってます!」
「陛下?認める?え?」
「とても従順なのです!」
「――○○!!」

 少し思考を巡らせている間に会話が進んでいたらしい。俺は即座に○○の言葉を遮った。そして取り繕うようにして吐き捨てる。

「…ミューちゃんが従順…?」
「こ、こいつは日本語を勉強し始めたばかりなのだ!間違った使い方をしているだけだ!」
「それにしても焦り過ぎじゃない?カミュ」
「黙れ!とにかく……○○!今日は帰るぞ!」
「えー!もっと妹ちゃんと話したいのに!」
(だから帰るのだ!!)

 ○○は小首を傾げながら「日本語…難しい、です」と呟く。だからそのような顔をするな!どうしてこうも無防備なのだ…!!

「そ、そうだ!ぼくが○○ちゃんに日本語教えてあげるよ!」
「……レイジが教えるよりボクが教えた方が効率的。だからボクが教えてあげる」
「おまえら仕事だろ、この後。仕方ねぇからおれが教えてやるよ」
「本当ですか…!?ありがとうございます!」
「な…っ!き、貴様等!ふざけるな!!」

 隙あらば○○に関わろうとしてくる。 ――これはもう紛う事なき事実だろう。この愚民共は、○○に惚れている。もしくは『そういった』興味を持ち始めている。

「わたし、頑張るです!」
「…………。 …日本語が変だよ、○○」
(うわぁ…アイアイも顔赤い。初めて見た。さすが○○ちゃん…)
「………ロックじゃねぇ」
(ランランまで顔赤い!?)
「〜〜ッ!!」

 俺はついに我慢の限界を超えた。

「――今直ぐここから出て行け!この愚民共が!!!」

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…といった感じのギャグになるかと。因みに送って頂いた設定ではカミュと夢主は腹違いという事になっております。日本語が達者ではない感じを押し出したくなる夢主に仕上がりました。


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