青の成長日記前編/緑青前提桃+青

※注意事項
一応パロなので、公式だと思わないで下さいませ!
こんなんだったら可愛いなあとかそういう妄想です(笑)










「ブルー、ちょっと」


全治2ヶ月の怪我を負って暫くのある日の事。その日はグリーンもイエロー

もレッドも、買い物に行っていて、そして珍しくピンクが怒っていた。
俺はその珍しさに驚きを隠せず目を瞬かせていたが、リビングじゃ言い辛い

話なのだろうと予測して言われるがままに相手の後を追いピンクの部屋へ入

ったのだった。

「…で、どうしたんだ?」

部屋にはいって、声をかけるとピンクは振り返った。
その表情はいつもより険しくて、真顔。緊張が走るも、重そうに口を開いた

ピンクに目を向ける。

「…今日を持って、あのジャーは処分する」

「…っ、なんで…!?」

驚いて開いた口がふさがらない。だって相手の口から出たのは、最早死刑宣

告。
俺にとってあのジャーは、"好きな相手"で。別に言葉が聴けなくても、動く

事がなくてもいいのだ。
それ程に俺はあの炊飯ジャーの事を愛している。ピンクだってそれを知って

いる筈なのに。
俺の気持ちを知ってか知らずか、ピンクは諭すような、それでいて咎めるよ

うな口調だった。

「お前だって解ってるだろ。お前が怪我をする度、俺達がどんだけ心配して

るのか」

「…っ、…」

「壊れた炊飯ジャーを、グリーンがどんな気持ちで直してるのかも」

「それは…、」

解ってる、つもりだ。怪我をするその度に、どれだけ俺の事を心配してくれ

ているのか。
…グリーンが、俺に好意を抱いてる…っぽい、って事も。
(断言出来るほどの自信はない、)

「…まさか、気づいてないなんて言わせないよ」

「…でも、俺は気持ちに答える事なんて、」

「ジャーが好きだから?」

ピンクの鋭い視線に思わず視線を彷徨わせる。
うん、といえばいいのだと思うのだけれど、なんだか言葉が見つからない。
俺だって"ジャーが好きだから気持ちには答えられない"
そう思っている筈なのに。

「違うだろ?お前は喋りもしない、動きもしない、そういう無感動な物が好

きなんだろ?」

投げかけられるような厳しい言葉に、黙り込む。
別に、そういう訳じゃない、とか、心の中で呟いてみる。

でも、その言葉は自分から見たってあまりに信憑性がなくて、口にする事は

出来なかった。

「今のお前は怖くて、逃げてるだけだ。それじゃ何時までたっても駄目なま

まだよ、ブルー」

「…俺は、このままで、いい」

やっと口に出したものの、本当にいいのだろうかと自分に問いたくなった。
あきれたような表情のピンク。やれやれ、そういった様子で俺を横切る。

「俺はそれでいいだなんて、思わない」

ジャーの事は諦めろよ、そういわれた気がして、ばっと振り返る。
まさか、まさかジャーを捨てるつもりなのか?本当に?
バッと廊下に飛び出せば、ピンクが下の階でジャーのコンセントを引っこ抜

いている。

本気だ。


「っ…」

廊下を走り階段を駆け下りピンクの後を追う。どこに捨てにいくつもりなん

だ。
焦りのせいで上手くはいかなかったが、急いで靴を履いて玄関を出れば、そ

こには買い物から帰ってきた三人の姿。
ピンクを目撃している筈だ。俺は噛み付くような勢いで、聞く。

「っ、ピンクはどっちに!」

「えっ、あ、あっち」

イエローにそう言われ、その方向の道の先に何があるのかを考える。
米花町一丁目、そこで一瞬にして俺が取り戻す事ができなくなるような場所



「…っ米花大橋…!」

俺が走り出すと、グリーンが俺の名を動揺したように呼んだが、それを気に

とめる余裕は無かった。







---





「ブルー…、もうこいつに依存するのはやめようぜ?」

「…、どうする気だよ…」

どうする気、と聞いたものの、何をどうするかなんて考えるまでもなかった


ここは橋の上。やっと追いついたのはいいものの、ピンクは既に橋の手すり

に手を掛けて、今にも炊飯ジャーを投げそうな状態なのだ。
眉間に皺を寄せて至極真面目にこちらを見つめるピンクに、本気なのだと悟

る。

やめてくれ、そいつを落とすのだけは。


「…俺達バーロー戦隊は、別にこのジャーである必要はない」

じりじり

「だからって、捨てる必要も、ないだろ…」
俺が近寄る度、ピンクは目を細める。

「いいや、ある。お前が成長する為には、な」

もう少し、という所でピンクの手から炊飯ジャーが滑り落ちていくのをスローモーションで見た。

と同時に、俺は何も考えずにその後を追いかけて橋を飛び降りた。
空中で手を伸ばし、炊飯ジャーを取る。
ほっとしたのもつかの間で、それからはっと気づいた。俺、カナヅチだ。

「ブルー…ッ!」

俺を呼ぶ必死そうなレッドの声が聞こえて、水面が近くなって始めて怖さに目を閉じる。

しかしふと横から押される、というよりはすくい上げられるような振動があった。
それにびくっとそれに身を強張らせるが、目を開けて視界に映るのは口元に浮かぶ不敵な笑み。
ああ、この鼻につくような笑みはしっている。


「怪盗…KID…」


***
はいっ、疲れました。いいトコどりのKID様ですが、出動したのはもちろんレッドさんの為です。もちょっと続きます。

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