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ランスさんの場合

「さてこれでラストだ」
「うわああ一番行きたくないかもしれない」
「先に言っておくがランスの部屋には罠がある」
「罠!?」
「去年はとらばさみ祭だったんだが……今年はどうだろうか」
「とらばさみって下手したら死にますよそれ。なんでそんな悪質な罠を」
「サンタさん捕まえたいんだってよ。毎年こっそり枕元に来られるのがとんでもなく嫌らしい」
「なんですかその夢を見てないようで見てる小学生みたいな理屈は。というかわざわざ罠なんか張らなくても起きていればいいのでは」
「10時以降起きていられないらしい」
「最近の小学生だってもう少しがんばりますよ」
「まあそんなわけだから気いつけてな。ほいこれ」
「あれ、さっきの暗視スコープじゃないですね」
「赤外線スコープだ」
「もうなにもいいませんから」
「じゃあいくぞ!」
「ラジャー……」
「うげ、グッズが前の数倍になってやがる」
「うわああああいつも見せてくれないコレクション達が今目の前に……! い、1個くらい持ってってもばれないのでは」
「トナカイ、当初の目的思い出せ」
「だってこの人一つのグッズ保存観賞実用の王家三点だけじゃなく、保存用αくらいまで持ってますよ!」
「……でも駄目だろ」
「うわあプレミアのとかもある……いいなあこれどんなに頑張っても手に入らなかったのにどうやってこんなに手に入れたんだろう……」
「帰ってこい」
「失礼しました。ふぅ……今度直談判してみます」
「そうしろそうしろ」
「えーっとランス様の寝室はこっちですよね」
「そうそう……ん、きたことあるのか?」
「ランス様の部屋にはよくお邪魔するんですよ」
「お前らまじで仲良いよな」
「それほどでも」
「ってマゼンタ! 足元!」
「何……なんですこれ、縄? いっぱいある」
「アーボだそれは!」
「うげえええああああああなんでこんなの寝室に放してるんですか! 信じられない!」
「撃退! 何とかしろ!」
「げ、撃退って言ったって……そうだヤドキングのねんりきで」
「ヤドキングはだめだ! ランスが反応して起きる可能性がある!」
「あり得ないと言いたいけどあの人ならあり得そうで怖い!」
「ほか! ほかになんかないのか!」
「ほかって言っても……あれ、あそこにいるのランス様のゴルバット?」
「あ? ほんとだ、いつも出してんのか?」
「しかしこれは好都合です!」
「え、なんで」
「ゴルバット! さいみんじゅつでこのアーボ達眠らせてください!」
「おま……あれはランスのポケモンだろ? おやでもないお前の命令を聞いてくれるわけないだろうに」
「ランス様の手持ちのなつき度はほぼ0ですよ! そこに隙があるはず!」
「それは色々ひでぇ」
「お願いですゴルバット! 助けてくれたらランス様の血、好きなだけ飲ませてあげますから」
「それは誰に断って許可を出してんだ。というかそんなんで聞いてくれるわけが……」
「乗ってくれたようです」
「ええええええ」
「おお……さすがランス様のゴルバット、みんなすぐ寝ちゃいましたね。ありがとうねー!」
「ランスはどんだけ信頼されてないんだ……」
「やつあたり覚えさせたらすごそうですよね」
「と、とりあえずアーボが寝てる好きにランスのところへいくぞ」
「イエッサー! よし、ランス様の寝顔を拝見……ヒィッ!」
「どうした?」
「起きて……ランス様起きてますよ!」
「ん? ああこれ寝てるんだよ」
「だって顔がネイティオみたいなことになってますよ! どうやってこんなに眼を見開いて寝られるんですか!」
「いやでも寝てるもんは寝てるし」
「ドライアイになりそうですね……あ、これが靴下かな」
「なんて書いてある?」
「えーっと『欲しいもの:ヤドキング』ですって。また生ものです」
「なんだと」
「え、まさか用意してないだなんて……」
「アテが外れてな……どうするか」
「ええええええここまで来て……」
「お前のヤドキングくれたりとかしない?」
「しませんから」
「だよな」
「うーん、じゃあこれあげます」
「なんだそれ」
「ヤドキングのマル秘生写真と一週間貸出券、あとこないだ買った限定品のぬいぐるみです」
「いいのかそれあげちまって。大切にしてたんじゃないのか」
「ラムダ様の努力を見てるのにわたしだけ身を削らないだなんてできませんよ」
「……なんか俺様泣きそう」
「とりあえずこれ、入れときますね」
「おう、これで終わりだな」
「それじゃあお疲れ様ですサンタさん」
「お疲れトナカイ。来年もよろしくな」
「はいはいわかって……え?」
「じゃあ早く寝ろよオヤスミー」
「ちょっとまってください来年ってなんですかいやですよそんないやですってば聞いてくださいよちょっと!」
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