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アポロさんの場合

「よしいくぞ、まずはアポロだ」
「ラムダ様恐ろしいくらいサンタコス似合いますね」
「俺様は形から入るタイプなんだよ」
「まあわたしのトナカイもなかなかに愉快な出来にはなってる気がしますが……あとで記念撮影してくださいね」
「なんだそりゃ。とにかくいいか、この部屋に入ったら俺たちはサンタと赤鼻のトナカイだ。そのことを忘れるんじゃねえぞ。なにがあっても絶対に騒ぐな。しゃべるとしても小声でしゃべることを心がけろ」
「イエッサ」
「よし突入!」
「はいサンタさ……ってぎゃあああ!」
「黙れよ! 起きたらどうするんだ!」
「ヘ、ヘルガーが、恐ろしいうなり声をあげてこちらをにらんでいらっしゃるんですが」
「毎年障害となる番犬だ」
「障害物ありなんですか、軽くケルベロス級なんですけど」
「よしトナカイお前に秘策を授けよう」
「なんですかこれ」
「七面鳥。ちなみにヘルガーの大好物」
「は……?」
「機嫌とってこい」
「えええええ! 無理ですよ! 今にも噛み殺されそうなのに!」
「お前なら行ける!」
「押さないでくださ、ああああ」
「がんばれ! 頼めばなんとかなるから!」
「ヘルガー様ヘルガー様我々は決して怪しいものではございません。これはほんの気持ちにございます。あなたのご主人様にも献上しようとここに参った次第でございます。ですのでどうかご主人様のもとへ行かせてくださいませお願いです牙向けないでくださいうならないで死にたくないです通してください本当にお願いします」
「おお……ヘルガーちゃんとどいてくれたじゃねえか」
「この恨みは一生忘れませんよサンタさん」
「そういうなよトナカイ。堂に入った土下座だったぜ」
「全然うれしくないです」
「この先がアポロの寝室だ。枕元に靴下があるはずだからその中に入ってるメモをまずとるんだ」
「おお……! ついにサンタっぽくなってきましたね!」
「よし、入るぞ」
「うわ、暗くてよく見えないですね」
「しかたねえな、暗視スコープ貸してやるよ」
「サンタさん、どんだけ本格装備してるんですか」
「作業用だ」
「……まあいいです、それにしてもこれよく見えますね。あ、これが靴下かな」
「それだそれ。中に欲しいもん書いてあるだろ。読め」
「えーっとなになに『欲しいもの:サカキ様』……」
「想定の範囲内だ」
「まさかの生ものですよ! らしいっちゃらしいかもしれませんが!」
「そんなボスの帰還を待つアポロ君にはこれだ」
「なんですかこれ、手紙の付いたプレゼント?」
「ボス手紙とサカキさま人形だ」
「これまたなんともうさんくさいものを」
「いや本物だから。毎年頼むのも申し訳なかったから前に何パターンもかいてもらったから」
「なんてものを頼んでるんですか」
「とりあえずこれを入れて……よしアポロ完了!」
「なんかものすごい疲れたんですが」
「次はもっと疲れんぞ」
「え」
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