※ネジキドS
いたい。いたい。いたい。
「か、は」 「むー、ナマエ。もう少し面白い反応見せてくださいよー」
ふざけるなこのくそ餓鬼。頭何度も殴り付けられてそんな面白い反応が見られるとでも思ってるのか。 だがその感想は口に出ることはなくそのままわたしは力なくどしゃりと地面に崩れ落ちた。
「痛みへの恐怖心はすさまじいですよねー。まあ生物として当たり前のことなんですけど。でもナマエはすごいですよ。毎回逃げだすたびにボクに殴り付けられてるのに全くこりないんですから」 「ネ……ジキ、」
わたしは力なく彼の名を呼ぶ。
「ねえナマエ。もう二度とボクから逃げようだなんて考えないで下さいよ? また逃げようとしたらもっともーーっと痛い目にあわせますからね」
彼はとても優しい声色を出しながらそんな戯言を言う。 どこに監禁されて嫌じゃない奴がいるんだ。もしそんな奴がいるんだったらぜひこの目で拝ませてほしいものだ。 わたしははっきりとしない頭で考えていた。この少年との出会いを。 そうだ。わたしが少しまえにファクトリーに挑んだあのとき。
『ワーオ。また会いましたね』 『むー、初のファクトリーで本気のボクに勝ったのはキミがはじめてですよ』 『あーあ、くやしーな』 『でも1つ嬉しいことがあります』 『ボク、君に興味がわきました』
そこまで考えたところで、ネジキは再びわたしを殴り付けた。
「ここから逃げられると思っちゃダメですよーナマエ」
ネジキはわたしの髪を掴み上げながら言う。
「ファクトリーはボクの家であり庭であり王国です。ここの主は、支配者は、頂点はボク」
子供らしい無垢で残酷な笑みを浮かべながらネジキはいとも楽しそうに笑った。
「ここには大切なものをすべて詰め込める。大事に大事に大事にするために」
大事にするとかいいながら殴ってんじゃない。だったらわたしを解放しろ。自由にしろ。――お前から、逃がせ。
「ここにいる限り君の所有権はボクにある」
ふざけるな。わたしはお前の
「だってここは。 ボクのおもちゃ箱だから」
わたしが言いたかった「玩具じゃない」という言葉は、彼の声と思想に押し潰された。
大事に了いましょう 大切に終いましょう 無くさないように 亡くさないように (前サイトから) |