短編小説 | ナノ
「やあナマエ久しぶり」
「ん、マツバじゃん久しぶり」
「あーあ、まだこの世に存在してたのナマエ……いつになったら君は半透明の人になってくれるのさ?」
「出会い頭にそれか。遠回しに死ねってか」

お前がこの世から消えてくれ。心からそうおもう。
こんなやつがなぜモテるのだろう。不思議でしかたがない。やっぱり世の中顔なのだろうか?
というかポケモン協会は何をしているんだ。エンジュのジムリーダーを即刻変えるべきだろう。

「あれ? ナマエ隈がすごいね」

いや、マツバの隈の方が酷いしむしろマツバの隈がない姿を見たことが一度たりとも無いんだけど。
まあとりあえず話を進めよう。埒が空かないから。

「ああうん。最近あんまり寝付けなくって……おそらく夜中の4時44分にいつも電話をかけてくる迷惑な紫マフラー男のせいかと」
「あはは、迷惑な人がいるんだね。なら僕がいい方法教えてあげるよ」
「えっ何マツバが優しいとか気持ち悪い……! いや原因はマツバにあるんだけども」

わたしがホウオウを捕まえてから陰湿極まりない嫌がらせを続けてきたマツバが……!

「よーし、ムウマージにゲンガー出ておいで」
「?」
「ゲンガーは黒い眼差し、ムウマージは滅びのう<「寝付くってあれか、永遠の眠り的なあれかゴルァ」はははやだなあ軽い冗談じゃないか」

冗談で殺されたらたまんねえよ。というかいまのは冗談じゃない。絶対に。だって目がマジだったもの。
その後、少し間を開けてわたしはマツバの服を凝視する。

「マツバ、その服装はつっこみ所なの?」
「何がだい?」
「いやお前ちょっと自分の服装に疑問を抱けよ。それだったらリメイク前のパジャマの方がましだよ」

いまのマツバの格好は、白い和服に下駄。白いヘアバンド(いつもの色違い)そして頭に蝋燭を二本立てて両手には藁人形と釘、トンカチ…………

「嫌だなぁナマエ、どっからどう見たってこれから呪いをかけにいくってわかるじゃないか」

かつてないくらいのいい笑顔でそう言われた。
……いや、うっすらわかってたよ? ただ、そうだと信じたくなかっただけだから。

「誰を呪っ……ってわたしの写真!? 呪う相手わたしかよ!」
「あ、見つかっちゃったー☆」
「見つかっちゃったー☆じゃねえよ寄越せやそれェ!」

わたしはマツバが持っていた藁人形を奪い取った。

「あーあ……せっかく徹夜して作ったのに」
「下らないことに時間費やしてんじゃねえ!」


バシィン! とわたしは地面に呪いの人形を叩きつける。すると突然マツバがポツリとささやいた。

「でもこれでナマエともお別れだなぁ……」
「え、何? マツバがいなくなったら嬉しくて泣けると思うんだけど」

少しマツバは俯きながら悲しげな表情になる。
 え、なにマツバ君本当なんですか。

「人を呪わば穴二つって言うことばがあるだろう? だからナマエに見つかっちゃったことで呪いが返ってくるんだよ」
「え……じゃあマツバは……」
「ナマエのせいだよ?」

 真顔でそんなことを言われる。いや、さきに呪いやったのそっちだろ!

「ミナキ君に謝りなよ? ナマエのせいで今ごろ苦しんでいるはずだから」
「お前人を呪うだけではあきたらず親友まで売ったのか!」

 清々しいくらいまで外道である。

「だって聞いてよナマエミナキ君てば酷いんだよ」
「できれば聞きたく無いんだけど」
「今までは一緒にホウオウやスイクンへの愛を語り合える数少ない親友だとおもってたのに」
「わたしの意見は軽く無視か」
「ホウオウはナマエが捕まえられちゃってさ、僕落ち込んでたんだよ」
「普通の人だったら落ち込んでるのに毎日無言電話かけてきたり人の家の壁に"死ね"って書いたりしない」
「なのにミナキ君てば何て言ったとおもう? 《今度の映画、前売り券買うと色違いのスイクンがもらえるんだそうだ!いまから映画館に並んでくる!!》って鼻血出しながらそういって行っちゃってさ」
「変人の友達は変態か。類は友を呼ぶって本当だったんだね。というか前売り券発売するまで約2週間はあるんだけど」
「僕は報われないのにミナキ君だけ報われるだなんて不愉快だろう?」
「お前のその発想が不愉快だよ」
「だから二人まとめて殺ろうと思って」
「すいませーん警察ですか? ここに殺人予告をする人がいるんで捕まえてください」

 このあと駆け付けた警察官(キキョウのジムリーダーの人)がマツバのポケモンたちに返り討ちにあってしまい、わたしは途方にくれた。





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テーマ「人外ファンタジー」
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