ビターorスイート
安室さん(年下)と恋人設定



「ちょっと、バーボン。聞いてるの?バーボン」

「え?あ、すみません。なんですか?」

ベルモットが、うわの空で運転するバーボンに声をかける。

「今の交差点、右折よ」

「あぁ、すみません」

ベルモットに指摘されて、バーボンは目的地への道のりを変更した。

「何?あの子からチョコレートが貰えなかったのが、そんなにショックだったのかしら?」

からかうようにベルモットは言う。

そう、今日はバレンタイン。
朝からチョコレートを配り歩いていた春。

当然、恋人である自分も貰えるだろうと思っていたのだが、現実はそうではなかった。

いや、貰えなかった訳ではない。

「一応、貰いましたよ。
既製品を」

「あら、良かったじゃない」

ベルモットは分かってて言っている。
バーボンが求めていたのは、義理チョコという既製品ではなく、いわゆる本命と言われる手作りチョコだ。

それなのに春は

『これ、みんなで分けて食べて』

そう素っ気なく言って渡してきたのは、チョコのお得パック。

自分はお得パック、しかしジンには

『ジンさん!
わたしからのスペシャルなチョコあげるよ』

『あぁ?……いらねぇ』

『そんなこと言わずに。ほら、ほら』

綺麗にラッピングされた、それをジンのコートのポケットに無理やり突っ込んでいるのを目撃している。

思い出しただけでも、気落ちする。

「落ち込むのはいいけど、任務はきちんと遂行しなさいよ」

ベルモットは春から貰ったチョコを口に入れる。友チョコというものを貰っていたのだ。

「分かってます」

ベルモットは分かっててやっている。
その分たちが悪い。
バーボンは気付かれないようにため息をついた。

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bkm

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