空が明るみ始めた頃、半ば気絶同然に果てた茜の意識が浮上してくる。
「ん、ぅ……?
ジン、さん?」
隣にぬくもりを感じる。
うっすらと目を開けるが、驚きのあまり大きく目を見開いた。
昨日は狼のジンに抱かれたはずだった……でも、今ここにいるのは
「獣ジン…」
獣ジン……もとい獣人になったジンが眠っていた。
茜はとりあえず、ジンをもふもふしてみることに。
そっと頭に触れてみる。
(柔らかい……というか、獣姦…)
思い出しただけで顔から火が出そうになる。
羞恥に悶えていると、ジンがぱちっと目を覚ました。
「何をしてる」
「あ、ジ、ジンさん」
ジンはむくりと身体を起こし、自分の変化に舌打ちした。
「まだ戻らねぇか。
まぁ、狼の姿よりはましか」
ジンは徐に茜を抱き寄せた。
「うわぁ!?」
もふもふとした毛並みに戸惑いつつ、ジンに身を任せる。
ジンは何も言わないが、何度も頭を撫でられる。
よく見ると、しっぽが揺れている。
それに気づいたが、今はそっとしておこう。
そしてふと視線が合わさると、ジンは鼻先を茜の鼻に擦り合わせた。
「ジン、さん」
「フン……相変わらず呆けた顔してるな」
「ひどい!」
「冗談だ」
そう言って、ちゅっと茜の唇に小さくキスをした。
「もう!ジンさんなんか、ジンさんなんか、……大好きだーーー!」
茜は再びジンの胸にダイブしたのだった。
たとえ貴方が……獣人でもこの好きという気持ちは変わらない。
おわり
bkm