暖かな日差し、心地よい午後。
だが、この男にはそんなことはどうでもよかった。
この男、ジンは眉間にシワを寄せ時折、鬱陶しそうに髪をかきあげながら茜を捜して工藤邸の中をうろうろしていた。
「何処に行きやがった」
先程、有希子からゼリーが送られてきたという事を知らせようと思い捜すが姿が見当たらない。
そんな時、書斎を覗き込む沖矢を見つけた。
「何をこそこそしている」
ジンは訝しげに声をかけると、沖矢は人差し指を唇の前に当てて、静かにしろと言わんばかりにジンに鋭い視線を送り、そして書斎の中を指差した。
ジンは書斎の中を覗く。
「何をやってるんだあいつは…」
書斎の中で眠る茜の姿。
しかし問題が1つ。
「まさか床で寝てるとは思わなかった」
姿は沖矢でも声は赤井のままでそう話す。
そう。茜は書斎の床で昼寝をしていたのだ。
ジンは盛大にため息をつき、舌打ちまでしてから中に入り、茜を抱き上げた。
「…ん…ぅ」
一瞬起きそうになる茜が、すぐに寝息を立てる。
「世話の焼ける……ゼリーはお預けだ」
「ぅ……ぜりー……?」
「起きてるのか?」
ゼリーに反応する茜に声をかけると
「んー…ん……ねてる……よぉ」
何とも舌っ足らずな返答をされる。
「こんなとこで寝てんじゃねぇよ」
「ん、」
茜はぎゅっとジンに甘えるように抱きつき、そのまままた夢の中へ旅立った。
その後茜を部屋まで運びベッドへと寝かせた。
何故だかその安らかな寝顔につられジンに睡魔が襲いかかる。
そしてジンも茜と一緒に眠りに落ちるのであった。
起きたときに茜が驚いたのはいうまでもない話。
おわり
bkm