【絆創膏】
今日は花火大会。
浴衣を着てジンさんとデート!
しかも、有希子さんの計らいでジンさんも浴衣に……はうぅ…かっこいい。
カラコロと下駄を鳴らしながら2人で喧騒の中を歩く。
「ね、ね、ジンさん」
「何だ」
「手、繋いでいい?」
「勝手にしろ」
言い方は乱暴だけど、スッと手を出してくれる。
わたしはジンさんの手をしっかりと握った。
大きくて、でも繊細な手。はぁ、手を繋いだだけで心臓がばくばくしてる。
「どうした?」
「やっぱりジンさん好きだなって」
「そうかよ」
慣れない下駄だけど、ジンさんが歩幅を合わせて歩いてくれるのが嬉しい。
それから2人でいろいろ見て回った。
でも、だんだんと足に違和感が……。
ヤバい擦れてる。
鼻緒のところが擦れてちょっと痛い。
このくらい、我慢がまん!
「あ、あのお面は……!」
足は痛いけど、お面屋さんで見つけてしまった。
この世界での推しのお面を。
わたしは痛いのを隠しながら、露店に向かった。
「いらっしゃい」
「お前、こんなもんが欲しいのか?」
「ほしい!!」
お面を手に取り、わたしに視線を向けてくるジン。
わたしは首がもげるんじゃないかってぐらいに、コクコクと頷く。
そんなわたしに呆れながらも、ジンさんはお面を買ってくれた。
「ジンさんありがとう!」
ほくほくな顔でお礼を言って、さっそく付けてみる。
「どう?どう?」
「ガキか」
「だって、嬉しいんだもーん…………っ!!」
1歩足を踏み出した途端、激痛が走って不自然に立ち止まってしまった。
ヤバい、めっちゃ痛い。
「どうした」
「な、何でもないよ!」
笑って誤魔化そうとするけど、ジンさんに通用するはずもなく、見つかってしまった。
「お前、その足」
「だ、大丈夫だよ!ちょっと擦れただけだから………って、うわぁ……」
わたし自身、足を見てびっくり。
血が出てた。……まさかここまでとは。
いや、ふざけてる場合ではない。
ヒリヒリとした痛みで、もう歩けそうにない。
ジンさんに迷惑かけたくないのに。
「文句は、聞かねぇからな」
そう言ったジンさんに抱き上げられました。
はい。お姫様抱っこです。
「ちょ、ちょちょ、ジンさんん!?」
「黙れ」
「はい……」
足も痛いけど、いろんな人の視線が痛い。
そんなこともお構い無しにジンさんは、人混みを掻い潜って喧騒から遠ざかる。
わたしは大人しく抱かれたまま。
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