わたしは起き上がって、ぼーっとしながらジンさんの肩に頭を預けた。
そしたらジンさんが頭を撫で撫でしてくれる。
「ふふふ、」
「どうした。だらしない顔をして」
「だらしないって失礼ね!幸せそうな顔っていってよね。
わたし、ジンさんの大きい手好きなんだー」
頭に乗せられていた手を取って、ちゅと指にキスをした。
「ふん。
好きなのは手だけか?」
今度は逆にわたしの手をジンさんが取り、血管をなぞるように撫でられる。
「手だけじゃないよ。ジンさん全部が大好きなんだよ!」
そのままジンさんの胸にダイブした。
ジンさんはしっかりと抱きとめてくれる。
はぁ……もう好きすぎる。
そんな幸せな時間を過ごしていると、ジンさんの携帯が鳴った。
けど、その携帯は知らないやつだ。
もしかしてもしかしなくても、組織用の?
でもって、わたしの携帯に登録されているのは、ジンさんのプライベートな番号ってことになるよね?……ふへへ。
なんか嬉しいな!
ジンさんは相手の名前を確認すると小さく舌打ちした。
「……何の用だ」
ベルモット。
電話の相手はどうやらベル様のようだ。
あんまり会話は聞こえないけど、最初に『ハァイ、ジン』って言ったのが聞こえた。
それがまぁ何とも色っぽい声なんだよなー。
そして、
「ミステリートレイン?
ベルツリー急行か……」
待て待て待て。
え?今の時間軸ってそこなの!?
バーボンが誰かとかヤキモキしてる時じゃん!
しかもこの会話って、ジンさんがウォッカさんと移動してる時のじゃん。
え?えー……。
なんて思っていたら
「……そうか、だが俺はパスだ」
「ふぁっ!?」
まさかのパス発言で声をあげてしまった。
瞬時にジンさんに口を塞がれたが時すでに遅し。
『あら?お取り込み中だったかしら?』
なんて声が聞こえた。ヤバいベル様に気づかれた?
「お前には関係ない。
俺は休暇中だ。
ウォッカにでもやらせておけ」
あー、ジンさん休暇中なんだ。
いつまで休むのよ。
まぁ、組織には関わらないって言ってたし。ずっと?
え?ジンさんニートになるの!?
そして、ウォッカさんが不憫!ごめんねウォッカさん。
いろいろ考えてたら、いつの間にやら通話を終了させていた。
「ジンさん、いいの?」
「結果が分かりきってるものなんざ、時間の無駄だ」
まぁそうね、ジンさん待ちぼうけだったもんね。
「それに、今はお前との時間が最優先だ」
「ジンさん……」
ジンさんはわたしのほっぺたを包み込んで、優しいキスをしてくれた。
はぁー、幸せだ。
ねくすとちゃぷたー→
bkm