百貨店の近くにある駐車場にそれはあった。
「…本物だ…」
そう。ジンさんの愛車の黒いポルシェが。
「ほら、さっさと乗れ」
感動していると、ジンさんが助手席のドアを開けていてくれた。
なんという紳士!
「ありがとう!ジンさん」
わたしがお礼を言って車に乗ると、ジンさんはドアを優しく閉めた。
外車なんて初めて乗るから何となくそわそわしてしまう。
車内をキョロキョロしていると、運転席に座ったジンさんがふっと笑った。
え?なに?
「ガキか」
「だって、左ハンドルなんて見たことあっても、乗ることなんてないもん」
そうか。と言ってジンさんはエンジンをかけてポルシェを発進させた。
ふぉぉぉー!
ハンドルを握るジンさん…マジかっこいい!!
「ね、ね、あれやってほしい」
「あぁ?」
「ゼロの執行人の安室さんのあれ!」
そう言うと、ジンさんは盛大にため息をついた。
うん。知ってる。どうせやってくれないって……。
ちょうど信号待ちで車が止まった時、ジンさんは煙草に火をつけた。
煙草を吸う姿もかっこいいなぁ…なんて思ってたら、
「俺の、恋人は……茜、お前だけだ」
「……っぐ…」
こうかは ばつくんだ!
不意打ち過ぎて一瞬心臓が止まったよ……。
なんて破壊力なんだ。
しかもあのエロい手つきまで再現してさ!
「ジンさん…ヤバい。それは死ねる……」
「強請ったのはお前だろ」
「いや、そうだけど、そうなんだけど!」
まさかやってくれるとは思わないじゃん!
しかもめっちゃエロい……。
「ガキなお前には刺激が強すぎたか?」
「ジンさん、ご自分の色気を理解してないでしょ」
安室さんでさえあの色気なのに、ジンさんがやったらとんでもない色気の暴力だったよ。
「知るかそんなもん。
それより、これからどうしたい?」
「え?どうしたいとは?」
「このまま大人しく帰るか、逢瀬を楽しむか選べ」
横目でジンさんに見つめられ心臓がドクンと高鳴った。
このまま帰る……か。
何かやだな。
逢瀬……つまりはデート。
わたしの答えは一つしかない。
「デ、デート、してください…」
すごい顔が赤くなってるよ絶対。
ジンさんの横顔もめっちゃセクシーなんだもん。
でも心無しかジンさん、ちょっと嬉しそうな顔してる。
そんな感じで、ジンさんとドライブする流れになっていた。
ジンさんの運転する姿を目に焼き付けよう!
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bkm